SEO施策を効果的に進めるには、まず自サイトの構造を正しく把握することが重要。
そこで役立つのが、ディレクトリマップです。
Webサイト内の全URLやページ構成を一覧化し、重複や抜け漏れ、構造のゆがみを可視化できます。
ここでは、ディレクトリマップの基礎知識から作成手順、作成時の注意点、そしてSEO施策への活用方法について見ていきましょう。
SEO戦略を自社で立てるのは難しそうと思った方へ
資料ではSEOの戦略策定における全体的な戦略、キーワード戦略、戦略策定前にやるべきことを詳しく解説しています。 もし「自社でSEO戦略を立てるのは難しそう」とのことでしたら、お気軽にナイルの無料相談をご利用ください!
目次
そもそもディレクトリマップとは?
ディレクトリマップとは、Webサイト全体の構造を整理し、視覚的にわかりやすく表現した図のことです。
サイトマップの一種で、Webサイト内のページがどのような階層構造になっているかを一目で把握できるように作成されます。
トップページから各カテゴリページ、個別の記事ページまで、どのページがどこに属しているかをツリー状にまとめて表現する、いわば“Webサイトの設計図”のようなイメージです。
<ディレクトリマップのイメージ>
このマップを作ることで、コンテンツの抜けや重複、構造上の課題などを把握しやすくなり、SEOの土台となる「情報設計」を見直すきっかけになります。
特にSEOの初期調査では、現状のサイト構造を客観的に把握するために、ディレクトリマップの作成が欠かせません。
サイト構造の問題点を発見したり、内部リンク設計の土台になったりと、検索エンジンに評価されやすい構造に整えるために重要な役割を果たします。
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ディレクトリマップを作る目的
ディレクトリマップは「なんとなく作るもの」ではなく、明確な目的を持って作成することで、SEO施策の効果を高める重要な材料となります。
ここでは、ディレクトリマップを作る主な目的を紹介します。
<ディレクトリマップを作る目的>
現状把握:サイト構造・ページ分布の把握
まず重要なのは、Webサイトの全体像を把握することです。
ディレクトリマップを作ることで、どのディレクトリにどんなページが存在しているのか、どのページがどの階層にあるのかを視覚的に整理できます。
特に、運営期間が長かったり、多数のコンテンツを抱えていたりするWebサイトでは、自分たちでも把握しきれていないであろう構造の「見える化」が役立ちます。
<現状把握でわかること>
わかること | 概要 |
---|---|
全体のページ数と分布 |
|
階層構造の深度 |
|
URL構造のパターン |
|
こういった現状把握は、SEO戦略を立てる上での出発点となる重要な情報です。
課題発見:重複・過不足・構造の歪みを見つける
ディレクトリマップを作成することで、Webサイト内のさまざまな問題を発見できます。
これらの問題は、SEOパフォーマンスを大きく左右する可能性があるため、早期発見・早期対応が重要です。
ディレクトリマップによって発見できる主な課題を紹介しましょう。
<ディレクトリマップで発見できる主な課題>
発見できる課題 | 概要 |
---|---|
コンテンツの重複 |
|
コンテンツの過不足 |
|
構造のゆがみ |
|
孤立ページの存在 |
|
改善方針の材料に:コンテンツ整理、内部リンク設計など
ディレクトリマップから得られた現状把握と課題発見の結果をもとに、具体的な改善方針を立てることがディレクトリマップ作成の最終目標です。
具体的な改善例は次のようなものです。
<ディレクトリマップをもとにした改善方針の具体例>
改善方針 | 具体例 |
---|---|
コンテンツ整理 |
|
内部リンク設計の最適化 |
|
URL構造の再設計 |
|
サイト構造の改善 |
|
また、改善点が複数見つかった場合は、着手する優先順位をつけることも重要。
SEOへの影響度や実装の難易度、ビジネスやユーザビリティへの影響などを総合的に判断し、どこから手をつけるかを決めましょう。
ディレクトリマップ作成の手順
ディレクトリマップを効率的に作成するためには、体系的な手順に沿って作業を進めることが重要です。
ここでは、実際の作成手順を紹介しましょう。
<ディレクトリマップの作成手順>
1 URLデータを収集する
まずは、サイト内に存在するすべてのページURLを収集します。
手業では漏れが出やすいため、次のような手段を組み合わせるのが一般的です。
<URLデータの収集方法>
- サイトマップ(HTML/XML)の取得
Google Search ConsoleやCMSの出力機能などから取得可能 - クローリングツールの活用
SpiderなどのSEOツールを使えば、全URLと併せてタイトルやメタディスクリプションも取得できる - CMSからのエクスポート
WordPressなどのCMSを使っている場合、投稿データをCSVで出力できる場合がある
なお、URL収集の際はURLだけでなく、タイトルやメタディスクリプション(とそれぞれの文字数)も同時に取得することで、後の分析作業を効率化できます。
2 URLを整理・分類する
収集したURLデータを、分析しやすい形に整理・分類します。
この段階での整理の質が、後の問題発見や改善方針の精度に直結するため、慎重に行いましょう。
次のような観点で分類・整理していくのがおすすめです。
<URLの整理・分類の方法>
ディレクトリごとに分類
URLの構造にもとづいて、ディレクトリごとに分類します。
/blog/ → ブログ記事
/products/ → 商品ページ
/company/ → 会社情報
/contact/ → お問い合わせ
/news/ → ニュース・お知らせ
/support/ → サポート・FAQ
この分類により、サイト内のコンテンツバランスや、各セクションのページ数を把握できます。
動的URLを正規化して分類
動的URL(パラメータ付きURL)は、同一内容でも複数のURLが存在する可能性があるため、適切に正規化する必要があります。
・パラメータを除いたベースURLでの統合
・重要なパラメータのみを残した統合
なお、ECサイトなど自動生成の動的URLが大量にある場合は、いくつかピックアップする形でも構いません。
詳しくはこの記事をチェック!
ページタイプ別に仕分け
ディレクトリ分類と併せて、カテゴリ/記事/LP/サービス紹介/お問い合わせなど、ページの機能・目的に基づいたタイプ分類も行います。
この分類によって、各ページタイプの充実度やユーザージャーニー上の問題点を発見できます。
<サイトの種類別:主要なページタイプ>
3 ページ情報を抽出する
整理・分類したURLに対して、各ページの役割・目的(TOP/カテゴリ/詳細記事/コンバージョンページなど)を明確にしましょう。
さらに、次のような情報を記録しておくと、単なるURL一覧ではなく「意味のある構造」として把握できるようになります。
<URLと共に抽出したい基本情報>
- 対策キーワード
- 文字数
- パンくずリスト
- 初回公開日・最終更新日
- 内部リンク元の有無
4 可視化する(マップ化する)
ここまでで収集・整理した情報を、視覚的にわかりやすい形でマップ化します。
目的や用途に応じて、最適な可視化方法を選択しましょう。
<可視化する方法>
Excel表の階層整理
最も基本的で実用的な方法がExcelを使った階層整理で、詳細な分析と数値管理に最適です。
<Excel表の作成ポイント>
- 列の設計:URL、ページタイトル、ページタイプ、階層レベル、更新日など
- 階層の表現:インデントや記号を使った視覚的な階層表現
- 色分け:階層やページタイプ、課題の重要度に応じた色分け
- フィルター機能:特定の条件でのページ抽出が可能
<Excelで作成したディレクトリマップ例>
ツリー図(マインドマップ)
視覚的にわかりやすい表現として、ツリー図やマインドマップ形式での可視化も効果的。
全体像を把握したり、関係者へ説明したりする際に最適です。
<ツリー図の例>
ディレクトリマップ作成時の注意点
ディレクトリマップを正確に作成するには、単にURLを集めて並べるだけでなく、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
ここでは、SEOの観点から見落としがちなポイントを紹介しましょう。
<ディレクトリマップ作成時の注意点>
URL表記ゆれ
同じページであっても、wwwのあり・なしや末尾スラッシュの有無、大文字・小文字の混在、パラメータの順序違いなどによって、URLが複数存在してしまうケースがあります。
×表記ゆれあり:
https://www.example.com/products/
https://example.com/products/
〇統一例:
https://www.example.com/products/
※wwwありで統一
<末尾スラッシュの有無の例>
×表記ゆれあり:
https://example.com/products
https://example.com/products/
〇統一例:
https://example.com/products/
※スラッシュありで統一
<大文字・小文字の混在例>
×表記ゆれあり:
https://example.com/Products/
https://example.com/products/
https://example.com/PRODUCTS/
〇統一例:
https://example.com/products/
※小文字で統一
<パラメータの順序違いの例>
×表記ゆれあり:
https://example.com/search?category=A&sort=date
https://example.com/search?sort=date&category=A
〇統一例:
https://example.com/search?category=A&sort=date
※順序を固定
<不要なパラメータの混入例>
×表記ゆれあり:
https://example.com/products/?utm_source=email&sessionid=123
https://example.com/products/
〇統一例:
https://example.com/products/
※不要パラメータを除去
URLの表記ゆれは、URLの正規化やリダイレクト設計に影響するため、ディレクトリマップ作成時に早めに統一しておきましょう。
不要・重複ページの整理
作成したディレクトリマップの中に、テストページや古いLP、404ページ(※)、noindex設定されたページなどが含まれていないかも確認しましょう。
※404ページ…ユーザーが存在しないページのURLにアクセスしたときに表示されるエラーページ。
SEO施策の対象とならないページはマップに入れず、除外しておくことで施策対象が明確になり、以降の改善作業もスムーズになります。
深い階層構造・孤立ページ
ディレクトリマップでWebサイトを可視化すると、本来想定していなかった深い階層や、孤立したページが見つかることがあります。
特に、カテゴリの分岐が多すぎると、ユーザーが目的のページにたどり着きにくくなるといったユーザビリティの低下につながるほか、クロール効率が悪化するなどSEOへも悪影響あるため注意が必要です。
なお、各ページにはトップページから3クリック以内でアクセスできるのが理想的とされています。
特に、重要なページほど浅い階層に配置しましょう。
ディレクトリマップ作成後の活用方法
ディレクトリマップは、作って終わりではありません。
むしろ、SEO改善の具体的な施策を実施する際の重要な判断材料として活用することで、初めてその真価を発揮します。
ここでは、ディレクトリマップを使ってできる代表的な活用例を見ていきましょう。
<ディレクトリマップ作成後の活用方法>
コンテンツ整理の判断材料
ディレクトリマップでサイト全体のページ構成を一覧できるようになると、「どのカテゴリが不足しているか」「似たような記事がいくつもある」などの構造的な課題が見えてくるでしょう。
そこから、不足カテゴリの新規作成や、重複コンテンツの統合・削除といった対応の判断がしやすくなります。
内部リンク改善の設計
ページ同士のつながりが視覚化されることで、適切な回遊導線を設計し直すヒントが得られます。
例えば、「このカテゴリからこのページにリンクがない」「パンくずリストの階層がズレている」などの問題を発見しやすくなり、内部リンクやナビゲーションの見直しに役立つでしょう。
今後のSEO施策設計の土台
一度作成したディレクトリマップは、作りっぱなしにするのではなく、定期的に見直して新しい施策の企画や既存施策の改善に活用しましょう。
そうすることで、Webサイト全体のSEOパフォーマンスを継続的に向上させることができます。
<ディレクトリマップによってできること>
- 新規コンテンツ制作時の抜け漏れ
新しいコンテンツを作成する際、ディレクトリマップを参照することで、既存コンテンツとの重複を避け、サイト全体の整合性を保つことができる。 - サイト全体のSEO方針整理
ディレクトリマップを定期的に見直すことで、Webサイト全体のSEO戦略の方向性を明確にし、効率的なリソース配分を実現できる。
ディレクトリマップはSEO改善の出発点になる
ディレクトリマップは、サイト全体の構造を可視化し、SEO施策の土台を整えるための有効な手段です。
これを作成することで、ページ構成の把握はもちろん、重複コンテンツや不要ページの整理、回遊導線の改善など、多くの課題が明らかになります。
また、今後のコンテンツ戦略やSEO方針を設計する上でも、重要な判断材料として活用が可能。
ディレクトリマップを作成して、表面的な施策にとどまらず、構造そのものから見直すことで、長期的なSEO成果につなげていきましょう。
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