製造業におけるマーケティングの課題と施策を解説!実際の事例も紹介

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製造業におけるマーケティングの課題と施策を解説!実際の事例も紹介

マーケティングとは「製品が売れるように企業が戦略的に行う活動」のことです。どの業界でも行われていますが、特に製造業におけるマーケティングでは「技術にまつわる情報流出に厳しい」「昔ながらの営業方法に固執する」などの課題が残っていると言われます。

そこでこの記事では、製造業におけるマーケティングの課題解決方法や、具体的な施策などを紹介します。実際の事例も紹介しているので、最後までご覧ください。

ナイルでは、製造業界におけるウェブマーケティングとSEOのポイントをまとめた資料を用意しています。まずはお気軽にダウンロードしてご覧ください。

製造業におけるマーケティングとは

まずは製造業におけるマーケティングの考え方や重要性についてお伝えします。

そもそもマーケティングとは

マーケティングとは「商品やサービスが売れるよう、企業が戦略的に行う活動のこと」を言います。顧客満足度の向上や売上の最大化を目的とします。

日ごろ生活をしていると、ウェブサイトやSNSで商品紹介を見かけたり、広告でサービスの宣伝がされていたりするのを見かけますが、これがまさしくマーケティングです。

製造業においては、例えば、以下のようなものが行われています。(詳しくは後述します)

製造業でよく行われるマーケティングの例

  • ウェブ広告、マスメディア広告
  • SNS運用
  • イベント開催や展示会出展
  • など

製造業におけるマーケティングの重要性

現代社会は「モノ」であふれており、toB・toCを問わず、ユーザーは多くの選択肢の中から購入する商品を選んでいます。加えて、インターネットでは無限とも言える膨大な量の「情報」を入手できるため、上図のように多くのユーザーは製品や営業と出会う前に、念入りなリサーチを行えるようになりました。

販売側の行動と購入側の行動の図説明

 

【参考】 CEB社「The Digital evolution in B2B Marketing」より「MLC Customer Purchase Research Survey, 2011」をもとに作成)

その結果、ユーザーが製品購入を検討する段階からマーケティングによる顧客の取り合いが発生しており、「ただ良いモノを作る」だけでは簡単に売れなくなってきています。

何もせずにいると、競合他社にどんどん顧客を奪われてしまうため、マーケティングプロセスに沿って戦略を考え、顧客の目に留まるようにプロモーションを行う必要があります。

製造業におけるマーケティング4つの課題

では、製造業におけるマーケティングにはどんな課題があるのでしょうか。4つの代表的な課題について、詳しく説明します。

製造業におけるマーケティング4つの課題

  • 課題1 技術にまつわる情報流出に厳しい
  • 課題2 マーケティングの知識を持つ人材が少ない
  • 課題3 昔ながらの営業方法に固執する
  • 課題4 予算の制約がある

課題1 技術にまつわる情報流出に厳しい

製造業におけるマーケティングの課題の1つ目は、技術にまつわる情報流出に厳しい傾向があることです。

例えばサービスや情報を販売する無形商材の場合、商品の情報や価値あるノウハウでユーザーの興味を集め、リード獲得を目指すことが多いです。しかし、製造業において技術は企業の生命線と言えます。そのため、製造業は情報流出に非常にシビアな傾向があり、情報を開示しにいくマーケティング活動に対して消極的な企業が少なくありません。

しかし上述したように、製品の購入前に念入りにリサーチするのが現代の主流です。開示をせず秘匿を貫いてしまうと、効果的なマーケティング活動の展開が難しくなります。

マーケティング活動を限定的なものにしないためには、情報の秘匿にこだわらず、ある程度の情報公開を行う必要がある点は認識しておきましょう。

課題2 マーケティングの知識を持つ人材が少ない

マーケティングDXに¥よる課題の図

 

出典:PRTIMES「約4割の企業がマーケティングにおけるDX推進人材不足が課題に」

2つ目の課題は、マーケティングの知識を持つ人材が少ない傾向にあることです。

2022年に株式会社タナベコンサルティングが行った調査によると、4割以上の企業でマーケティングを専門的に行う部署やチームがないという結果がでています。中小の製造業ともなれば部門を持つ企業はさらに限られると考えられ、仮にマーケティング担当者がいたとしても販売部門や商品開発部門など、ほかの部門と兼任しているケースがほとんどと想定されます。

当然、担当者はマーケティングだけに専念できないため、なかなか学習にリソースを割けず、結果的にマーケティングに関する知識が乏しいままマーケティングを行っている可能性もあります。

「担当者のマーケティングに関する知識を強化する」「マーケティング専門の人材を育成する」などの対応は、製造業においても急務と言えます。

課題3 昔ながらの営業方法に固執する

3つ目の課題は、昔ながらの営業や販促方法に固執することです。

特に老舗の場合、「顧客を訪問する」「電話をかける」「展示会に注力する」など、昔ながらの営業活動に固執してしまう場合があります。実際にとあるコンサルティングの現場で製造業の方とマーケティングについて話したときには「製造業界は特殊なので、昔から付き合いのある相手にしか営業のやりとりをしない」という理由から、デジタルマーケティングには見向きもしないケースもあったほどです。

新たな成果を得るためには「ずっとこの方法でやってきたから」と古い手法にとらわれず、新しいマーケティング手法への挑戦も重要です。

課題4 予算の制約がある

4つ目の課題は、予算の制約があることです。

上述してきたように製造業では経営層がマーケティングに理解がないケースも多く、そもそも予算が限られている中小企業だと、なかなか予算がおりないケースもあります。特にウェブを活用するマーケティングの場合、従来のアナログ形式の営業方法と大きく異なることから、効果に対して経営層が懐疑的になる可能性も考えられます。

「マーケティングへの理解が不足している」「予算に制約がある」などの問題がある場合、まずは経営層にマーケティングの意味について説明し、理解を求めましょう。

以下の記事でポイントを解説しているのでぜひご覧ください。

製造業におけるマーケティング3つの課題解決法

ここからは、製造業におけるマーケティングの課題解決法について説明します。

方法1 マーケティング専門の部門を作る

マーケティングに精通した人材がいれば、マーケティング専門の部門を立ち上げるという方法があります。マーケティングに専念できる部門を組織に設けることで、担当者がマーケティングにリソースを割けるようになり、マーケティングについて学ぶ時間も作れます。

マーケティングに精通した人材がいなければ、採用を検討しなければなりません。どちらの場合でも、経営層に理解を仰ぎ、投資案件として予算を組んだ上で進めましょう。

方法2 マーケティングをアウトソーシングする

マーケティングに精通する人材がおらず、採用・教育を行う時間的な余裕もない場合には、専門のマーケティング支援会社に依頼する方法もあります。

上記のケースと同様に予算の確保が必要になりますが、ナイルならマーケティング支援だけではなく、稟議の通し方などからご相談に乗ります。小さな困りごとでも、お気軽に問い合わせください。

方法3 情報流出を防ぐため、マーケティングにおけるガイドラインを定める

経営層の情報流出への懸念が大きい場合は、マーケティングにおけるガイドラインを定める方法もあります。商品情報の開示に慎重なのであれば、社内で「商品情報はここまでならオープンにしてよい」というルールを取り決めましょう。

情報流出にまつわるトラブルを防ぐため、併せて情報セキュリティの研修を行い、社員の情報リテラシー向上に努めることも重要です。

製造業で行われる9つのマーケティング施策例

社内でマーケティングに関する懸念や課題解決の目処が立ったら、具体的な施策を検討します。ここからは、製造業でよく取り入れられるマーケティング施策について、ウェブ施策を中心に解説します。

施策例1 ウェブ広告

多くのユーザーに受け入れやすいWeb広告

 

まず1つ目の施策例は、ウェブ広告です。インターネットで情報収集が行われる現代のマーケティングにおいては、ウェブ広告経由でサイトに集客するのが有効です。購買意欲の高い人へはリスティング広告、認知獲得にはSNS広告など、目的に沿って媒体を使い分けるのがおすすめです。

ウェブ広告の種類については、下記の記事も参考にしてください。

施策例2 オウンドメディア(ブログ)運営

2つ目の施策例は、オウンドメディア運営です。

オウンドメディアとは簡単に言えば企業が運営するブログのことで、コンテンツマーケティングの定番施策のひとつです。toBの場合はリード獲得や商談機会の獲得、toCの場合は受注獲得や自社製品・サービスのファンづくりなどに利用できます。もちろん、キーワード設計などSEO対策も行って、集客も行います。

オウンドメディア活用によるブランディングについては、下記の記事に詳しく掲載しています。併せてご覧ください。

施策例3 SNS運用

次に紹介するのがSNS運用です。よく知られているLINEやYouTube、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNS運用も、コンテンツマーケティングのひとつです。顧客の認知の獲得から、リードナーチャリングまで、幅広い目的で使われています。

特にDtoC(Direct to Consumer:メーカーが仲介業者を介さず、直接顧客に商品を販売すること)においては、SNSを活用した「プロセスエコノミー(商品・サービスを開発する過程をオープンにしてマネタイズすること。制作段階を見てもらうことでファンを増やすという狙いもある)」や「ライブコマース」も盛んになってきており、商品・サービスのさまざまな売り方も広まっています。

SNS運用・集客については、下記の記事でメリット・デメリットなどを紹介しています。

施策例4 セミナー・ウェビナー

4つ目の施策例は、セミナー・ウェビナーです。セミナーやウェビナーはtoBで多く活用されている施策のひとつで、製品の購入を検討している企業や担当者に向けて、商品紹介や活用方法を30分から1時間程度で解説を行います。

その点、集客というよりはリードナーチャリングを目的とした施策と言えますが、toCでは新商品の紹介や、活用方法の紹介などを目的に開催されるケースもあります。

イメージがわかないという方は、ナイルの無料ウェビナーに参加してみてはいかがでしょうか。マーケティングの知識と同時に、セミナーがどの様に行われているかノウハウをご覧いただけます。こちらからお申し込みできますので、ぜひお気軽にご参加ください。

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施策例5 イベント・展示会

施策例の5つ目は、イベント・展示会です。

toB・toCともに活用されている施策で、近年はオンラインでの開催もよく見られます。目的はリード獲得・商談機会の獲得のほか、顧客のニーズ把握や新たなマーケティングのヒント探しなど、多岐にわたります。

展示会を成果につなげるポイントなど、下記の記事にまとめていますのでぜひご覧ください。

施策例6 メールマーケティング

6つ目に紹介するのは、メールマーケティングです。メールマガジンやステップメールの活用は、リードの獲得からナーチャリングまで幅広く対応できる施策です。

DtoCでリピート性の高い製品(基礎化粧品・健康食品 など)を直販する場合などでは、郵送のダイレクトメールを活用するケースもあります。

メールマーケティングについては、下記の記事に詳しく掲載しています。こちらも併せてご一読ください。

施策例7 テレマーケティング

7つ目は、テレマーケティングです。

テレマーケティングとはユーザーと電話で直接対話し、自社の製品・サービスを紹介を通じて販売を促進する手法です。昔からある施策のひとつで、こちらからテレアポ形式で営業をかける「アウトバウンド」と、問い合わせに対して電話でかける「インバウンド」の2つの種類があります。CS改善やカスタマーサクセスにも活用される、王道的なマーケティング手法です。

インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングそれぞれの特徴や、メリット・デメリットについては下記の記事にてくわしくまとめています。

施策例8 ホワイトペーパー

8つ目の施策例は、ホワイトペーパーです。

ホワイトペーパーとは、特定の課題やトピックに関して、その解決方法や専門知識を提供するダウンロード資料のことで、e-book(イーブック)と呼ばれることもあります。主にtoB向けで、リード獲得に活用されることが多い施策と言えます。

以下バナーのリンク先がホワイトペーパーの事例です。まさしくホワイトペーパーの作り方について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

施策例9 マスメディア広告

最後に紹介するのがマスメディア広告です。

プレスリリースやプレゼントパブリシティ(雑誌などメディアのプレゼント枠に製品を提供すること)などがおもな方法で、マスメディアへの露出を増やすことで認知向上を狙います。新商品の紹介や、商品・サービスのブランディングに活用されることが多い施策のひとつです。

ウェブ広告を含むペイドメディアについて下記の記事でくわしく説明していますので、ぜひご覧ください。

製造業におけるマーケティング6つの手順

ここまでで具体的なマーケティングの施策例を紹介してきました。

しかし、各施策を単純に実施するだけでは十分な成果は期待できません。そこでここからは、製造業がマーケティングを進めるにあたって押さえておきたい、基本の手順について以下の順に説明します。

手順1 環境を分析する

まずは自社の製品でどれだけの売上が見込めるかを判断するため、市場や競争環境の分析を行います。このときによく利用されるのが「3C分析」です。

3Cとは下記3項目の頭文字を取ったもので、環境を分析し、マーケティング戦略を立案するためのフレームワークです。

マーケティング戦略を立案するためのフレームワーク

 

Company(自社)では「自社の強みや弱みを評価」し、売上高・人的資本・製品やサービスの特性・技術力などを分析します。自社の内部状況を正確に把握し、どのようなマーケティング戦略を実行するべきか明確にするのが目的です。

Competitors(競合他社)では「競合他社の強みや弱みを評価」し、競合他社の商品やサービス・組織の文化・市場シェアなどを分析します。競合他社の動向を把握し、市場での競争優位性を確保するのが目的です。

Customers(顧客)では「顧客のニーズや行動パターンなどを調査・分析」します。顧客ニーズのヒアリングや市場動向の調査を行い、自社の商品・サービスが市場で成功するための情報を収集します。

この3C分析によって「自社の状況」「他社の状況」「顧客の要望」をそれぞれ把握し、自社の商品・サービス開発を成功に導くのが狙いです。

3C分析については下記の記事でさらにくわしく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

手順2 市場を細分化する

3Cの結果、成長の見込みがあると判断ができたら、次に市場の細分化をします。細分化とは「セグメンテーション」とも呼ばれ、市場を属性ごとに分けていく作業のことです。

セグメントは、主に以下の属性で切り分けられます。

  • 人口統計的属性:年齢・性別・所得・職業・家族構成 など
  • 地理的属性:国や地域・都市の規模・気候条件 など
  • 行動的属性:購入商品・購入頻度・購入目的・購入金額 など
  • 心理的属性:趣味・習い事・価値観・ライフスタイル など

まずは市場をセグメントに分け、その中から自社のターゲットを絞るのが通常の流れになります。詳しい考え方については、下記の記事で解説します。併せてご覧ください。

手順3 ターゲットを明確にする

3Cとセグメンテーションを経て、マーケットの全体像が描けたら、ターゲットの明確化を行います。ターゲティングとも呼ばれ、市場の細分化で切り分けたセグメントの中から、ターゲットとなるセグメントを決める作業になります。

ターゲティングを行うことで、自社製品にマッチしたセグメントを絞り込めるため、限られたリソースを効果的に活用できるというメリットがあります。

ターゲット層の流入を増やしやすいSEO記事の作成方法などについて、下記の記事で詳細をまとめています。ぜひお読みください。

手順4 ポジションを確立する

次に、ターゲットに対してポジショニング(ポジションの確立)を行います。ポジショニングとは自社の製品・サービスを他社と差別化し、購入してもらうことを言います。

価格を売りにすると価格競争に巻き込まれるため、他社製品とはほかの部分で明確な差別化を図り、独自の価値を伝えられるようにしましょう。

手順5 マーケティングミックスを考える

ポジションの確立まで済んだら、マーケティングミックスを考えます。マーケティングミックスとは、マーケティング業務に必要な要素を組み合わせる施策のことです。この施策を立案するときに活用される分析方法のうち、下記は表の各項目から頭文字を取って「4P分析」も呼ばれています。

Product(商品・サービス)
  • 自社の製品・サービスそのものを指す
  • 製品の特長・品質・機能・デザイン・ブランド・パッケージなどが含まれる
  • 自社の製品が顧客にどんな価値を提供するか考える
Price(価格)
  • 価格を設定する
  • 自社のコストだけではなく、競合他社の価格帯・市場の需要と供給など外部環境を考慮する
Place(流通)
  • 製品を販売するためのチャネル・販売店舗・物流などを考える
Promotion(広告・宣伝)
  • 製品を消費者に知ってもらい、購入してもらうための施策を考える
  • 広告・宣伝・販売促進・ブランディング など

この4つの観点での分析により、商品・サービスの特性や適切な販売方法が明らかになります。

手順6 マーケティング施策の実施・検証を行う

最後に、上述した9つの施策例も参考にしつつ、マーケティング施策の実施を行います。ここまでの調査内容や取り決めたルールなどを反映し、マーケティング施策を進めましょう。

施策を実施した後は、施策結果の効果測定を忘れずに行います。効果測定で特によく用いられるのが定量分析です。下記の記事において定量分析・定性分析の手法をくわしく解説しています。併せてご覧ください。

製造業におけるマーケティング 3つの施策パターン

「商材」や「新規顧客かリピート顧客か」などの違いごとに、代表的な施策を紹介します。以下、それぞれ詳しく解説します。

製造業におけるマーケティング 3つの施策パターン

パターン1 BtoB

BtoB(Business to Business)は、取引金額が高額になりやすいのが大きな特徴です。商談が複数回に渡ること・アフターサービスが重要なことなどから、長期的なパートナーシップを築きやすいという傾向もあります。マーケティングの特徴や施策パターンを見ていきましょう。

ビジネスの特徴・マーケティングにおけるポイント

BtoBにおけるビジネスには「法人で購入するため、何度も商談を重ねる」という特徴があります。BtoBは通常キーパーソンが複数存在し、商談・稟議・承認などのプロセスを経るため、購入に至るまで時間がかかるケースがほとんどです。

また、購入するまで慎重に検討を重ねることが多く、ナーチャリングに時間がかかる・都度の確実なクロージングがマストといった点も特徴です。

マーケティング施策

BtoBの代表的なマーケティング施策としては、下記が挙げられます。

  • リード獲得(展示会への出展、オウンドメディア、ホワイトペーパー)
  • メールや電話でのセールス
  • 導入事例を紹介するセミナー・ウェビナー

リードの獲得は、BtoBマーケティングにおいてとても重要な施策のひとつです。展示会への出展・オウンドメディア・ホワイトペーパーなどによって顧客の関心を引き、自社のリードとして育成しましょう。

パターン2 BtoC

BtoC(Business to Consumer)とは、企業と一般の消費者間での取引を指します。この場においては直接顧客に販売するのではなく、卸先や販売店を通じて自社の製品を販売するケースを想定してください。

BtoBとは違って個人の消費者が顧客のため、単価が安く、意思決定までのスピードが早いという特徴があります。また、取引金額も少額なことが多いため、リード獲得に長い時間を割くのは、コストパフォーマンスの観点からあまり得策とは言えません。

ビジネスの特徴・マーケティングにおけるポイント

BtoCの場合、小売まわりの細かい販促活動は、基本的に卸先や販売店に任せられるというメリットがあります。ただし、そのぶん、製造メーカー側によるマーケティング的な後方支援やブランディングが大切になります。

特にターゲティング・ポジショニングにあわせた情報発信が非常に重要なプロセスとなるため、時間を割いて取り組みましょう。

マーケティング施策

BtoCの代表的なマーケティング施策として、下記が挙げられます。

  • ウェブ広告での認知向上・ブランディング
  • プレスリリースによる露出拡大・メディアミックス
  • 製品の情報提供・CS支援のためのSNS・メディア運営
  • SNS運営による顧客との双方向コミュニケーション

ウェブ広告やプレスリリースで露出を拡大し、製品・サービスの認知向上を図りましょう。また、製品の情報提供やメディア運営などにより、顧客が製品情報を最大限に活用できるよう、教育的なコンテンツを提供するという取り組みもあります。

ほかにも、SNS運営による顧客との双方向コミュニケーションもおすすめです。顧客と対話し、生の声を聞くことで、製品・サービスの改善や顧客満足度の向上につなげます。

パターン3 DtoC

DtoC(Direct to Consumer)とは、消費者直接取引のことを言い、企業が卸や販売店を経由せず、製品・サービスを直接顧客に販売するビジネスモデルです。主にEコマースで多く見られます。

卸・小売店などを通さないため、手数料などのコストを削減できるというメリットがあります。

ビジネスの特徴・マーケティングにおけるポイント

DtoCには、自社で販売手法や販路を選択できるため、自由度が高いという特徴があります。独自のストーリー構築やブランディングを行って顧客からの共感や信頼を集め、製品・サービスの価値を高めることもできますし、この記事で紹介したような広告やウェビナーといった施策も取り入れやすいです。

マーケティング施策

BtoCで行われる施策に加え、以下のような施策も可能です。

  • メールやDMでお買い忘れのないよう継続的な声がけ
  • 投資としてのウェブ広告(割引・入り口訴求)

ほかにも定期便・頒布会など、サブスク方式のビジネスも可能です。自由度が高く、あらゆるマーケティング手法を試せます。

マーケティング手法に制約がない分、ある意味で何でもできてしまうため、施策の選択が重要です。マーケティングプロセスにそって自社にとって有効な施策を見極めた上で、何をするべきか判断しましょう。

製造業マーケティング2つの事例

最後に、ナイルにおける製造業マーケティングの実際の事例を2つ紹介します。どのように製造業を営む企業がマーケティングで成長していったかを解説します。ぜひ参考にお読みください。

事例1 川崎重工業株式会社様

川崎重工業株式会社

 

まず紹介するのが川崎重工業株式会社様の事例です。

川崎重工業株式会社様は、1896年に設立された日本を代表する三大重工業のひとつです。一般的にはオートバイで知られていますが、航空機・船舶・鉄道車両を中心に、プラント・ロボット・油圧機器など、さまざまな製造事業を展開しています。

同社の海外売上比率は58.7%にものぼることから、海外向けグローバルサイトのマーケティング対策として、当社までSEOのマーケティング戦略の設計の依頼がありました。

同社では、数ある製造部門の中から、特にウェブ経由でのリード獲得可能性が高い「油圧機器」部門に焦点を当てて対策を開始。状況を見たところ、中国の建設ブームで油圧機器関連の業績が伸びていたものの、その勢いが鈍化してきたため、中国や新興国以外の潜在顧客対策としてSEOの強化を考えていました。

対象事業が極めて専門的であり、コンテンツも英語だったため、数千の候補キーワードを予め抽出し、事業関係者と話し合いつつ重点対応する検索キーワードを特定。SEO順位計測ツールを使用してターゲット国の順位を計測し、さらにサイト制作会社とも連携して、サイトの見直しや、競合対策を見据えたコンテンツの調整を行い、マーケティングの強化を行いました。

詳しくはこちらのインタビュー記事をご覧ください。

事例2 福田交易株式会社様

福田交易株式会社

 

2つ目は、福田交易株式会社様の事例です。

福田交易株式会社は、ベアリングなどの精密機械部品を輸入・販売するBtoBの専門商社であり、創業から70周年を超える老舗企業です。工作機械メーカーとの取引実績が豊富であり、業界内での認知度と信頼度は高いですが、ウェブマーケティングに対する関心は低かったと言います。

同社のマーケティング上の課題として、対面営業や展示会を主体とした従来の手法に依存していたことが挙げられます。特に、ある展示会での出展ブースへの来場者がわずか7人であったことが、ウェブマーケティングへの取り組みを再考するきっかけとなりました。

これをきっかけに、ウェブサイト改善プロジェクトがスタート。サイトの課題調査から運用体制の見直し、マーケティング戦略立案を行うためのコンセプト導入など、包括的なアプローチで支援が行われました。

サイトの全面的なリニューアルなど約1年半の長期にわたるコンサルティングを実施した結果、福田交易株式会社はウェブマーケティングの重要性を社内で共有でき、より効果的なマーケティング戦略の展開が可能となりました。

詳しくはこちらのインタビュー記事をご覧ください。

製造業のマーケティングはプロへまかせるのもおすすめ

この記事では、製造業におけるマーケティングの手法や手順を紹介しました。

さまざまな施策や考え方を紹介してきましたが、人の手を借りずに上記のマーケティングを自社でやり遂げるのはなかなか難しいものです。そのようなときは、専門家に依頼するのもおすすめです。

ナイル株式会社はマーケティングのプロとして、ただ集客するのではなく「コンバージョン」の増加を目的として施策に取り組みます。倍率100倍を勝ち抜いたコンサルタントが支援しますので、お気軽に問い合わせください。

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編集者情報

金子 光
金子 光(かねこ ひかる)
新卒で楽天グループ株式会社に入社。
営業管理として40人規模のチームをマネジメント。その後社員3人のベンチャー企業に入社し新規事業立ち上げを経験。
現在はナイルのマーケティング相談室編集長として、Webマーケティングに従事している。
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監修者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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