LLMOの効果測定は、単に「流入が増えたか」ではなく、生成AIから自社がどんな会社・ブランドとして認識され、どれだけ信頼されているかを把握することがポイントになります。
しかし、現状は“成果”と定義できる指標がないため、どう判断すればいいのかわからないケースがほとんどでしょう。
そこで本記事では、LLMOにおいてどのような指標を追い、社内で「成功状態」を定義していけばいいのかを整理して解説します。
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目次
LLMOではどういう状況だと成果が出ているといえるのか

まず押さえておきたいのは、LLMOが目指すゴールです。
LLMOの目的は、ChatGPTやGemini、Perplexityといった生成AI、AI OverviewsやAIモードを通じて自社のブランド認知を高め、信頼を獲得し、最終的にユーザーの意思決定段階で自社を選んでもらえるようにすることにあります。
従来の検索エンジンでは、ユーザーは検索結果の一覧からみずから情報を選択していました。
しかし、生成AIでは、「おすすめ」や「解決策」として特定のブランドや企業を推薦、もしくはリンクを引用する形で回答を提示します。
つまり、いかに自社が「信頼できる情報源」としてAIの回答内に登場するかが、ユーザーとの接点を左右するのです。
とはいえ、現状は生成AIに関して確認できるデータが少なく、SEOにおける検索順位のように「これが成果」といえる指標を定義することができません。
そのため、まずは自社がどのような状態を“成果”と定義するのかを、社内で明確にしておくことが重要です。
<従来の検索と生成AIでの情報取得の違い>
| 従来の検索エンジン | 生成AI | |
|---|---|---|
| 情報の提示方法 | 検索結果の一覧をリスト表示 | AIが特定のサイトの情報を要約、参照リンク引用 |
| ユーザーの行動 | 複数のサイトを比較・検討 | AIの回答を見て判断 |
| 企業・ブランドの露出機会 | 検索順位による | AIの回答内で推薦、リンク引用されるか |
この違いを踏まえると、LLMOで目指す状態は次のように整理できます。
<LLMOで目指す状態>
- 自社に関連する質問(プロンプト)に対して、AIが自社を推薦している
- 自サイトが情報源として引用されている
- AIを通じて自サイトへの流入が発生している
- ユーザーが意思決定する段階で、AIが自社を選択肢として提示している
LLMOでは、どの生成AIでも、自社が自然と引用される=信頼される状態を作ることが重要です。
そこでどの指標を追うかを整理することで、施策の方向性がぶれず、効果測定も意味を持つようになるでしょう。

LLMOで見ていきたい指標と計測方法
LLMOの成果を測るには、生成AIの回答において自社がどのように扱われているかを複数の観点から捉える必要があります。
ここでは、現時点で確認できる主要な指標と、その計測方法を紹介しましょう。
<LLMOで見ていきたい指標>
AI Overviews・AIモードで自社が推薦、リンク引用されているキーワード数
計測可能ツール:SEOツール(Semrush、Ahrefsなど)
Google検索のAI OverviewsやAIモードにおいて、どのようなキーワードで自社が推薦されているかを確認しましょう。
ここでは、リンクの引用数よりも自社がどう推薦されているかを重視してください。
そうすることで、どの領域で自社の情報が評価されているのか、またどの領域で改善の余地があるのかが見えてきます。
具体的には、「○○ おすすめ」「○○ 比較」といった検討フェーズのキーワードで自社が推薦されているか、業界の専門用語で引用されているかなど、キーワードの種類によって施策の方向性も変わってきます。
この指標の計測には、SemrushやAhrefsといったSEOツールを活用してください。
これらのツールでは、AI Overviewsでの表示状況やリンク引用の有無を追跡できる機能が提供されており、どのキーワードで自社が登場しているかを定期的にモニタリングできます。
<Semrush・Ahrefsでの推薦・引用の確認方法>
- Semrush
Semrushの「オーガニック検索分析」機能では、AI Overviewsに表示されるキーワードを特定できます。
また、キーワードごとに表示される引用元ページも確認が可能。
「順位計測」ツールで定期的に監視することで、AI Overviewsにおける自サイトの表示状況を把握できます。 - Ahrefs
Ahrefsの「サイトエクスプローラー」の「オーガニックキーワード」レポートには、SERP機能フィルターがあり、AI Overviewsが表示されるキーワードを抽出できます。
これにより、どのコンテンツがAI Overviewsに引用されているかの特定が可能です。
なお、AhrefsのBrand Raderでは、AI Overviewsに加えてAIモードで自社が推薦されているキーワードを確認できます。
生成AIからの流入・コンバージョン数
計測可能ツール:GA4>
生成AIから自サイトへの流入数とコンバージョン数は、GA4(Googleアナリティクス4)で確認できます。
<GA4での測定方法>
- ログイン画面のメニュー内「探索」選択し、「自由形式」をクリックする
GA4のリファラーレポートを確認すると、ChatGPTやPerplexityなど、生成AIからの流入を識別できます。

- ディメンションの「セッションの参照元」を追加し、行に設定
- 指標の「セッション」を追加し、値に設定

- フィルタで「セッションの参照元」を各生成AIの参照元に絞る
主な生成AIのドメイン名は次のとおり
- chat.openai.com(ChatGPT)
- perplexity.ai(Perplexity)
- gemini.google.com(Gemini)
- copilot.microsoft.com(Microsoft Copilot)
- claude.ai(Claude)

生成AIの回答に自社が推薦されているプロンプトとその数
計測可能ツール:基本目視
ChatGPTやGemini、Claudeなどの生成AIツールでは、ユーザーの質問(プロンプト)に対して、参考情報源として特定のブランドを推薦することがあります。

「東京でLLMO対策を支援している会社を教えてほしい」というプロンプトに対し、おすすめの会社を推薦している。
このようなケースにおいて、自社がどのようなプロンプトで言及されているかを確認しましょう。
現状、生成AIツールにおいて、どのようなプロンプトで自社が推薦されているかを確認するツールはありません。
そのため、自社が推薦されている状態にしたいプロンプトを定義し、目視で確認してください。
定義するのは、具体的なブランドや企業名が推薦されるケースが多い「おすすめ・選定系」「比較・検討系」のプロンプトです。
<自社で定義しておきたい代表的なプロンプト例>
- おすすめ・選定系
生成AIが具体的な企業名・サービス名を挙げやすいため、LLMOの成果を確認しやすいプロンプトです。
自社が「選択肢の一つ」として回答内に登場するか、どんな文脈で推薦されているかを確認します。
「〇〇のおすすめ企業は?」
「〇〇で実績のある会社を教えて」
「〇〇を依頼するなら、どんな会社が良い?」 - 比較・検討系
競合と同じ土俵でどう扱われているかを確認するためのプロンプトです。
自社が出てくるか、競合とどういう評価軸で比較されているかを把握しましょう。
「〇〇会社のおすすめを比較して」
「〇〇ツール 比較 おすすめ」
ここでは、「自社が推薦されたプロンプトを知る」のではなく、「自社が推薦されてほしいプロンプトを追う」ことを意識して2~3つほど定義し、定期的に観測しましょう。
ただ、ここは目視ですべて行う必要があるため、その手間を少しでも減らしたい場合は、ナイルの「生成AIブランド言及チェッカー」をご利用ください。
注視しているプロンプトを入力することで、Gemini、Perplexity、Claude、ChatGPTの各生成AIで言及されているかどうかを見ることができます。
<LLMブランド言及チェッカーの画面>

プロンプト入力欄

結果画面
指標を分析するポイント
前項で紹介した指標を収集したら、次はそのデータをどう読み解くかを見ていきましょう。
LLMOの効果測定において押さえておきたい分析のポイントを解説します。
推薦・引用数はトータルではなくキーワードごとに見る
LLMOの効果を測る際、「合計で何回引用されたか」といった総数だけを追いかけるのは避けましょう。
重要なのは、どのキーワードやプロンプトで推薦、もしくは自サイトのリンクが引用されているかという内訳です。
- どのキーワード・プロンプトで
- どの生成AIにおいて
- どのような文脈で推薦・引用されているのか
といった粒度で確認することで、初めて改善のヒントが見えてきます。
例えば、自社が推薦・引用されているのが「SEO対策」か「コンテンツマーケティング事例」かで、生成AIが自社をどう認識しているかがわかるでしょう。
また、意図していたキーワードで推薦されていない場合は、コンテンツの改善ポイントも見えてきます。
ただし、調査対象を広げすぎると分析が煩雑になるので注意が必要。
調査する生成AIの種類や、観測するプロンプトは自社にとって重要なものに絞り、継続的に追跡できる範囲に留めるようにしてください。
生成AIからの直接流入はコンバージョン率が高いことが多い
生成AI経由の流入は、全体のセッション数で見るとごく少数にとどまるケースがほとんどです。
ただその一方で、コンバージョン率が高い傾向がある点は、LLMOならではの特徴といえます。
これは、生成AIの回答内で自社が推薦されたり、自サイトがリンク引用されたりするプロンプト、キーワードが、多くの場合「比較・検討」「意思決定」に近いフェーズのものだからです。
<コンバージョン率が高くなる、生成AIから直接流入するパターン>

例えば、サービスページや料金ページへのリンクが引用される場合、ユーザーはすでにサービス利用・購買意欲をある程度持っているため、次の行動に移りやすい状態にあります。
さらに、生成AIで候補を比較検討した後、検索エンジンに切り替えて、企業名やブランド名、サービス名などでの指名検索流入からコンバージョンするパターンも少なくありません。
<生成AIで比較・検討後、指名検索を行うパターン>

この場合、GA4上の参照元は生成AIではなく、オーガニック検索やダイレクトとして計測されるため、生成AIの貢献が可視化されにくい点には注意が必要です。
そのため、流入数だけを見て「まだ影響が小さい」と判断するのではなく、コンバージョン率や流入ページに加え、指名検索の増加も含めて、生成AIが意思決定を後押ししているかの視点で分析していきましょう。
自社だけでなく競合がどのように推薦・引用されているかもチェックする
LLMOの効果測定では、自社の数値だけを見ていても十分な判断はできません。
競合他社が生成AIでどのように推薦・引用されているかをあわせて確認することで、自社の立ち位置や改善の方向性が明確になります。
例えば、次のような観点で競合の状況も確認しましょう。
<競合の推薦・引用状況をチェックするポイント>
- 競合はどの文脈で「おすすめ」として挙げられているのか
- 自社と競合で引用されているページタイプ(記事/サービスページ)はどう違うか
- 特定の比較・検討系プロンプトで、どの企業が優先的に言及されているか
こういったポイントを確認することで、自社に不足している情報や、強化すべき切り口が見えてきます。
LLMOは、「生成AIの中でどのようなポジションに置かれているか」を捉える取り組みともいえます。
競合との比較を通じて、自社の立ち位置を客観的に評価しましょう。
生成AIの回答を通じて、自社の立ち位置を読み解こう
LLMOの効果測定には、「この数値だけ見ればOK」という万能指標はありません。
重要なのは、AI OverviewsやAIモード、そして生成AIツールでの回答の中で、自社がどういった文脈で、どれだけ信頼できる情報源として扱われているかを、複数の指標の組み合わせで捉えることです。
本記事で紹介した指標を定点観測すれば、「どのテーマで自社が信頼されやすくなっているか」が見えてきます。
自社なりの成功状態をあらかじめ定義し、その状態に近づいているかを継続的にチェックしていくことが、LLMOの効果測定のポイントといえるでしょう。
なお、ナイルのLLMOコンサルティングでは、SEO×LLMOのハイブリッドアプローチで、生成AIに推薦される状態を設計します。
見ていくべき指標の効果測定も弊社で行いますので、自社で計測する余裕がないなどお困りでしたら、ぜひご相談ください。
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