【これが最強】BtoBウェブマーケを成功に導く「裏カスタマージャーニーマップ」

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【これが最強】BtoBウェブマーケを成功に導く「裏カスタマージャーニーマップ」

こんにちは、ナイル株式会社の青木です。今回は、ライター組合代表の佐々木ゴウさんをお招きして、これまでのBtoBウェブマーケティングの固定観念をくつがえす(かもしれない)新常識「裏カスタマージャーニーマップ」を紹介します。

これからBtoBウェブマーケティングに本腰を入れたいという方は、ぜひお読みください。

回答者 青木 創平

ナイルSEO研究所所長・SEOコンサルタント。大規模データベース型サイトなどのSEOプロジェクトや、サービスサイトにおけるオウンドメディアマーケティングなどを手掛ける集客のスペシャリスト。

YouTube「ナイルTV / WEBマーケティング相談室」のパーソナリティとしても活動中。


質問者 佐々木ゴウさん

株式会社ライター組合、douco株式会社代表。SEO・導入事例・ホワイトペーパー・メールマガジンなど各方面からBtoBのオウンドメディアを幅広く支援中。

BtoBウェブマーケティングは何からはじめるべきか

佐々木さん

今回、青木さんに伺いたいのが「BtoBウェブマーケティング、何からはじめるべきか問題」です。とある人事システム会社のお客さん(以下「A人事システム」)から、「受注を増やしたいから、とりあえずSEO記事作ってくれんか」と相談が来まして。

青木

でましたね、「とりあえずSEO」。それ、受注を増やす目的としては悪手だと思います。結論を言うと「すでにサービスに興味がある人へのアプローチ」から取り組むのがおすすめです。

佐々木さん

どういうことでしょうか。

青木

SEOは集客施策です。いくら集客しても商談や受注につなげる流れが整っていなければ、なかなか成約してもらえません。クロージングできないので、他社の類似システムにどんどん流れていってしまうと思います。

佐々木さん

なるほど。僕の本に書いた、この図のような感じになりますかね。いわば「覆水、他社に奪われ、盆に返らず」的な。

必要な情報がそろっていない=もう少しでかいそうな人が離脱。それどころか、情報の揃っている類似商品に流れて戻ってこない

 

佐々木ゴウ『デジタル時代の実践スキル Webライティング 読者が離脱しない、共感&行動を呼ぶための最強メソッド』翔泳社,2022年,p.36.

受注から入る「裏カスタマージャーニーマップ」

佐々木さん
初手SEOが微妙なのはわかりました。でも「サービスに興味がある人へのアプローチ」って、結局何をしたら良いのでしょうか?

青木
悩みますよね。そこで「裏カスタマージャーニーマップ」というものを作りました。これはマーケティングでよく使われる「カスタマージャーニーマップ」を裏返したものです。これにそって施策を進めると、受注につながりやすい人から順にアプローチができるようになります。

裏カスタマージャーニーマップの概要。商談直前→比較検討→情報収集→認知・興味→認知前

 

佐々木さん
なるほど、カスタマージャーニーマップを裏返しにすれば、商談や問い合わせなどコンバージョンに近い人から順になる。気がつきませんでした!

それにしても、定番のSEOやSNSよりも先にサービスページや事例紹介を用意するというのは興味深いですね。

青木
いくら集客を頑張ってリードの母数を増やしても、最終的に契約されなければ売上は0です。「取れる売上を取る」ならこの順番ではないでしょうか。

裏カスタマージャーニーマップ5つのステップ

佐々木さん

では、具体的な詳細を教えてください。

青木

このマップは、こちらの5つのステップで構成しています。順番に見ていきましょう。

裏カスタマージャーニーマップ5つのステップステップ1 商談直前、ステップ2 比較検討、ステップ3 情報収集、ステップ4 認知・興味、ステップ5 認知前

 

ちなみに、どのステップにも終わりがなく、進むほどにやることは増えていくので、どんどん忙しくなっていきます。体制も整えながら進めるようにしてくださいね。

ステップ1 商談直前

商談直前段階をフォーカス。裏カスタマージャーニーマップの概要。商談直前→比較検討→情報収集→認知・興味→認知前

 

青木

まず最初のステップが、問い合わせ直前など商談・受注に近い人を取りこぼさないようにすることです。この段階の人は、課題感も明確な上、その課題をサービスで解決できることも知っています。「あと一押しで顧客」ですから、最優先でアプローチします。

佐々木さん

具体的に何をすればいいのでしょうか?

青木

「万全の状態での待ち受け」をします。例えば、今回の「A人事システム」なら、こういった施策が有効です。

有効な施策

概要

指名検索のリスティング広告を出す 「A人事システム」「A人事システム 評判」
サービス紹介ページを用意する サービスの内容や料金、契約方法、導入支援など基本情報を詳しく説明したページを用意する
導入事例を用意する 「A人事システム」導入企業の成功事例やインタビューを用意する

佐々木さん

たしかに、いくらサービスに興味があっても情報が不足していると離脱しますよね。「どうしてもこのサービスが必要」とかでもない限り、よく似た別のサービスに目移りしてしまいます。

青木

はい、お客さんは情報が足りないと、わからなさや不安感ですぐに離脱します。なので、ご指名で入ってきた人が欲しがる情報はすべて先回って用意しておきたいですね。

ちなみに契約してくれたお客さんにインタビューやアンケートをして、「契約の決め手」「契約前に悩んだ点」を聞くのもおすすめです。ニーズがわかれば、どんなコンテンツを用意すべきかがわかります。

ステップ2 比較段階

比較段階をフォーカス。裏カスタマージャーニーマップの概要。商談直前→比較検討→情報収集→認知・興味→認知前

 

青木

次は比較・検討段階の人へのアプローチです。この段階の方々は、「A人事システム」のような固有名詞ではなく「人事評価システム」のような一般名詞に「おすすめ」や「口コミ」といった言葉をつけて検索をするのが特徴です。

課題感は明確ですが、こちらのサービスの理解や納得が不足しているので、すぐに商談化しないことが多いです。そこで気軽にダウンロードできるホワイトペーパーを用意して理解を深めてもらいましょう。競合優位性や課題解決力を伝える「会社紹介」や「ノウハウ資料」がおすすめです。

それから流入の間口も少し広げます。さきほどお伝えした「一般名詞」あたりまでリスティング広告でカバーしておきたいですね。余裕があればFacebook広告のようなターゲティングに強いディスプレイ型広告や、受注につながるキーワードでのSEOを取り入れてもいいでしょう。

有効な施策

概要

ホワイトペーパーの用意 会社紹介やノウハウ系のダウンロード資料を配布
リスティング広告のキーワードを拡げる 「人事システム おすすめ」「人事システム 口コミ/評判」など
ディスプレイ広告を出稿する Google広告、SNS広告(特にFacebook広告)など
受注・商談につながるキーワードでSEO リスティングや検索流入を分析し、受注につながるキーワードでSEOを行う

佐々木さん

急にやることが増えますね……。頭から煙が出てきそうです。

青木

はい。もっと言えば、ウェビナーメールマガジンでのリードナーチャリングも加わってきます。

佐々木さん

それはたいへんです……。

青木

なので、このあたりで増員やインサイドセールスの強化といった「体制づくり」が必要になります。当然、実績がないと社内の協力も得られませんから、ステップ1でしっかり「売上」の成果を出しておきましょう。セッションやリードだけでは会社は動いてくれないですから。

\ホワイトペーパー作りや体制構築でお悩みの方は、お気軽に無料相談をご活用ください/

ステップ3 情報収集

情報収集段階をフォーカス。裏カスタマージャーニーマップの概要。商談直前→比較検討→情報収集→認知・興味→認知前

 

佐々木さん
次のステップは情報収集ですね。ここでようやくコンテンツマーケティングやSEOが出てきました。

青木
この段階の方々は、課題意識もあいまいで、こちらが提供するサービスのこともよく知りません。なので、いきなり受注を狙うのではなく、まずはコンテンツで知識を提供しつつ、こちらへの興味の糸口を掴んでもらうのがメインになってきます。

有効な施策

概要

コンテンツマーケティング・SEO ブログやオウンドメディアを立ち上げ、顧客に知識を提供しつつ、こちらへの興味を深めてもらう
SNS運用 LINEやX(twitter)、YouTube、Facebookなどで情報発信し、コンテンツ同士で相互送客する
展示会に出展 BtoB展示会で情報収集中の企業にコンタクトをとる
リード獲得サービスの活用 WEB幹事メディアレーダーなどポータルで集客する

佐々木さん
こうしてみると、たしかにコンテンツマーケティングやSNSは、受注から少し距離のある施策に感じられますね。

青木
ステップ1と2ができていれば機能するんです。コンテンツで連れてきた人がリードになり、ナーチャリングを経て商談化するという理想的な流れができあがりますから。ただ、この流れがない状態でがんばっても、なかなか商談や受注に至らないんです。

普通のカスタマージャーニーマップは、顧客の行動としては理にかなっているのですが、受注獲得を目的として見ると、成果がでるまでに時間がかかりすぎてしまう気がします。そこでこの「裏カスタマージャーニーマップ」が活きてくるわけですね。

ステップ4 認知・興味

認知・興味段階をフォーカス。裏カスタマージャーニーマップの概要。商談直前→比較検討→情報収集→認知・興味→認知前

 

佐々木さん
ステップ4は、そもそも認知も興味もあまりない人たち向けのアプローチですね。どういった施策が考えられるのでしょうか。

青木
この段階の方々は、課題意識もあいまいで、サービスのことも知りません。当然、受注まではほど遠いですが、関係を作っておくことで、中長期的にお客さんになってもらえる可能性があります。なので優先度は落としつつも、接点を持てるよう試みます。

基本的にはステップ3の続きで、より手広くコンテンツマーケティングとSEOを展開することになります。加えて、プレスリリースや純広告といった形で、こちらから露出を取りに行くこともありますね。

有効な施策

概要

コンテンツマーケティング・SEO(より広いキーワード) サービスそのものから距離のあるキーワードまで網羅的にコンテンツを用意し、接点を拡げる
プレスリリース 新聞やマスメディアに取り上げてもらい、知ってもらう機会を作る

佐々木さん
ステップ1~2あたりまでは「待ち受け」的でしたが、ここまでくると「攻め」にいくイメージですね。

青木
そうですね。興味がない人のところまで出向いて振り向かせる感じです。興味がある人を待ち受けるのと比べて難易度も高いですし、やはり待ち受けから入る方が効率的だなと思います。

ステップ5 認知前

認知前段階をフォーカス。裏カスタマージャーニーマップの概要。商談直前→比較検討→情報収集→認知・興味→認知前

 

青木
最後がもっとも商談から距離が遠い「認知前」です。ゴウさんの言葉を借りるとまさに「攻め」しかないところです。課題感も接点も0ですし、認知してくれたとしても、すぐに何がどうなるでもないので、優先度も低いです。

佐々木さん
どういった施策をするのでしょうか。

青木
ステップ3~4で取り組んだコンテンツマーケティングやSNS運営といった施策を続けるのが基本です。ただ、本当に「攻める」という点において、ダイレクトメールや架電といった選択肢をとる場合もあります。

佐々木さん
飛び込みセールスのようなイメージですね。

青木
はい。ダイレクトメールや架電は「やってる感」が出るので、がんばる方もよくお見かけします。ただ、お客さんの状況なども考慮せずに飛び込んでも、なかなか難しいのが正直なところだと思います。マーケティング的な再現性も低いので、アテにしすぎないようにしたいですね。やるとしても、しっかり受注までの流れが組めてから、だと思います。

「これから」だからこそ、裏から入る

佐々木さん
5つのステップ、よくわかりました!ただ、ちょっと気になるのが、普通のカスタマージャーニーマップとの使い分けです。いわゆる「裏版」は、どんなときに使うのでしょうか。

青木
これから本格的にマーケティングに取り組むときにおすすめしたいです。

私たちナイルが実際にそうでしたが、軌道に乗る前のマーケティング部署は孤軍奮闘になりがちです。体制も仕組みも不十分で、周辺部署の協力も得づらいなか、リードの数だけ増やしても、さばけなくなってしまうのです。そうすると本当に取るべき顧客が誰なのかを見失ってしまって、取れる契約も取れなくなります。

ですから、「これから」の方は、裏版を参考に、まずは契約に近い人からアプローチをはじめて、しっかり実績を作る。そして実績をもとに予算を得て、体制や仕組みを整えていくようにするといいと思います。実績への跳ね返り方や、やりやすさが改善されるはずです。

外部の支援も積極的に頼ろう

佐々木さん
今回お話を伺って、あらためてBtoBのウェブマーケティングってやることが多いなと思いました。

青木
そうですね。ステップが進むほどにやることも増えて大変になりますし、社内の協力が得られるようになっても、知識や人数には限りがあります。なので、外部の支援も積極的に頼るのもおすすめです。

BtoBのウェブマーケティングでどんな支援を受けられるのか、どのくらいの費用がかかるのかなど、気になることがあれば、まずはナイルの無料相談まで連絡してほしいですね。社内での説明や予算交渉なんかも一緒にお話することもできますので、ぜひお気軽にお声がけください。

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編集者情報

金子 光
金子 光(かねこ ひかる)
新卒で楽天グループ株式会社に入社。
営業管理として40人規模のチームをマネジメント。その後社員3人のベンチャー企業に入社し新規事業立ち上げを経験。
現在はナイルのマーケティング相談室編集長として、Webマーケティングに従事している。
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監修者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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