【具体例あり】カスタマージャーニーとは?作成方法や6つの活用アイデアを紹介

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【具体例あり】カスタマージャーニーとは?作成方法や6つの活用アイデアを紹介

カスタマージャーニーとは、顧客のことを理解し、自社の商品・サービスの購買へとつなげるためのフレームワークです。

本記事では、このカスタマージャーニーを作るメリットや作成方法、活用アイデアなどをお伝えします。

ナイルのWebコンサルティングサービス資料

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは、顧客(カスタマー)が商品・サービスを知ってから、購入・利用に至るまでの心理や体験をまとめたもののことです。

カスタマージャーニー説明図

 

BtoCの場合 「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「行動」
BtoBの場合 「認知」→「情報収集」→「比較・検討」→「商談」→「承認・決済」

 

上記のようにBtoCとBtoBではプロセスが少し異なりますが、基本的には自社の商品・サービスを認知してから購入し利用後までのプロセスを時系列でまとめます。

このカスタマージャーニーを下記のように図式化したものを「カスタマージャーニーマップ」といいます。

転職サービスを例にしたカスタマージャーニーマップの画像

 

カスタマージャーニーとペルソナの関係性

カスタマージャーニーとペルソナの違いは、何を把握するかにあります。

種類 概要 把握すること
カスタマージャーニー 顧客を理解し、自社の商品・サービスの購買へとつなげるフレームワークのこと ある人物が商品・サービスを利用する「過程」
ペルソナ 商品やサービスのターゲットとなる象徴的な顧客モデルのこと 商品・サービスを利用する「人物像」

 

上記のように、カスタマージャーニーは、ある人物が商品を購入するまでの心理や行動などを可視化することに対し、ペルソナは人物像を具体化することです。

マーケティングでは、誰に向けてどのようなアプローチをどのように伝えるかが重要です。そのため、ペルソナに沿ってカスタマージャーニーを作成することで、ターゲットが自社を認知してから購入にいたるまでに必要なコンテンツや施策を整理できます。

なお、ペルソナ設計の方法は以下の資料にまとめていますので、以下のバナーからお気軽にダウンロードしてください。

 

カスタマージャーニーを作る目的とは 

カスタマージャーニーマップを作っても売上につながるわけではないので、「意味がない」と考える人はいます。ここで、ナイルがあえて作成すべきと考えている理由を紹介します。

カスタマージャーニーが「古い」「意味がない」と言われる背景

カスタマージャーニーは、「今や時代遅れ」と言われることがあります。その理由は、現代の顧客が商品・サービスを購入するまでのプロセスが、絵に描いたような一本道ではないからです。

例えば、なんとなくネットサーフィンを始めて、ふいに目にした商品を即座に購入した経験(パルス消費)はありませんか?一方、検索エンジンやSNSで時間をかけて口コミを調べ、納得してから購入にいたるケース(バタフライサーキット)もあります。

以上の消費行動を考えると、「カスタマージャーニーは、机上の空論に過ぎない」と論じられるのは合点がいきます。

それでも、カスタマージャーニーの作成が必要と考える理由

結論、ナイルとしては、カスタマージャーニーを作る選択がベターだと考えています。なぜなら、マーケティングにおいてユーザーの理解を深めることは、必須事項だからです。

カスタマージャーニーを作る時間は、「ユーザーのことを考える時間」ともいえます。ユーザーの行動や心理状態をマップに書き出すことで、目的にそぐわない施策を行うリスクを軽減できます。

もちろん、作成したから施策がうまくいくというわけでは決してありません。ですが、ユーザーを無視してマーケティングを進めないためにも、カスタマージャーニーを作成する時間を確保することを推奨します。

なお、以下の動画でも解説していますので、併せてご覧ください。

 

カスタマージャーニーを作る4つのメリット

カスタマージャーニーを作ると、下記の4つのメリットが得られます。

カスタマージャーニーを作る4つのメリット

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

メリット1 ユーザーや自社の理解を深められる

カスタマージャーニーの作成によって、ユーザーの理解だけではなく「自社への理解」も深められます。カスタマージャーニーによって明確になったユーザーの課題を解決するために、自社の商品・サービスの「長所」が浮き彫りになるからです。

繰り返しになりますが、カスタマージャーニーを作成するには、ユーザーの「心理状態」や「求めているもの」などを深く考えなければなりません。同時に、自社商品がどのように貢献できるのかを見極めるため、ユーザーに提供できる価値を再認識できます。

明確になったユーザーにとっての価値は企業のブランドとなり、それを広く認知してもらうことで「ブランディング」へとつながります。

メリット2 施策の優先順位が見えてくる

2つ目のメリットは、目的に合った施策の優先順位が見えてくることです。カスタマージャーニーを作ると、各フェーズで「自社がユーザーにすべきこと」が明確になります。

例えば、売上を作らなければならない場合の施策は、「認知フェーズ」より「比較検討フェーズ」の優先度が高いです。

自社の商品・サービスを知ってもらえても、比較できるだけの情報(=コンテンツ)が不足していると、顧客が魅力を理解できず商機を逃すリスクがあります。施策の優先順位を決める際は、「ゴールに近いもの」から先に手をつけましょう。

メリット3 KPIを設定しやすくなる

カスタマージャーニーを作ることで、KPIを設定しやすくなります。フェーズでとるべき自社の施策が可視化されるためです。なおKPIとは、最終的なゴールを達成するためのプロセスの進捗具合を測るための指標のことを指します。

例えば、認知フェーズでSNS発信の強化が必要な場合なら、「インプレッション数」や「フォロワーの数」などに数値目標を作るイメージです。

このように、それぞれの施策に数値目標を設定することで、KPIが明確になります。

メリット4 チームで共通の認識を持てる

カスタマージャーニーを作成するメリットの1つには、チームの認識を統一できることもあります。どのようなターゲットに向けてどの施策が必要であるかを、まとめて共有できるからです。

例えば、新しい化粧品を販売する場合、ターゲットは女性・男性・ジェンダーレスの3者が考えられます。チーム内の認識が合っていないと、男性向け商品に「かわいいを手に入れよう!」という女性向けのキャッチコピーを考案してしまった、という状況が起こります。

また、カスタマージャーニーがあれば、企業内で各部署が行っている施策が一目瞭然になる点も利点です。施策を実施する主体は、下記のように別部署になるケースが一般的です。

  • 認知フェーズの施策:マーケティング部門
  • 購入フェーズの施策:営業部門
  • 継続フェーズの施策:カスタマーサクセス部門

そこでカスタマージャーニーを作ることで、部署をまたいでも同じプロセスを意識しながら施策を実行できるようになります。結果として、施策が重複したり重要な施策が抜け落ちたりすることを防ぎ、ユーザーをよりスムーズに購入・継続までつなげられます。

カスタマージャーニーの作り方7ステップ 

カスタマージャーニーを作る7ステップ

 

No. 工程 概要
1 ペルソナを設定する 自社の商品・サービスの典型的な顧客モデルを設定する
2 ペルソナがたどり着くゴールを決める 「商品購入」や「サービスの導入・資料請求」など、ペルソナにとって欲しい行動を設定する
3 マップの縦軸・横軸を設定する 顧客の心理状況や課題を明確にして、その顧客へ届けるべき情報を考える
4 タッチポイントを設定する 商品やブランドと、顧客との接点(タッチポイント)をどのような施策で作るか設定する
5 顧客の行動を洗い出し、時系列に並べる 顧客の行動をステップごとに洗い出し、どのタッチポイントと接するかを整理する
6 顧客の感情や思考の洗い出しをする アンケート・リサーチ情報をもとに顧客が考えていることを具体化する
7 現状の課題を見つけ、施策を検討する 明確にした顧客の心理・課題に合わせて、必要な施策を検討する

 

カスタマージャーニーを作成する流れは、上記のとおりです。まずペルソナを明確にしたら、ペルソナに起こしてもらいたい行動をゴールとして設定し、施策をピックアップします。

例えば、転職を考えている人が「転職活動の具体的な進め方」を知りたい場合には、検索エンジンに「転職 方法」などのキーワードを入れて検索すると考えられます。

そこで、ユーザーとのタッチポイントを作るために、「『転職 方法』のキーワードで上位に表示されるようなSEO記事を書く」ことが施策の候補として挙がるイメージです。

なお、作り方の詳細は下記の記事でお伝えしていますので、参考にしてください。

【無料配布】ナイル流カスタマージャーニーマップのテンプレート

ナイルでは、カスタマージャーニーのテンプレートを無料で配布しています。BtoBにもBtoCにも使えるスタンダードなテンプレートなので、ぜひご活用ください。

カスタマージャーニーマップ 無料テンプレート ダウンロード

また、以下の記事で他社のプレートも紹介していますので、ご興味のある方は併せてチェックしてください。

カスタマージャーニーを作る際の3つのポイント

カスタマージャーニーを作成する際のポイントは、下記の3つです。

カスタマージャーニーを作る際の3つのポイント

 

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

ポイント1 自社にだけ都合の良いストーリーを描かない

カスタマージャーニーを作る際に、ありがちなのが「自社にとって、あまりに都合の良いストーリーを描いてしまう」ことです。主に、既存顧客の声を把握していないときに起こります。

よくある失敗は、下記のようなストーリーです。

  1. 広告を見たユーザーが、自社の商品を認知する
  2. ユーザーは広告を何度か見ているうちに、気になって商品名でウェブ検索する
  3. サイトを見て、さらに商品が気に入ったので、そのまま購入する

上記の失敗は、「ユーザーは何度か広告を見ただけで検索する」と認識している点です。実際は、「自分の抱えている課題を解決してくれるかもしれない」という希望を抱いてから検索などの行動を起こすのが一般的です。

都合の良いストーリーを描かないようにするために、スタッフの考えだけで議論をせず、顧客に行ったアンケート結果をもとに設計します。カスタマージャーニーを作る際は、あくまで実在する顧客の声や行動を可視化すると考えましょう。

ポイント2 最初から完璧を目指さない

はじめてカスタマージャーニーを作るときは、「なるべくシンプルなものにする」と心がけておくことが大切です。そもそも、人の心理は複雑です。すべてをカバーしようと思うと、カスタマージャーニーに記載すべき項目の数は膨大な量になります。

そのため、一回で完璧なものを作ろうとすると、いつまで経っても完成しない上、実情と合っていないものができあがることがあります。

そこで大切なのは、まずは完成させることです。施策をスタートしてから、そのなかで気づいたことを徐々に更新する方法なら、時間はかかるものの実情に近いカスタマージャーニーが完成します。

ポイント3 複数の部署で連携して作成する

カスタマージャーニーはひとつの部署で作るのではなく、関係するすべての部署で連携しながら作りましょう。社内全体で同じ認識を持って施策を進めるためです。

カスタマージャーニーに盛り込む施策は、下記のように、社内の複数の部署にまたがるのが一般的です。

  • 認知のための施策:マーケティング部門
  • 販売のための施策:営業部門
  • リピーター獲得のための施策:カスタマーサクセス部門

各部署が納得できるカスタマージャーニーを作成し、それに沿って施策を実施することで、全員が同じ方向を見ながら企業の売上アップに取り組めます。

【シーン別】カスタマージャーニーマップの活用例6選 

ここでは、カスタマージャーニーマップをビジネスに活用するシーンの例として、下記の6つを紹介します。

【シーン別】カスタマージャーニーマップの活用例6選

 

シーン1 ECサイトの顧客体験を改善する

「文房具のECサイト」のカスタマージャーニーマップ

 

まず紹介するのは、文房具を販売するECサイトのカスタマージャーニーマップです。ECサイトは、「消費者に商品を購入してもらうこと」を目的として運営されるものです。

一方、ターゲットの中には、すでに購入する商品を決めている人もいれば、自分自身で「〇〇が必要だ」と気がついていない人もいます。そのため、「商品ページを公開していば自然に売れる」という考えで運営してしまうのは少し危険です。

カスタマージャーニーマップで、商品を求めている人がどのような悩みを抱えているのかを把握すれば、まだ購入を検討していない段階の人とも接点を持てるコンテンツを制作できます。

結果的に、潜在的に商品を求めている人に早く情報を届けられるため、より商機を逃しにくくなります。

シーン2 モバイルアプリのダウンロード数を増やす

「動画加工アプリ」のカスタマージャーニーマップ

 

モバイルアプリのダウンロード数を増やす際も、カスタマージャーニーが役立ちます。ユーザーがアプリを認知する前からダウンロードするまでのプロセスをまとめることで、何を求めて自社アプリにたどり着いたのかが明確になります。

動画の加工アプリをダウンロードする人の目的は、写真をイメージどおりに加工することです。ですが、その背景には「友だちに褒めてもらいたい」「自分を認めてもらいたい」など、その人自身が気がついていない願望が隠れています。

それを考慮した上でコンテンツや機能を充実させることで、ユーザーの願望を満たして満足度の向上を目指せます。

シーン3 大学・専門学校などの申し込み数を増加させる

「美容師の専門学校」のカスタマージャーニーマップ

 

次に紹介するのは、専門学校が生徒を募集する際に作成するカスタマージャーニーマップです。学校を認知する前からオープンキャンパスへ申し込みをするまでの、学生の行動や思考を整理しています。

学校選びは、生徒の意志だけで決まることもあれば、さまざまな状況から家庭で話し合いを重ねられることもあります。その背景を可視化しておくと、生徒だけではなく保護者にも選んでもらうために必要なコンテンツが見えてきます。

シーン4 BtoB向け製品への問い合わせを増やす

「請求管理ツール」のカスタマージャーニーマップ

 

BtoB向け製品の場合、検討から成約までの期間が長い点が一般的です。そこで、カスタマージャーによって担当者の行動を整理しておくと、各フェーズで必要なコンテンツが見えてきます。

例えば、サービス提供者からツール選びに悩む人に向けて情報発信をする際、課題に合わせた選び方を発信するケースがあります。

選び方を解説するだけでも問題はないですが、担当者の上長の存在も念頭に置いておけば、より具体的に提案するための事例紹介や、導入後の効果を数値でまとめた資料を用意するといった、一歩進んだ情報を届けられます。

多くの施策を進めているとこのような視点を忘れてしまうことがあるため、常にターゲットに寄り添った提案をするためにもカスタマージャーニーは有効です。

シーン5 人事システムの受注率をアップする

「人事・労務管理システム」のカスタマージャーニーマップ

 

社内向けのシステム導入では、担当者だけではなく、上長や部下などさまざまな人物のニーズが関係します。そこでカスタマージャーニーによって 担当者の思考を視覚化すれば、各フェーズで必要なコンテンツが見えてきます。

例えば、導入にあたり自社の導入要件と適しているのかを判断するためにも他社との機能の違いが明確にわかる比較記事を用意することで導入の後押しが出来ます。

なお、下記の記事でも、BtoBビジネスでカスタマージャーニーを活用する方法を紹介していますので、併せてご覧ください。

シーン6 自社スタッフの採用率を向上する

「営業スタッフを募集する企業」のカスタマージャーニーマップ

 

上記のように、採用でもカスタマージャーニーの活用が有効です。転職を考える人の多くは、決断するまでに時間を要します。良い条件の転職先が目の前にあったとしても、失敗を恐れる気持ちから悩みを抱えるためです。

そこで、応募する人がどのような心理で応募にいたるのかを洗い出すことで、ターゲットと早い段階で接点を持てます。さらに、悩みを解決する情報を発信すれば信頼度が高まり、転職を決断したときに、応募先の候補として思い出してもらえます。

以上、カスタマージャーニーの活用アイデアを6つ紹介しましたが、あくまで一例のため、自社で作成する際は自社ターゲットの悩みや課題などに合わせて内容を検討しましょう。

なお「自社ではどのようなコンテンツを制作すれば良いのかわからない」とお考えの方に、無料相談をご用意していますので、以下からお気軽にお試しください。

 

カスタマージャーニーの作成に困ったらナイルにご相談ください!

本記事では、カスタマージャーニーを作るメリットや、作成方法・注意点などをお伝えしました。カスタマージャーニーがまだない場合には、ぜひ本記事を参考にしながら、作成をしてみてください。

ただし、カスタマージャーニーを作る際には、設定したターゲットの心理を深く探っていかなければなりません。このため、社内にマーケティングのノウハウや知識があまりない場合には、作成の途中で行き詰まってしまうことがあります。

そこで、「自社だけで作成するのが難しい」と感じられた場合には、お気軽にナイルにご連絡ください。カスタマージャーニーを作るサポートはもちろん、成果につなげるためのウェブマーケティングへの活用方法も提案いたします。

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2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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