リードナーチャリングとは?メリット・デメリットと具体的な手法を解説

「膨大な営業活動を、効率化したい」と改善を望む企業には、リードナーチャリングが特におすすめです。
この記事では、リードナーチャリングとは何なのか、リードジェネレーション(リード獲得への活動)との違いや、具体的な手法、リードの質を改善する方法についても詳しく解説します。
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目次
リードナーチャリングの概要
まずは、リードナーチャリングの概要について見ていきましょう。
1. リードナーチャリングとは
リードナーチャリングは、顧客の育成をするマーケティング施策です。
問い合わせや資料請求、名刺交換などで獲得した見込み顧客に対して適切な情報提供を行うことで自社の製品・サービスの購入意欲を高めてもらい、将来的に契約へとつなげます。BtoB、BtoCそれぞれのビジネスモデルで、リードナーチャリングの考え方や見込み顧客へ提供すべき情報や手法は異なります。
例えば、BtoBの場合は一般的に導入担当者のほかに決裁者がいることが多く、比較検討に時間を要したり社内で稟議を申請したりする必要があります。企業の顧客に対して、各担当者を説得できる情報の提供を電話やメール、ホワイトペーパーなどで用意することが王道です。
一方で、BtoCの場合は購入者=利用者となることがほとんどです。個々の顧客に対して、スピーディに疑問点を解消するためにチャットボットを活用したり、SNSを使って情緒的なコミュニケーションをとったりする必要があります。
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2. リードナーチャリングが注目されている理由
リードナーチャリングが注目されている理由は、大きく2つあります。
1つ目の理由は、インターネットの普及です。総務省の「令和3年版 情報通信白書|インターネットの利用状況」によれば、日本の2020年のインターネット利用率(個人)は83.4%で13〜59歳の各年齢層で9割を上回る結果が出ています※1。
※1参考:インターネットの利用状況(令和3年版 情報通信白書/総務省)
もう1つの理由は、購買プロセスの長期化・複雑化です。BtoBなど複数の関係者がかかわるサービスや、不動産などの高額な商材を即決するケースは多くありません。
ほとんどの場合が、意思決定までに数ヵ月の時間をかけます。その間、見込み顧客およびその関係者はさまざまな商品・サービス、課題解決に役立つ情報収集を行うでしょう。
その後、最終的な意思決定をするため、それぞれの見込み顧客が必要としている情報を適切に届けることこそ効果を生むきっかけになるのです。
【BtoBの検討期間が長い理由】
- 複数の関係者が、導入すべきか比較検討する
- 社内の稟議を通す必要などもあり、時間がかかる
- 予算の都合で来期に導入を検討するケースもある
3. リードジェネレーション、リードクオリフィケーションとの違い
リードナーチャリングのほかにリードジェネレーション、リードクオリフィケーションという言葉もありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
リードナーチャリングは連絡先のわかる見込み顧客に対して適切な情報提供を行い、商談や購入など次のステップにつなげるマーケティング活動のことを指しています。
一方でリードジェネレーションとリードクオリフィケーションは、リードナーチャリングの前後に行われるマーケティング手法で、リードナーチャリングとはまったく別のものです。
リードジェネレーションとは、何らかの形で集客をし、見込み顧客の連絡先を集めることを指します。具体的には広告や自然検索でウェブサイトを見つけやすくしたり、SNSで情報を発信したりする活動のことです。
リードクオリフィケーションとは、ナーチャリングした見込み顧客の中から、営業時に確度高く商談・受注につながる見込み顧客を選定する方法です。具体的にはMAツールでスコアリング、データ分析を行うことを指しています。
【リードの種類と各役割】
- リードジェネレーション:集客施策を打ち、リードを獲得する
- リードナーチャリング:集めたリードと接点を持ち、温める
- リードクオリフィケーション:温めたリードの中から、営業する顧客を選定する
リードナーチャリングを行う4つのメリット
リードナーチャリングの実施で、4つのメリットが得られます。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
【メリット1】ハウスリストを活用し、商談につなげられる
これまでの広告や会員登録、名刺交換などによって獲得してきた見込み顧客のメールアドレスや電話番号の一覧を「ハウスリスト」と呼びます。
現在の個人情報保護法により、見込み顧客の連絡先をリスト会社から購入することが難しいため※2、営業する上でハウスリストは企業にとって大きな資産といえます。
※2参考:令和3年 改正個人情報保護法について(官民を通じた個人情報保護制度の見直し)(個人情報保護委員会)
また、ハウスリストは少なくとも一度は自社との関係性を持った顧客なので、初対面よりも見込み顧客の心理的なハードルが低く、商談につながる可能性が高いと考えられます。
リードナーチャリングはハウスリストを活用して見込み顧客にアプローチできるので、既存の資産を活かすことが可能です。
【メリット2】興味を持った顧客を逃さず、機会損失を減らせる
資料請求やセミナー参加など自分から能動的な行動を起こしている見込み顧客は、何らかの興味や課題を持っている可能性が高いです。
リードナーチャリングを行うことは、これまで機会損失となっていた顧客が獲得できる可能性を秘めているといえるでしょう。
【メリット3】闇雲に営業するよりも、営業効率や受注率が上がる
対応すべきリードの数が多くなればなるほど、営業効率や受注率が下がってしまうことも営業担当者の悩みの種です。
リードナーチャリングは、この悩みをリードクオリフィケーションと組み合わせることで解決できます。
例えば、メールを開くと1点、資料請求をすると3点、セミナーに参加すると5点といった点数を見込み顧客に付与します。その上で、一定期間内に合計30点に到達した見込み顧客には自動メールで「個別お悩み相談会」の日程調整を打診するといったシナリオを組むのです。
そうすることで、見込み顧客の悩みが顕在化したタイミングで営業担当者が商談を行うことができるので、闇雲に営業するよりも営業効率や受注率を上げることが可能となります。
【メリット4】リード獲得を増やすだけで、商談につながる基盤が作れる
「リードを獲得すれば商談につなげられる」という万全な態勢を整えることができるのも、リードナーチャリングの大きなメリットといえます。
事前に自社における王道のシナリオが確立できていれば、マーケティング費用をリード獲得する施策に費やすだけで商談数、ひいては受注数を増やすことができるからです。
王道のシナリオを作るまでには時間を要します。ですがその分、商談に結びつく基盤が整えられるので、リードナーチャリングは最大の魅力といえるでしょう。
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リードナーチャリングを行う際のデメリット
メリットがある一方でリードナーチャリングには、下記のような2つのデメリットがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【デメリット1】ナーチャリングを行うまでに工数がかかる
リードナーチャリングを行う前に、シナリオ設計をしなければなりません。
シナリオ設計をするには、下記の工程が必要です。特に2の工程では、リードの属性ごとにシナリオを作成するため、さらに多くの工数がかかります(シナリオ設計について、本記事の「リードナーチャリングの実施フロー4ステップ」でも解説しています)。
【シナリオ設計の3工程】
- リードの属性を分類する
- 分類した各属性に合わせたシナリオを作成する
- 作成したシナリオを配信する
このようにナーチャリングを行う際には、リードに合わせた対応が必要になる場合が多いです。また、シナリオ設計だけではなく他のナーチャリング手法でも工数がかかってしまう点はデメリットといえるでしょう。
【デメリット2】成果が出るまでに時間がかかることがある
リードナーチャリングは、成果が出るまでに時間がかかることもデメリットのひとつとして挙げられます。
リードの状態によっては、多くの過程を踏みナーチャリングしなければなりません。例えば、「興味あるフェーズ」の状態であれば、そこから「比較と検討のフェーズ」を経て自社の商品やサービスを選んでもらう時間が必要です。
一方で、すでにある程度比較し、検討段階のリードであれば、それほど時間がかからないこともあります。しかし、リードの多くは興味や比較のフェーズである場合が多いため、ナーチャリングを行っても成果が出るまでにある程度の時間がかかってしまうのが現状です。
そのため、ナーチャリングを行う場合は、あらかじめ成果が出るまでに時間がかかることを念頭に取り組みましょう。
リードナーチャリングの7つの手法
リードナーチャリングの重要ポイントは、ユーザーがパッと見たときに「あ、いいかも!」「勉強になる!」など良い印象を抱いて覚えてもらうことです。
ここでは、代表的な7つの手法をユースケース(活用事例)と一緒に紹介します。
【手法1】電話
電話は最も古くからあり、イメージしやすいリードナーチャリング手法です。
電話は、1対1で見込み顧客と対話が可能であることが最大の特徴です。「見込み顧客が必要としている情報が何なのか」というニーズを確かめ、適切な情報提供を行うことで、自社商品への興味・関心を強化できます。
このように見込み顧客のニーズをリアルタイムで把握し、受注確度が高い商談の機会を営業担当に供給できることは、電話ならではのメリットといえるでしょう。
【手法2】メール
メールも電話と同じく、古くからあるリードナーチャリング手法です。
メールは、目的によってフェーズの異なる見込み顧客に分けて送付します。例として、下記4種類のメールナーチャリングを紹介します。
【4種類のメールナーチャリング】
- ステップメール:無料サービスに申し込んだユーザーに対して、サービス利用開始から5日後に、より便利な有償アップグレード機能の紹介をするメールを自動送付し、商談の打診を行う。
- セグメントメール:「建築業界の企業に勤めている見込み顧客のみ」など、特定の条件に合致した見込み顧客にだけ業界別事例のメールを送る。
- サンクスメール:問い合わせフォームへ入力を行った見込み顧客に対して、お礼メールとして「こんな資料もいかがですか」と資料請求を促す。
- 案内・集客メール:業界の最新情報や見込み顧客が気になるセミナー・イベントなどを案内する。
補足として、メールマガジンは、連絡先のわかる見込み顧客全員に送付する手法です。下記の記事で、詳しく解説していますので併せてご一読ください。
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【手法3】オウンドメディア
オウンドメディアとは、「集客」「ブランディング」「売上向上」「採用・求人」などを目的に企業が見込み顧客の知りたい情報をウェブサイト上で発信することを指します。
ナイルが支援したライオン株式会社のオウンドメディア「Lidea(リディア)」の事例では、自然検索数が2倍になりました※3。
オウンドメディアは、企業の商品・サービスを見込み顧客に伝えたいときに有効です。第一に、ユーザーの課題を解決する良質なコンテンツを発信することで、検索エンジンに対して有利に働きます。また、SNSでの共有は、見込み顧客の共感とシェアの可能性も広がり、自社ウェブサイトへ来訪のきっかけになるでしょう。
※3参考:オウンドメディア「Lidea」のSEO設計、コンテンツ企画・制作により、自然検索流入数が2倍に - ライオン株式会社(ナイルのSEO相談室/ナイル株式会社)
【手法4】ウェビナー
ウェビナーとは、ウェブとセミナーから取った言葉で呼ばれるオンラインで行うセミナーのことです。
興味関心度の高いユーザーを集めることができるほか、1度収録すれば2回目以降は録画した映像を見込み顧客に届けることもできます。
また、資料ダウンロードからいきなり問い合わせしてもらうのはハードルが高くても、ウェビナーへの参加はしてもらえることもあります。接点の数を増やせば商談につながる可能性が高まるので、とても有効な手法です。
【手法5】リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度ウェブサイトに来訪した見込み顧客に対してのみ特定の広告を掲載する手法です。
見込み顧客に自社の商品・サービスを思い出させる効果があるため、通常の広告よりも高い効果が見込めます。
なかでも「今だけ初回/初月無料」といった特典の訴求は、商品・サービスの購入を踏みとどまっていた見込み顧客に有効に働くでしょう。リターゲティング広告を機に再度興味を持ってもらうことで、商談などにつながる可能性もあります。
【手法6】チャットボット
チャットボットとは、見込み顧客の質問・回答内容によって返答するメッセージが異なる仕組みを持つ機能のことです。
専門的な知識がないと理解しづらい複雑な商品・サービスのケースに用いられ、よくある質問への対応や新商品の特徴紹介に適しています。
詳しいチャットボットの仕組みや精度の高い回答を行うための要素を知りたい方は、以下もご参照ください。
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【手法7】SNS
最後の手法は、FacebookやTwitter、YouTubeなどのSNSでの情報発信です。
企業アカウントからの発信で見込み顧客が集客できます。既存顧客の口コミやインフルエンサーによる自社商品・サービスの紹介では、認知が広がり、結果として見込み顧客の獲得につながりやすい一石二鳥の手法です。
また無料でアカウントも開設できるため、施策を検討しやすいことも魅力です。SNSを使った集客についてさらに詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
リードナーチャリングの実施フロー4ステップ
リードナーチャリングを行うには、大きく4つのステップがあります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
【ステップ1】シナリオ設計を行う
シナリオ設計とは、特定の行動を起こした見込み顧客に対して、どのようにアプローチするかを設計したものです。
例えば、下記のようなアクションをします。
【シナリオ設計の方法】
- 資料ダウンロードしたユーザーに、関連度の高いセミナーの動画を送る。
- 資料ダウンロード後に自社メディアに頻繁に訪れているユーザーに、電話でヒアリングする。
見込み顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでのカスタマージャーニーを描き、「探す」、「決める」、「使用する」、「評価する」のそれぞれのタイミングでどのような情報を必要とするのかを整理することから始めるといいでしょう。
【ステップ2】スコアリングのルールを作る
作成したシナリオに合わせ、見込み顧客の起こした行動に対して点数を付与します。
例えば、メールを開くと1点、資料請求をすると3点、セミナーに参加すると5点といった点数を付与します。
点数の配分は、見込み顧客の課題が顕在化していそうなものを高得点にすることが重要です。また、企業の規模などによっても点数付けをするケースもあります。
【ステップ3】シナリオに合わせたコンテンツを作る
ステップ1で作成したシナリオ設計に合わせて、見込み顧客が欲しいコンテンツを用意します。
例えば、オウンドメディアの検索順位が上がらず悩んでいる見込み顧客の場合であれば、下記のようなコンテンツ発信が有効と考えられます。
- オウンドメディアによくあるSEOの間違いと課題解決法
- SEOでやってはいけないこと10選
- 検索順位を改善するためのチェック項目10
- 2022年最新版のSEOに関する講習会(ウェビナー)
見込み顧客が欲しいコンテンツであれば、資料請求をしたり、ウェビナーに参加したりなどの行動を起こしやすいでしょう。
【ステップ4】スコアリングデータを集計して受注確度を見極める
ステップ1〜3の完了後は、スコアリングのデータをまとめて、合計点数がどのくらいになったら商談・受注がしやすいかの確度を検証します。
1度で完璧なリードナーチャリングを行うことは至難の業です。営業担当者と二人三脚で、見込み顧客のシナリオを見直し、各行動に関する点数配分の変更やコンテンツの修正・拡充に繰り返し取り組みましょう。
リードナーチャリングの質を高める2つの方法
リードナーチャリングの手法がわかっていても、実際に商談の質を高めることが難しいと悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、リードナーチャリングの質を高める2つの方法を紹介します。それぞれ詳しく確認していきましょう。
【方法1】コンサルタントを導入し、リードナーチャリングの戦略設計を強化する
自社にリードナーチャリングの成功体験がないと、どういったシナリオで何をすれば良いのかがイメージできないこともあります。
そんなときは思い切ってコンサルティング会社に依頼することもひとつの手です。プロのノウハウをもとに自社のリードナーチャリングを強化しましょう。
コンサルタントへの依頼は、今後自社でリードナーチャリングを内製化するときにも役立ちます。リードナーチャリングの質を高めるのはもちろん、今後内製化を進めていきたい方にもおすすめです。
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【方法2】 MAツールを使い、リードナーチャリングの効率・質をともに上げる
MAツールとは、見込み顧客が商品やサービスを購入するまでの動きを把握・管理し、自動的に適切なアプローチを仕掛けるためのシステムのことです。
膨大な見込み顧客数がある場合、特定の情報で見込み顧客を絞り込むだけで一苦労です。しかしMAツールを使えば簡単に条件が合致する見込み顧客だけを抽出できたり、シナリオを組んで自動でメールを送ったりすることもできます。
リードナーチャリングの効率、質をともに上げたい場合は、MAツールの導入を検討するとよいでしょう。MAツールの詳細や導入による詳しいメリットなどについては、以下をご参照ください。
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リードナーチャリングを行った後にやるべきこと
リードナーチャリング後は、ナーチャリングをして終わりではなく、リードクオリフィケーションを行いましょう。
リードクオリフィケーションとは、確度の高いリードを選別する施策です。数あるリードの中でも特に成果につながりやすいリードを選別することで、効率よく営業やクロージングに移行することが可能になります。
営業やクロージングをかけた際に成果につながらなかった場合は、再度ナーチャリングを行ったり、見込み顧客と信頼関係を築いたりする必要があります。成果につながらなかった場合でも、無理強いはせず、焦らずしっかりと関係を築いていくことが重要です。
リード獲得の土台となるオウンドメディアについてのご質問は、下のバナーよりお気軽にお問い合わせください。
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リードナーチャリングは1日にして成らず
リードナーチャリングは、取り組めばすぐに営業効率や受注率を上げることができるわけではありません。
しかしながら、見込み顧客が欲している情報は何かを理解し、コンバージョンポイントごとに適切なシナリオを用意できれば、自社の継続した売上を作る仕組みが完成することは間違いないです。
なお、ナイルでは、リードナーチャリングを行うのに必要なリードの獲得に悩んでいる方やうまくナーチャリングできないと悩んでいる方のために、ウェブコンサルティングを行っています。ナーチャリングに必要なコンテンツの作成から相談まで幅広く行っていますので、以下のバナーよりお気軽にお問い合わせください。
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