テクニカルSEOとは?主な施策や調査方法、効率的な進め方を紹介

細山 武揚

著者:細山 武揚

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テクニカルSEOとは?主な施策や調査方法、効率的な進め方を紹介

検索順位を上げたくてコンテンツに力を入れているけど、なぜかうまくいかない――そんな悩みがある場合、Webサイトの内部技術的な仕組みに課題があるかもしれません。

検索エンジンは、見た目や内容だけでなく、Webサイトの構造やページ表示速度といった技術的な部分も含めて評価を行います。
この技術的な課題に対する取り組みが「テクニカルSEO」です。

本記事では、テクニカルSEOの基本から実際の施策内容、効果的な進め方などについて解説します。

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テクニカルSEOとは何か

テクニカルSEOとは

テクニカルSEOとは、検索エンジンがWebサイトを正しく認識し、評価できるようにするための技術的な最適化を指します。

具体的には、クロールやインデックス登録の精度を高める施策や、ページ表示速度の改善、モバイル対応、構造化データの整備などが含まれます。

これらの施策は、SEOの成果を支える「土台」となるものであり、コンテンツや外部リンクといった要素とは異なる、裏側の仕組みに関わる領域です。

検索エンジンとWebサイトとの“意思疎通”を円滑にするための整備と捉えるといいでしょう。

テクニカルSEOが重要な理由

テクニカルSEOを適切に行うメリット

テクニカルSEOは、コンテンツが正しく「見つけられ」「理解され」「評価される」ための前提条件を整える役割があります。

どれほど質の高いコンテンツを用意しても、検索エンジンに正しく認識されなければ、検索結果には反映されないため、SEOにおいて最優先で取り組んでください

テクニカルSEOには、具体的に次のようなメリットがあります。

検索エンジンにクロール・インデックス登録を促す

テクニカルSEOの基本的な役割は、検索エンジンに「このWebサイトにはどんなページがあり、どれを重要だと考えているのか」を伝え、必要なページが適切にクロール・インデックス登録されるようにすることです。

<検索結果に表示されるまでの、テクニカルSEOとコンテンツSEOで対策する範囲>

検索結果に表示されるまでの、テクニカルSEOとコンテンツSEOで対策する範囲

具体的には、サイトマップを用意して案内図のようにページ全体を示したり、内部リンクでページ同士のつながりをわかりやすくしたりするほか、クロール・インデックス登録を妨げる設定を防ぐ施策もあります。

これらの対策を行うことで、評価されたいWebページが検索結果に表示されるようになります。

ユーザビリティの向上につながる

テクニカルSEOは、検索エンジンだけでなくユーザーの利便性の向上にも貢献します。

ページの表示速度を改善すれば離脱率が下がり、セキュリティ対策をとったり、モバイルフレンドリーな設計にしたりすることは、安心して利用できるWebサイトづくりにつながります。

こうしたユーザー体験の質は、検索エンジンからの評価にも影響を与える重要な要素です。

重要なページが評価されやすくなる

テクニカルSEOによってWebサイト全体の構造を見直し、狙ったページに内部リンクを集めたり、不要なページを整理したりすることで、評価してほしいページを検索エンジンに伝えやすくなります。

例えば、自社のサービスを紹介するページのような、ビジネスにとって重要なWebページが適切に検索エンジンに伝われば、検索結果の上位表示のチャンスが高まるでしょう。

逆に、システムによって内容が重複したページや内容の薄いページが大量に生成されるようなことがあると、Webサイト全体の評価に悪影響を与えることもあるため注意が必要です。

テクニカルSEOの代表的な施策

テクニカルSEOの代表的な施策

テクニカルSEOでは、検索エンジンの理解を助けるため、さまざまな施策を組み合わせて進めていきます。

ここでは、取り組みたい代表的な施策を目的別に紹介します。

クロールの促進

検索エンジンにスムーズに巡回してもらうためには、サイト構造を整理し、必要な情報が適切に届くように整えることが大切です。

主に、次のような施策を実施します。

<クロールを促進するテクニカルSEO施策の例>

施策 概要 使用するツール例
robots.txtの設定 クロールを許可・制御するためのファイルを設置する Google Search Console
サイト階層構造の整理 深すぎる構造を避け、重要なページにアクセスしやすくする  
内部リンクの最適化 関連性のあるページ同士をリンクでつなぎ、巡回を促す
アンカーテキストの最適化 リンクの文言をわかりやすく記述し、文脈を伝える
ページ表示速度の改善 読み込み速度を上げて、クロール効率とユーザー体験を向上させる Google Search Console
PageSpeed Insights
構造化データの設定 コンテンツの種類を検索エンジンに明示する Google Search Console
リッチリザルト テスト

 

詳しくはこの記事をチェック!

インデックス登録を最適化する

検索エンジンに「どのページを検索結果に載せてほしいか」を正しく伝えることで、検索結果に正しく表示されやすくします。

施策 概要 使用するツール例
HTMLタグの最適化 タイトル、メタディスクリプション、hタグを正しく設定 SEO META 1 COPY
alt属性の設定 画像の内容をテキストで補足し、検索エンジンにも意味を伝える Alt & Meta viewer
重複コンテンツの整理 内容が似ているページを統合・削除し、評価を分散させないようにする Google Search Console
URLの正規化 同一内容のページが複数ある場合、代表となるURLを指定して評価を集中させる Google Search Console
レンダリング(※)の確認 検索エンジンが正しくページを表示・理解できるかをチェックする Google Search Console

※レンダリング…検索エンジンがWebページを「見た目通りに再現して理解する」こと。

 

ユーザビリティの最適化

ユーザーが快適に使えるサイトを作ることは、検索エンジンからの評価にもつながります。

施策 概要 使用するツール例
コアウェブバイタル ページ表示速度、操作反応、視覚の安定性などの指標 PageSpeed Insights

Google Search Console

モバイル対応 スマホでも快適に閲覧できるレイアウトにする
パンくずリスト ページ階層をわかりやすく表示し、ユーザーが回遊しやすくする

 

セキュリティの確保

サイトの信頼性を高め、ユーザーにも安心して利用してもらうことも重要です。

施策 概要 使用するツール例
HTTPS(SSL化) 通信を暗号化し、セキュリティと信頼性を向上 Google Search Console

 

テクニカルSEOを進める手順

テクニカルSEOを進める手順

テクニカルSEOは、一度実施して終わりではなく、継続的な改善と運用が必要です。

効率的に進めるためには、次の順番で取り組んでください。

現状を把握する

まずは、自サイトがテクニカルSEOの観点でどのような状態にあるのかを確認します。

手始めに、チェックリストを用意し、「クロールは正常に行われているか」「ページ表示速度に問題はないか」「モバイル対応がされているか」などの基本項目を洗い出しましょう。

<テクニカルSEOのチェックリスト例>

テクニカルSEOのチェックリスト例

この段階では、Google Search ConsoleやPageSpeed Insightsなどの無料ツールを活用すると、客観的な診断ができて便利です。

なお、ナイルではテクニカルSEOのチェックリストをご用意しています。無料でダウンロードいただけますので、ぜひ下のバナーからご確認ください。

優先度を決めて改善

洗い出した改善ポイントのうち、すべてを一度に対応するのは難しいことが多いでしょう。

そのため、優先度の高い施策から着手することをおすすめします。

一般的には、セキュリティ面に不備がある場合はその対策を最優先で取り組みましょう。

続いて、検索エンジンにページが見つけられなければ何も始まらないことから、クロールにかかわる施策の対応を行います。

その後、適切にインデックスされるためにインデックス関連の施策に取り組み、最後にユーザー体験を高めるユーザビリティを改善していく流れが効率的です。

<テクニカルSEOの改善優先度>

テクニカルSEOの改善優先度

定期的にチェック・運用する

施策を実施しても、記事の追加やリライトなどWebサイトの更新によって、サイト内部の状態が変わることがあります。

そのため、自サイトの内部を定期的にチェックする運用体制を整えることが大切です。

Google Search Consoleを活用して、インデックスの状況やエラーの発生状況、構造化データのステータスなどを定期的に確認しましょう。

月に1回程度のチェックを習慣化にすれば、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

テクニカルSEOをスムーズに進めるポイント

テクニカルSEOをスムーズに進めるポイント

テクニカルSEOは施策の内容が専門的で、エンジニアの対応が必要な範囲も少なくありません。

そのため、一人ですべてをやろうとせず、「誰が・何を・いつやるか」を整理し、スムーズに進められるようにしましょう。

具体的には、次のようなポイントを押さえるのがおすすめです。

「自分でできる範囲」と「相談して進める範囲」を分けて考える

テクニカルSEOの中には、自分だけでできる作業もあれば、エンジニアの協力が必要な作業もあります。

例えば、titleタグの見直しやalt属性の設定はSEO担当者で対応できますが、システムの改修が必要な場合などは、エンジニアに対応してもらう必要があります。

そのため、エンジニアのリソースを踏まえて、対応の優先順位を決めていきましょう

チームで施策の進行状況を「見える化」する

施策が増えてくると、「何がどこまで進んでいて、誰が担当しているのか」がわからなくなりがちです。

それを防ぐには、Googleスプレッドシートやタスク管理シートなどでチェック項目や担当者、対応状況を一覧で管理すると、認識のズレを防ぐことができるでしょう。

関係者と共有しやすい形を採用してください。

チェックのタイミングをルール化する

どれほど丁寧に対応しても、Webサイトの内部の状況は時間の経過やサイト更新によって状態が変わっていきます。

そのため、月に1回はGoogle Search Consoleでエラーチェックをするなど、チェックするタイミングをルール化して定期的に実施することで、問題の早期発見や対応漏れの防止につながります。

テクニカルSEOにおいて気をつけたいこと

テクニカルSEOをスムーズに進めるポイント

テクニカルSEOは、やみくもに取り組むと逆効果になることもあります。

やるべきことが多く見える分、つい過剰に手を入れてしまったり、状況を正しく把握せずに誤った改善を行ったりといったミスも起こりがちです。

ここでは、特に注意したい3つのポイントを紹介します。

メンテナンスを継続的に実施できる施策を行う

テクニカルSEOには多くの施策がありますが、それらすべてが自社サイトに必要とは限りません。

例えば、複雑な構造化データやモバイル最適化などを入念に行っても、その後のメンテナンスが追いつかないケースはよくあります。

手を広げすぎた結果、更新できずに放置することになるなら、最初から実装しないほうがまだ良い場合もあるのです。

施策を行う際は、運用し続けられるかまで見据えて、無理のない範囲で導入することが大切です。

課題の全体像を把握する

テクニカルSEOの施策は、対応する優先順位が重要です。

クロールされていないページにインデックスの最適化をしても意味がありませんし、インデックスされていないページのUX改善をしても検索順位は上がりません

そのため、個別の改善に取りかかる前にサイト全体の状態を正確に把握し、どの課題から手をつけるかを適切に判断してください

対応漏れに注意

テクニカルSEOでは、「うっかりミス」が大きな問題を引き起こすことがあります。

例えば、新しく公開したページにnoindexがついたままだったためにインデックスされない、CMSの設定を変えたことで内部リンクが消えてしまった、のような事例は少なくありません

特に、サイトのリニューアルやテーマ変更、CMS(※)のバージョンアップ時には、SEOに影響する設定が書き換わることがあるため、事前・事後のチェックが重要です。

可能であれば、確認する項目をリスト化し、関係者間で共有しておくと人的ミスを防ぎやすくなります。

※CMS(コンテンツマネジメントシステム)…Webサイトの文章や画像を、プログラミングの知識がなくてもブラウザ上で簡単に編集・更新できる仕組み。代表的なCMSには「WordPress」などがある。

テクニカルSEO施策の成功事例

最後に、ナイルがテクニカルSEOの支援を行った事例を紹介します。

HTMLタグの調整や内部技術課題を解決し、検索流入数が3.2倍増!

ハッピープレママTOP

クライアント 株式会社Visual Innovation
業種 広告事業・メディア事業
クライアントの課題
  • 運営するプレママ向けプレゼントサイト「ハッピープレママ」のキーワードで、検索順位の低下が見られた
  • サイト制作を依頼している会社にも解決できない問題だった
行ったテクニカルSEO施策
  • トップページのタイトルタグへのキーワード追加
  • プレゼント詳細ページのタイトル・H1タグの最適化
  • 内部技術課題の解決(インデックス関連)
施策実行後の成果
  • 主要キーワードの順位上昇(「妊婦 無料 プレゼント」:18位→7位、「妊婦 サンプル」:33位→3位など)
  • 自然検索流入数が3.2倍上昇(2023年6月→2024年9月 月間のクリック数で計算)

 

当初、クライアントからは「サイト構造が最新ではないから順位が下がったのでは?」「ページスピードの遅さに原因があるのでは?」「全面的なリニューアルが必要なのでは?」と、たくさんの疑問をいただきました。

そこで、改めてサイトを調査し、必要最低限のページスピードは確保できていることや、全面リニューアルまでは必要ないことなど、現状の分析結果について報告。

その上で、考えられる施策をいくつかご提案し、クライアントからご要望をいただいた施策のみ実施しています。

内部技術関連の課題に対しては、クライアントがご契約している制作会社様と直接連携することで、クライアントの負担を軽減し、スムーズに施策が進められるように主導しました。

課題の把握と優先順位の見極めがテクニカルSEO最大のポイント

テクニカルSEOは、検索エンジンがサイトを正しく理解・評価するための土台を作り、検索結果にきちんと表示されるために欠かせない施策です。

そのためには、まずはWebサイトの現状をチェックし、解決する必要がある課題を適切に把握することと、優先度の高い項目から順に対応することが最大のポイントといえるでしょう。

また、施策を行ってからも定期的に状態を確認し、メンテナンスをしていくことが継続的な成果につながります。

自サイトにとって必要な施策を見極めて取り組むことが、テクニカルSEOを成功させる鍵です。

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