canonicalとは?重複コンテンツを防ぐ正規化タグの使い方と注意点を解説

細山 武揚

著者:細山 武揚

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canonicalとは?重複コンテンツを防ぐ正規化タグの使い方と注意点を解説

Webサイトを運営していると、同じような内容のページが複数作られてしまうことがあります。
このような重複コンテンツは、検索エンジンの評価を分散させ、SEO効果を下げる原因になる可能性も。

そこで役立つのがcanonical(カノニカル)タグです。
canonicalタグを正しく設定することで、検索エンジンに正規ページを明確に伝え、SEO効果を最大化できます。

本記事では、canonicalタグの基本的な役割から具体的な設定方法、注意点まで、詳しく見ていきましょう。

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canonicalの役割

canonicalタグとは、検索エンジンに対して「このページが正規のページです」と明確に伝えるためのHTMLタグです。

Webサイトを運営していると、同じような内容のページが複数作られてしまうことがあります。

例えば、商品ページでサイズやカラー違いの商品が別々のURLで作成されたり、パソコン版とモバイル版で同じ内容のページが異なるURLで表示されたりするケースです。

このような状況が発生すると、検索エンジンはどのページを評価すればいいのか、判断に迷ってしまいます。

その結果、本来であれば1つのページが受けるべき評価が分散し、検索順位が上がりにくくなる問題が起こります。

評価が分散

canonicalタグは、このような重複コンテンツの問題を解決するために使用されます。

複数の似たようなページがある場合に、「この中で最も重要な正規のページはこちらです」と検索エンジンに伝える役割です。

canonicalタグの設置でURLを正規化

こうして正しくcanonicalタグを設定することで、検索エンジンの評価をひとつのページに集約でき、SEO効果を高めることができます。
また、重複コンテンツによるサイト評価への悪影響の回避にもつながるのです。

canonicalを使う主なケース

次に、canonicalタグが必要になる代表的なケースを紹介しましょう。

計測用のURLパラメータ付きページがある

ECサイトや検索機能を持つWebサイトでは、URLパラメータを使用する場面が多くあります。

中でも、ページの内容は変更せず、「どこから来たか」「誰のクリックか」などを計測するためだけに「パッシブパラメータ」が付いたURLは、表示される内容は元のページと同じですが、URLが異なるため検索エンジンは別ページとして認識します。

これが、SEOの観点で重複コンテンツとみなされる可能性があります。

<計測用のURLパラメータ付きページの例>

計測用URLパラメータ付きページの例

このようなケースでは、パラメータのない元のURLにcanonicalタグを設定し、検索エンジンの評価を統一しましょう。

類似したコンテンツが複数ある

前項と同じく、URLパラメータを使用し、ページの表示内容を動的に変更するケースもあります。

しかし、これらのパラメータ付きURLは、内容が類似しているため、SEOの観点では重複コンテンツの原因となる可能性があります

<URLパラメータによる重複の例>

URLパラメータによる重複の例

canonicalは、「重複・類似しているページだが、必要なので残すコンテンツ」に使います。
ただし、不要なコンテンツは可能な限り統合・削除を検討するほうが望ましいです。

PC用とモバイル用のページがある

レスポンシブデザインが主流になる前は、PC用とモバイル用で別々のURLを用意するWebサイトが多く存在していました。
現在でも、このような構成のWebサイトは存在します。

<PC用とモバイル用URLの例>

PC用:https://example.com/article-title
モバイル用:https://m.example.com/article-title

この場合も、同じコンテンツが2つのURLで表示される状況のため、どちらを正規とするかを明確に示すことが必要。

モバイル用URLでは、canonialでPC用を正規URLに指定。
そしてPC用URLでもcanonicalでPC用を正規URLに指定し、alternateタグ(※)でモバイル用URLを指定しましょう。

※alternateタグ…同じコンテンツの異なるバージョン(モバイル版、多言語版など)が存在することを検索エンジンに伝えるHTMLタグ。canonicalが「正規ページを示す」のに対し、alternateは「別のバージョンのページがある」と知らせる役割を持つ。

A/Bテストを実施している

Webサイトの改善のためにA/Bテストを実施する際、同じページの異なるバージョンを作成することがあります。

これらのテストページは、本質的には同じコンテンツの異なるレイアウトやデザインバリエーションです。

<A/Bテストによる重複の例>

オリジナル:https://example.com/landing-page
バリエーションA:https://example.com/landing-page-variation-a
バリエーションB:https://example.com/landing-page-variation-b

A/Bテストのページは一時的なものであり、検索エンジンにインデックスされる必要性のないケースが多いため、オリジナル版にcanonicalタグを統一しましょう。

canonicalタグの正しい記述・設定方法

canonicalタグを正しく機能させるためには、適切な記述方法と設定場所を理解することが重要です。

基本ルールは、<head>タグ内に1つだけ記述すること。
複数のcanonicalタグが存在すると、検索エンジンはすべてのcanonicalタグを無効として扱います。

また、URLの記述ミスや表記ゆれ(wwwの有無、スラッシュの有無など)がないようにしてください
わずかな違いでも、canonicalタグが正しく機能しなくなる可能性があります。

<canonicalタグの正しい記述・設定方法>

HTMLでの記述

最も一般的なcanonicalタグの実装方法は、HTMLの<head>セクション内に直接記述する方法です。

<基本的な記述例>

<head>  
  <link rel="canonical" href="https://example.com/products/sneakers" />
</head>

この記述により、現在のページの正規URLが「https://example.com/products/sneakers」であることを検索エンジンに伝えることができます。

なお、canonicalタグを記述する際は、必ず絶対URL(完全なURL)を使用してください
相対URL(ドメインを省略したパスのみの記述)を使用すると、検索エンジンが正しく解釈できない場合があります。

<間違った記述例(相対URL)>

<link rel="canonical" href="/products/sneakers" />
<link rel="canonical" href="../sneakers" />

<正しい記述例(絶対URL)>

<link rel="canonical" href="https://example.com/products/sneakers" />

HTTPレスポンスヘッダーでの設定

HTMLファイル内に記述する方法以外に、HTTPレスポンスヘッダーでcanonicalを設定する方法があります。

この方法は、特にPDFファイルや画像ファイルなど、HTMLではないファイルに対してcanonicalを設定したい場合に有効です。

<HTTPレスポンスヘッダーでの設定例>

Link: <https://example.com/document.pdf>; rel="canonical"

ただし、HTTPレスポンスヘッダーでの設定は技術的な知識が必要になるため、サーバー管理者や開発者と連携して実装することが一般的です。

一般的なWebサイト運営ではHTMLでの記述方法で十分対応できます。

WordPressでの設定方法

WordPressを使用している場合、canonicalタグの設定は比較的簡単に行うことができます。

WordPressは標準機能として自動的にcanonicalタグを出力しますが、より詳細な制御が必要な場合は専用プラグインを使用します。

これらをインストールすることで、技術的な知識がなくても、記事編集画面でcanonicalを個別に設定できるようになります。

<WordPressにおける主なSEO専用プラグイン>

  • Yoast SEO:各投稿・ページの編集画面で個別にcanonical URLを設定できる
  • All in One SEO:詳細な設定オプションでcanonicalタグをカスタマイズできる
  • RankMath:直感的なインターフェースで設定できる

canonicalタグ設定時の注意点

canonicalタグは正しく設定すればSEOに効果的ですが、間違った使い方をするとかえって検索順位に悪影響を与える可能性があります。

設定前に次の注意点を確認し、適切な運用を心がけましょう。

正規ページには自己参照canonicalを入れる

「自己参照canonical」とは、そのページ自身のURLをcanonicalタグで指定すること。

正規ページに自己参照canonicalを入れることで、URLパラメータ付きのURLなどでアクセスされた際、検索エンジンに「このページこそが正規ページです」と明確に伝えることができます。

<自己参照canonicalの例>

<!-- https://example.com/products/sneakers のページ内で -->
<link rel="canonical" href="https://example.com/products/sneakers" />

自己参照canonicalを付与して検索エンジンに正規ページを伝える

多くのCMSやSEOプラグインでは、自己参照canonicalが自動的に設定されますが、手動で設定する場合は必ず含めるようにしましょう。

内容の異なるページを指定しない

canonicalタグは「類似したコンテンツ」に対して使用するものであり、まったく内容が異なるページを指定してはいけません。

<NG例>

  • 商品Aの詳細ページから、商品Bの詳細ページをcanonicalに指定
  • ブログ記事Aから、まったく関係のないブログ記事Bをcanonicalに指定
  • 会社概要ページから、採用情報ページをcanonicalに指定

このように適切ではない設定を行うと、次のような問題が発生します。

<内容の異なるページをcanonical設定することによる影響>

  • 検索エンジンに無視される
    検索エンジンは、canonicalタグで指定されたページと元のページの内容を比較し、関連性が低いと判断した場合はcanonicalタグを無視する。
  • 検索順位に悪影響が出ることがある
    適切でないcanonical設定は、検索エンジンからの信頼を損ない、Webサイト全体の評価低下につながる可能性がある。また、本来インデックスされるべきページがインデックスされなくなるリスクも。

canonicalタグは「重複や類似コンテンツの整理」という本来の目的で使用し、検索順位の操作手段として悪用しない

noindexタグとの併用は避ける

noindexタグとcanonicalタグを同じページに設定することは、検索エンジンに対して矛盾した指示を送ることになるため避けましょう。

<noindexタグとcanonicalタグの役割>

  • noindexタグ:「このページを検索結果に表示しないでください」(インデックスしないで!)
  • canonicalタグ:「このページの正規版は○○です」(インデックスして!)

この相反する2つのタグを併用してしまうと、検索エンジンがどちらの指示を優先すればいいか判断できず、期待した動作にならない可能性があります。

重複ページをインデックスさせたくない場合は、次のいずれかの手法を選択してください。

<重複ページをインデックスさせたくない場合>

  • そのページを完全に検索結果から除外したい…noindexタグのみ使用
  • 正規ページに統合したい…canonicalタグのみ使用

canonicalと301リダイレクトの使い分け

重複コンテンツの問題を解決する手法として、canonicalタグ以外に「301リダイレクト」という方法もあります。

どちらも検索エンジンに正規URLを伝える役割がありますが、それぞれ適した場面が異なるため、適切な使い分け方を紹介しましょう。

<canonicalと301リダイレクトの特徴とおすすめの使用シーン>

特徴 使用シーン
canonical
  • 複数のURLが複数のURLが引き続きアクセス可能な状態を保つ
  • 検索エンジンに対してのみ正規URLを指示
  • ユーザーは元のURLでもページを閲覧できる
  • 設定が比較的簡単で、HTMLの修正のみで対応可能
  • 複数のURLでアクセス可能にしておきたい場合
    例:ECサイトの商品ページで、異なるパラメータ付きURLでも商品詳細を表示したい
  • 技術的な制約がある場合
    例:サーバー設定を変更する権限がない
  • 関連性の高いページ群がある場合
    例:商品のカラーバリエーション別ページ
301リダイレクト
  • 旧URLから新URLへ自動的に転送される
  • ユーザーも検索エンジンも新URLに誘導される
  • 旧URLにアクセスしても新URLに移動する
  • サーバー設定やCMSでの設定が必要
  • URL構造を恒久的に変更する場合
    例:サイトリニューアルで古いページ構造は廃止し、新しいURL構造に完全移行したい
  • ページを統合・削除する場合
    例:複数の類似ページを1つに統合したい
  • ユーザビリティを向上させたい場合
    例:複数のURLが存在することでユーザーが混乱している

 

適切な選択をするための判断基準は、下表を参考にしてください。

<canonicalと301リダイレクトの判断基準>

判断要素 canonical 301リダイレクト
旧URLの必要性 必要(残したい) 不要(廃止したい)
ユーザーのアクセス 全URLでアクセス可能 新URLに自動転送
検索エンジンからの評価 正規URLに集約 新URLに完全移行
元URLの戻しやすさ 容易 困難

 

このように整理すると、状況に応じて正しく使い分けることができ、検索エンジンにもユーザーにもわかりやすいサイト構造を保つことができるでしょう。

canonicalタグの設定を確認する方法

canonicalタグは正しく設定して終わりではなく、検索エンジンに正規ページとして認識されているかをGoogle Search Consoleで確認することが大切です。

その方法を見ていきましょう。

<Google Search Consoleでcanonicalタグの設定を確認する方法>

  1. Google Search Consoleの左メニューから「URL検査」をクリック
  2. 検索窓に調べたいページのURLを入力
  3. 「ページのインデックス登録」内に「ユーザーが指定した正規URL」と「Googleが選択した正規URL」が表示されるので、両方が一致しているかを確認

    「ページのインデックス登録」ページ

もし「ページのインデックス登録」内に「ユーザーが指定した正規URL」と「Googleが選択した正規URL」が一致していない場合は、Googleが独自の判断で別のページを正規扱いしている可能性があります。
その場合は、canonicalの指定方法やサイト構造を見直しましょう。

なお、canonicalタグを設定すると、正規URLとしなかったページ(重複ページ)はインデックスに残らず、「代替ページ(適切なcanonicalタグあり)」と分類されます

canonicalタグを正しく理解し、SEO評価を守ろう

canonicalタグは、重複コンテンツの問題を解決し、検索エンジンに正規ページを明確に伝える重要な設定です。

URLパラメータや類似コンテンツなど、さまざまな場面で発生する重複を適切に処理することで、SEO評価を1つのURLに集約し、検索順位の向上が期待できます。

ただし、内容の異なるページへの指定やnoindexタグとの併用など、間違った使い方は検索順位に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要。

noindexとの違いや301リダイレクトとの使い分けを理解し、ページの性質や運営方針に応じて適切な手法を選択し、正しい運用を心がけましょう。

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