多くの旅行者は、宿泊先を探す際にOTA(Online Travel Agent)サイトを利用しています。
そのため、ホテルや旅館が自サイトで集客力を高めるには、SEOへの取り組みは欠かせません。
この記事では、ホテル・旅館業界の企業がSEOを行うメリットと、SEOに取り組む際のポイントを解説。
ビジネスホテル、リゾートホテルなど、ビジネスの形態別に重視したいSEOについても紹介します。
マーケティングでお悩みの方へ
目次
ホテル業界におけるSEOの現状
まずは、ホテル業界におけるSEOの現状を見ていきましょう。
新規の宿泊者がよく検索する「地域名×ホテル」「地域名×ホテル×おすすめ」といったキーワードでGoogle検索を行うと、OTA(Online Travel Agent)のWebサイトがほぼ上位を独占しています。
OTAとは、さまざまなホテルの情報を取り扱う旅行代理店のことで、楽天トラベルやトリップアドバイザー、エクスペディアといったWeb上だけで取引を行う会社を指します。
OTAサイトが検索結果で上位表示されるのは、Googleの検索アルゴリズムがユーザーの利便性や情報の正確性を重視しているためです。
初めての場所を訪れるユーザーは、宿泊可能なホテルの情報を一度に収集し、それぞれの特徴を比較したいというニーズがあります。
そのため、ユーザーレビューなどをもとに複数のホテルを一覧で比較できるOTAサイトが上位表示されやすいのです。
例えばGoogleで「札幌 ホテル」と検索した際の自然検索の上位表示は、下図のようになります。
こうした状況を踏まえると、有名ホテルを除いた、一般的なホテルのWebサイトが「地域名×ホテル」といった地域名の掛け合わせで、OTAサイトより検索上位に表示されるのは難しいといえます。
しかし、OTAサイトで得た情報をもとに、特定のホテルに目星をつけたら、「◯◯ホテル」「◯◯ホテル 朝食」「◯◯ホテル 大浴場」といったホテル名の掛け合わせで検索を行うユーザーは一定数います。
実際、ホテルの公式サイトへの流入の8~9割は指名検索です。
そのため、指名検索で流入するユーザーは、そのまま商品やサービスを利用する可能性が高く、自サイトのSEOを行うことは重要といえるでしょう。
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ホテル業界の企業が自サイトを持つメリット
OTAの集客力を考えると、「わざわざ自サイトを持つ必要はないのでは?」「自サイトがあっても、時間やお金がかかるだけなのでは?」と思う方もいるでしょう。
しかし、ホテルの公式サイトには、予約の最後の一押しとしての力があり、重要な役割を果たしています。
ここでは、ホテルが自サイトを持つことで得られるメリットを4つ紹介します。
<ホテル業界の企業が自サイトを持つメリット>
予約の決め手になる
ホテルが自サイトを持つメリットの1つ目は、予約の決め手になることです。
一覧性の高いOTAサイトは、多くの候補の中から理想に合致するホテルを絞り込むのに適しています。
その際ユーザーの多くは、最終候補に残ったいくつかのホテルをあらためて指名検索し、ホテルの公式サイトでより詳しい情報を得ようとします。
公式サイトが充実していれば、指名検索したユーザーにホテルの魅力をしっかりと訴求でき、予約につながる可能性が高まるでしょう。
自社の強みを自由に訴求できる
ホテルが自サイトを持つと、訴求の自由度が上がります。
OTAサイトのフォーマットは統一されており、ほかのホテルと似たような情報しか掲載できません。
独自性のある訴求がしにくいため、ほかのホテルとの差別化には限界があるともいえるでしょう。
一方、公式サイトであれば掲載できる情報や表現、デザインに制約がないため、自社の特徴や強みを存分にアピールできます。
直接予約が増え、収益性が高くなる
OTAサイトの集客力は魅力的ですが、OTAサイト経由での予約にはおよそ8〜15%の手数料がかかることが一般的といえるでしょう。
一方、自サイトからの予約であれば手数料はかかりません。
OTAサイトの利用者すべてを自サイトに集約することは難しくても、一部のユーザーを獲得できれば収益性の向上が期待できます。
知名度が向上する
自サイトのSEOを行っていけば、インターネット上での露出が増え、さまざまな人の目に留まりやすくなります。
おのずとホテルの知名度は上がり、名前と特徴を認識してもらいやすくなるでしょう。
また、自サイトがあれば、地域の観光協会や地方自治体が運営するWebサイトなどで「地域の自慢の宿」「この地域でおすすめのホテル」といった紹介をしてもらえる可能性が高まります。
自サイトとSNSを連携すれば、認知はさらに拡大していくはずです。
ホテル業界の企業が取り組むべきSEO
ホテル業界の企業が自サイトのSEOに取り組む際も、SEOの基本に忠実に取り組んでいくことが成果につながります。
ここでは、その中でもホテル業界に特化したSEOのポイントについて見ていきましょう。
SEOの基本の考え方や取り組む手順は、この記事をチェック!
<ホテル業界の企業が取り組むべきSEO>
ターゲットの目的に合わせたキーワードを設定する
検索順位をより上位にしていくには、自サイトがユーザーにとって有益であることを検索エンジンに示す必要があります。
そのためには、まず自サイトのターゲットを明確にし、その人たちが検索する可能性の高いキーワードを対策しましょう。
ホテル業界において検索ボリュームが大きいキーワードとは、例えば「強羅 旅館」「京都 ホテル おすすめ」などが挙げられます。
ビッグキーワードで検索順位の上位を獲得できれば、大量の流入が見込めますが、実際はこういったキーワードでOTAサイトを上回るのは困難です。
そのため、まずは検索ボリュームが小さめでも競合が少なく、ユーザーをコンバージョンに導きやすいキーワードに意識を向けることが大切です。
例えば、「(自社ホテル・旅館名) 朝食」「(自社ホテル・旅館名) 露天風呂」「(自社ホテル・旅館名) チェックアウト」など、指名検索の掛け合わせキーワードを洗い出していきましょう。
詳しくはこの記事をチェック!
タイトル、メタディスクリプションを見直す
タイトルとメタディスクリプションの見直しも有効です。
例えば、タイトルに自社のホテル名が入っていなければ、ユーザーが指名検索をしても検索結果に表示されにくくなってしまうでしょう。
下記は、改善が必要なタイトル&ディスクリプションと、改善の例です。
家族風呂完備!和気あいあいとした時間を楽しめます
<改善が必要なディスクリプションの例>
ゆったりとした時間をお楽しみいただける大浴場は旅の楽しみのひとつですが、プライベート時間も大切にしませんか?家族風呂もぜひご利用ください。
↓
<改善したタイトルの例>
〇〇ホテルは5つの家族風呂をご用意。家族だけのお時間を楽しめます
<改善したディスクリプションの例>
〇〇ホテルは、美しい景観の中、上質な温泉をゆったりとお楽しみいただける家族風呂を5つご用意。赤ちゃんやお体の不自由な方、ご年配の方も安心のバリアフリー完備です。
施設情報を丁寧に掲載する
Google検索でホテル名を検索すると、検索結果画面の右側に囲みでホテルの概要が表示されることがあります。
これは「ナレッジパネル」といい、ユーザーが検索キーワードに対して知りたいと思われる情報をあらかじめ示してくれる機能です。
<ナレッジパネルの位置>
ホテルのナレッジパネルには、自サイト内からピックアップされた設備やアメニティの情報が表示される欄があります。
設備欄が充実しているWebサイトはGoogleから高く評価される傾向があるため、自サイト内でもなるべく詳細な情報を記載するようにしましょう。
Googleビジネスプロフィールに登録する
ホテルにとって、Googleビジネスプロフィールの登録は必須の施策といえます。
Googleビジネスプロフィールとは、Google検索やGoogleマップ上にホテル情報や写真、口コミなどを表示することができる無料のローカルビジネス情報登録サービスです。
Googleビジネスプロフィールの情報を充実させるローカルSEOを行えば、より多くのユーザーにホテル情報が認知されるようになります。
詳しくはこの記事をチェック!
魅力的なコンテンツを用意する
ホテルの見込み顧客が検索しそうなキーワードに対応した、魅力的なコンテンツを発信することも、自サイトの検索順位の向上に貢献します。
例えば、子供向けの施設が充実したホテルであれば「子連れ 旅行 おすすめ」や「子供 旅行 ホテル」といったキーワードにヒットするような、子連れにおすすめの設備やスポットを紹介するコンテンツがあってもいいでしょう。
なお、ホテル業界が対策するキーワードの受け皿となるコンテンツには、自サイトの記事コンテンツ(読み物コンテンツ)と、企業のサービスや商品の紹介に特化したサービス紹介ページ(サービスサイト)が挙げられます。
<記事コンテンツの例>
<サービス紹介ページの例>
【番外編】SEOだけではなくOTAサイトへの掲載促進やSNSにも力を入れる
ホテルを運営している企業は、SEOだけでなく、OTAサイトやSNSにも力を入れましょう。
自サイトのみで集客できれば理想的ではありますが、OTAサイトはユーザーのニーズに合った情報が豊富で集客力が高いため、自サイトと並行して掲載してもらうようにすることが望ましいといえます。
また、OTAサイトでホテルの候補を絞り込んだ後、SNSで個別のホテルの情報を調べるユーザーは少なくありません。
そこで、SNSにホテルの詳細情報や写真などが投稿されていれば、SNS経由で自サイトへの訪問者を増やすことも期待できます。
ビジネスホテルのSEO戦略
ビジネスホテルは、出張中のビジネスマンが利用するという特徴を押さえてSEOを行うことが大切です。
ビジネスホテルがとるべきSEO戦略を見ていきましょう。
<ビジネスホテルのSEO戦略>
ビジネスマン向けのキーワード対策を行う
ビジネスホテルを予約するユーザーの多くはビジネスマンですので、「エリア×出張×ホテル」などのキーワードへの対策が欠かせません。
そのため、Googleのキーワードプランナーを使い、できる限りのキーワードを洗い出しておきましょう。
キーワードを洗い出したら、それぞれのキーワードボリュームをチェックし、対策の優先順位を決めることをおすすめします。
ローカルSEOを行う
ビジネスホテルは、Googleマップでの上位表示を狙う施策であるローカルSEO(Map Engine Optimization)も必ず行いましょう。
ユーザーは出張時の宿泊先を探す際に、Googleマップを使って目的地付近のホテルを検索することが多いためです。
例えば、浅草駅の近くのホテルであれば、ユーザーが「浅草駅 ホテル」「浅草 ホテル」などと検索した際にGoogleマップで上位に表示されるよう、検索クエリの最適化や、「地域」に焦点を当てて検索結果で上位を狙うローカルSEOを行いましょう。
ローカルSEOを行うと、Googleの検索結果画面で、オーガニック検索枠より上の位置に自社の情報が表示されます。
ユーザーの流入や認知向上、CVRの向上につながる可能性が高まりますので、ぜひ取り組みたい対策です。
<「浅草 ホテル」で検索した際のローカル検索枠>
リゾートホテル(観光やレジャー用のホテル)のSEO戦略
リゾートホテル(観光やレジャー用のホテル)のWebサイトは、自治体や観光協会などのWebサイトにも紹介されやすく、さまざまなコンテンツの発信がしやすいという特徴があります。
リゾートホテルが行うべきSEO戦略を紹介します。
<リゾートホテルのSEO戦略>
指名検索を増やす
リゾートホテルのSEO戦略としてマストとなるのは、指名検索を増やすことです。
指名検索を増やすためには、自社の名前や商品、サービスの認知度を上げることがカギとなります。
そのため、SNSでの発信や広告の出稿を行い、多くのユーザーの目にふれるような対策を行いましょう。
また、新サービスなどを開始するタイミングでプレスリリースを出せば、メディアに取り上げてもらえる可能性もあります。
官公庁や自治体のWebサイトに掲載してもらう
官公庁や自治体などのWebサイトの被リンクを獲得することも、リゾートホテルのSEO戦略として重要です。
被リンクとは、自サイトへのリンクを指し、被リンクが多いWebサイトほど質が高く信頼できるとしてGoogleから評価される傾向があります。
社会的に信頼性の高いWebサイトから被リンクを獲得できれば、Googleからの評価はより高まりますので、官公庁や自治体などに働きかけを行い、自サイトのURLを掲載してもらうようにしましょう。
観光地に関するコンテンツを制作する
リゾートホテルのSEO戦略として、ホテル周辺の観光地に関するコンテンツを制作することも効果的です。
例えば、名古屋のホテルであれば、「名古屋 観光スポット」「名古屋 観光地」などのキーワードに対策する記事を制作しましょう。
記事内で、それらの観光地からアクセスがいいホテルとして予約ページなどへの導線を設置すれば、ユーザーの流入増加が見込めます。
ホテルの自サイトで集客アップを図ろう
ホテルの自サイトやOTAサイトに掲載した情報が検索エンジンで上位表示されると、ユーザーの予約の後押しとなったり、収益性を高められたりと、さまざまなメリットがあります。
ホテル運営会社は、OTAサイトへの掲載のみならず、自サイトのSEOも欠かさないようにしましょう。
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