【対談】大手企業がSEOで勝ち抜くための「意外な戦略」

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【対談】大手企業がSEOで勝ち抜くための「意外な戦略」

こんにちは!ナイル株式会社でSEOコンサルティングを行っている青木です。

先日、「大手企業はどのようなSEO戦略をとるべきか?」というご質問をいただきました。

結論からいうと、大手だからといって特別な施策を実施する必要はなく、いわゆる「普通のSEO」を実施すれば問題ありません。

ただ、大手企業には「SEO戦略よりも大事なこと」があります。

そこで今回は、大手企業に勤めるAさんとの対談風景をご覧いただきながら、「大手企業がSEOで取り組むべきこと」をお伝えします。

回答者 青木 創平
ナイルSEO研究所所長・SEOコンサルタント。大規模データベース型サイトなどの技術的に複雑なSEOのプロジェクトや、サイトリニューアルに多く携わる。ECサイトやBtoBのサービスサイトを得意とするSEOスペシャリスト。
質問者 Aさん
業界内で知名度の高い大手企業で、マーケティング部門に所属。主にSEOを担当している。

 

「普通のSEO」の実践方法については、「初心者必見!ゼロから理解できるSEOの基礎知識と実践方法」資料で解説しています!

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大手企業のサイトはSEOで非常に有利

Aさんとの対談風景

本日もAさんと対談します

Aさん
私が勤めている会社はいわゆる“大手企業”で、業界内の知名度は高いと自負しています。我々のような企業は、どのようにSEOに取り組んでいけばいいのでしょうか?

青木
SEOに取り組むにあたって、大手企業はとりあえず“たった1つのこと”だけを意識すれば良いです。それは……「長く続ける」ということです。

Aさん
えっ!それだけでいいんですか?

青木
一見、簡単に思われるかもしれませんが、特に大手企業にとって実はSEOに長期間取り組むのが難しいんです。

そもそも、SEOは取り組んだらすぐに結果が出るものではありません。大手企業といえども、最低1年以上は継続する必要があります。

私が見ている限り、そのことを理解せずに、ちょっとやってみて結果が出なかったから、すぐにSEOをやめてしまう。そんな大手企業が多いんです。

Aさん
確かに、目に見える成果が出ないなかで1年も取り組み続けるのは、忍耐力が必要かもしれません。

青木
特に大手企業の場合、上層部が「SEOで成果が出るまでの期間」の説明を受けておらず、開始して数ヵ月後の数値だけを見て施策をストップしてしまうケースは珍しくありません。

ただ、大手企業ならなおさら、SEOをすぐにやめてしまうのは非常にもったいないんです。というのも、基本的に大手企業はSEOで超有利なので、「続けていれば勝てる」のですから。

Aさん
お、そうなんですね?

青木
その理由は、大手企業はサイトのドメインパワーがすでに高いことが多いからです。ドメインパワーとは、そのドメインが持つSEO上の優位性のことを指します。

Aさん
大手企業は、なぜドメインパワーが高いのでしょうか?

青木
以下のような、理由です。

【大手企業のドメインパワーが高い理由】

  • 被リンクが増えやすいため
  • サイテーションが手に入りやすいため
  • 多くのユーザーに認知されており、信頼されやすいため
  • 「◯◯(企業名)といえば、だよね」と第一想起されやすいため
  • その領域・分野の知見も豊富なことが多いため
  • サイトの運用歴も長いことが多いため

青木
このような理由から、企業が運営しているサイトは、このドメインパワーが高い傾向にあります。

そのため、大手企業は普通のことを普通に続けていれば、上位表示はそこまで難しくありません。

「大手企業のサイトはドメインパワーが高い→"続けるだけ"で上位表示を目指せる」を表した図

Aさん
なるほど。

大手は普通のSEOを実施していれば結果が出やすい一方で、施策が途中で止まりやすい。だからこそ、施策が止まらないための工夫が必要というわけですね。

青木
そのとおりです。そこで、SEOという長期戦を戦い抜くため、大手企業のSEO担当は何をするべきか。私としては、以下の3つに取り組むことをおすすめします。

大手企業のSEO担当が取り組むべきこと
1
社内の期待値の調整
2
見栄えの良いKPIの設定
3
キーパーソンへの根回し

 

取り組むべきこと1 社内の期待値の調整

大手企業のSEO担当が取り組むべきこと
1
社内の期待値の調整
2
見栄えの良いKPIの設定
3
キーパーソンへの根回し

 

青木
SEOに長期的に取り組むために、まずは社内からの過剰な期待は抑えておくことが重要です。

Aさん
「過剰な期待」って、どういうことですか?

青木
例えば、先ほどお伝えしたように「SEOは、取り組めば数ヵ月で結果が出る」と勘違いされてしまうことです。

たとえ担当者が長期戦を覚悟していたとしても、上層部がこのような誤解をしていると、数ヵ月取り組んで結果が出なかっただけで、SEO施策にストップをかけられてしまう可能性があります。

Aさん
担当者と上層部の認識のずれは、よくあるケースですね。

青木
はい。そこでSEO担当者は、上司に「SEOは成果が出るまでに時間のかかる施策である」ことを理解してもらえるよう、事前に十分な説明をしておくことが大切です。

具体的な成果が見え始めるタイミングとしては、「記事を100本制作して以降」と「取り組み始めてから1年経過」が目安となり、それくらいの時期からSEO経由でコンバージョンが生まれ始めます(あくまで目安です)。

SEOで成果が見え始めるタイミング(記事を100本制作・始めてから1年経過)

Aさん
わかりました!でも、私の上司はシビアなので、「じゃあ、かかったコストを回収できるようになる時期は?」や「目標とするCPAを達成できるタイミングは?」などの説明を求められる可能性があります。

青木
その場合は、SEO施策のシミュレーションを作成して、成果の出るタイミングを伝えるといいでしょう。

決裁者を説得しつつ、現実的に役に立つシミュレーションの作り方にもノウハウが要りますので、もしもご自身で行うのが難しい場合には、ぜひお気軽にナイルにご相談ください。

ヒアリングで貴社の状況を確認した上で、これまで多くの大手企業のSEOを支援してきた実績をもとにシミュレーションのお手伝いをいたします。

Aさん
ぜひ、お願いしたいです!

青木
はい!ただし、SEOで成果が出るタイミングは、検索エンジンのアルゴリズムアップデートや競合他社の動きなど、コントロールできない外的要因にも左右されます。

完璧なシミュレーションを作るのは難しいため、あくまで参考としてお考えくださいね。

資料の情報もご参考いただき、上司への説明・社内調整にお役立てください

取り組むべきこと2 見栄えの良いKPIの設定

大手企業のSEO担当が取り組むべきこと
1
社内の期待値の調整
2
見栄えの良いKPIの設定
3
キーパーソンへの根回し

 

青木
SEOが長期的な施策だからといって、1年経つまで目に見える成果が出ていないと、担当者としては立つ瀬がありません。

事前に散々説明しておいても、上司がしびれを切らして、施策を止められる可能性があります。

さらに、数字的な結果が出ないことで、SEO担当者自身の人事評価に影響が出てしまうかもしれません。

Aさん
うっ、それは悲しすぎます……。

青木
そこで、SEO担当者が施策に取り組んでいる最中に、「結果が出ている感」を出しておきましょう。これ、意外と大事です。

Aさん
「結果が出ている感」ですか?

青木
はい。本命のKPIだけではなく、「見栄えの良いKPI」も設定しておいて、数値が伸びていることを社内にアピールしましょう。

見栄えの良いKPIの代表的な例は、「セッション数(サイト内のページが開かれた回数)」です。

コンテンツ数が多くなるほどサイトへの流入経路も増えるため、セッション数は基本的には右肩上がりに成長するからです。

「見栄えの良いKPI」も設定してメディアの成長を社内にアピール(本命のKPI:CV数・CVR、見栄えの良いKPI:セッション数・PV数)

Aさん
セッション数が伸びていることを上司に見せておけば、結果が出ている印象が生まれて、「施策が止まる」「人事評価が悪くなる」などを避けられるというわけですね。

青木
おっしゃるとおりです。ただし、本来SEOに取り組む際に重視すべきKPIは「セッション数」よりも、企業の売上につながる「CV数」や「CVR」といった指標です。

セッション数はあくまでも見せ球として、裏ではCV数やCVRを追うことを忘れないようにしましょう。

取り組むべきこと3 キーパーソンへの根回し

大手企業のSEO担当が取り組むべきこと
1
社内の期待値の調整
2
見栄えの良いKPIの設定
3
キーパーソンへの根回し

 

青木
長期間にわたってスムーズにSEO施策を進めるためには、キーパーソンへの根回しを徹底しておくことも大切です。

Aさん
SEOにおける“キーパーソン”とは、どのような人のことを指しますか?

青木
実務を担当する人」と「社内の決裁に関わる人」です。

SEO施策を円滑に進めるためのキーパーソン(実務を担当する人・社内の決裁に関わる人)

Aさん
「実務を担当する人」は、社内でサイトの改修をしたり、コンテンツを作ったりする人のことですか?

青木
はい。ほかには、作成したコンテンツをチェックする人なども含まれます。

Aさん
わかりました!ちなみに、キーパーソンへの根回しが必要な理由は何でしょうか?

青木
まず、「実務を担当する人」への根回しが必要な理由は、継続的なSEOを取り組むために、各関係者が円滑に連携して、どこかで業務が滞らないようにするためです。

そこでSEO担当者は、はじめに各関係者の作業の流れやリソースを把握しておきましょう。

どこかで進行が滞りそうな要因があれば、仕事を振るタイミングから先回りして「リソースを確保しておくよう連絡する」など、調整することができます。

Aさん
例えば、どのように調整するのでしょうか?

青木
記事コンテンツ制作を例にすると、SEO担当者から入稿担当者に「この日に文章が完成するので、入稿できるようにリソースを確保しておいていただけますか」と連絡しておくといったイメージです。

SEO担当者「この日に5本依頼するので、リソースを確保しておいていただけますか?」→入稿担当「わかりました。5本分のリソースを空けておきます。」

Aさん
たしかに事前に依頼予定日を知らせておけば、スケジュールの遅延なども発生しづらそうですね。では、「社内の決裁に関わる人」への根回しが必要な理由はいかがでしょうか?

青木
これは、先述したとおり「SEOは長期戦」であることを理解し続けてもらうためです。

ちなみに、「社内の決裁に関わる人」には「自分の直属の上司」はもちろん、「その決裁権者に口出しできる人」も含まれます。

「SEOは長期戦」だと上司に理解してもらう大切さはこれまでも説明してきましたが、さらに「その上司へ意見する人(いわゆるエコノミックバイヤー)」がいることも忘れてはいけません。

社内の決裁に関わる人の例:上司 (課長や部長など)・エコノミックバイヤー (役員や社長など)

Aさん
たしかに、課長なら部長、部長なら役員など、上司にも上司がいますよね。

青木
はい。例えば、部長はSEOに時間がかかることを理解してくれたのに、役員が「結果出てないし、SEOは止めたほうがよいのでは?」と早急に判断をしてしまう。そんなケースもあります。

Aさん
「上司が役員を説得できず、結局施策がストップさせられてしまう」という経験、私もあります。

青木
あるあるですね。そうならないためにも、SEO担当としては「決裁権者に口出しできる人」への根回しも忘れないようにしてください。

Aさん
決裁権者の上司への打診は、緊張します……。根回しをする際のポイントは、ありますか?

青木
エコノミックバイヤーが、重要視している事柄を見極める」ことです。

例えば、「SEOそのもの」にはあまり関心がないが、「面白い記事を作ること」には好感触という人もいます。

その場合、「SEOで検索上位を狙うための記事」と「SEOとは無関係のインタビュー記事」の2種類の制作を進めて、後者のインタビューをエコノミックバイヤーに実施するなんてことも一手です。

Aさん
はい、検討してみます。

大手企業は普通のSEO施策を続けることが大事

青木
今回お話ししたことをまとめると、下記のとおりです。

大手企業のSEO担当が取り組むべきこと
社内の期待値の調整
  • 上司や役員にSEOは長期的な施策だと理解してもらう
見栄えの良いKPIの設定
  • 見栄えの良いKPIを設定して、社内に成果をアピールする
  • おすすめの指標は、セッション数
  • 裏ではCV数やCVRなど、真のKPIを追う
キーパーソンへの根回し
  • 施策の進行を円滑にするため、実務担当者のリソースを調整しておく
  • 「直属の上司」に加え「上司へ意見する人(エコノミックバイヤー)」の期待値も調整しておく

 

Aさん
なんだか“社内への対策”の話ばかりで、具体的なSEO施策の話は全然しませんでしたね。

青木
ええ。はじめに話したとおり、大手企業は特別なことをしなくても、SEOで有利なことがすでに多くあります。

大手企業の場合は「SEOの施策内容」ももちろん重要ですが、それ以上に「長く続けるための社内体制を整えること」に注力したほうが成功しやすいのです。

今回話した3つのことに取り組んで社内体制ができたら、あとは普通のSEO施策を普通に実装するだけです。

Aさん
そうなのですね。わかりました!ちなみに「普通のSEO施策」とは、例えばどのような施策ですか?

青木
あくまで一例ですが、以下のような施策です。

【普通(通常)のSEO施策】

  1. 検索エンジンフレンドリーなサイト構築
  2. 質の高いコンテンツ制作
  3. 適切な指名検索対策

など

青木
大手企業は、これらのような基本的な施策を愚直に続けていけばひとまず問題ありません。

なかでも最初に取り組むといいのは、3つ目に挙げた「指名検索対策」ですね。

Aさん
指名検索対策とは、具体的にどのようなことに取り組むのですか?

青木
まず指名検索とは、「ナイル株式会社 SEO」のように企業名・商品名などの固有名詞を含むキーワードで検索することを指します。

指名検索のキーワードで「上位表示できていない」もしくは「上位表示していても検索ユーザーの求める情報を提供できておらず、コンバージョンにつながらない」のは、非常にもったいないことです。

そこで、まずは指名検索への対策をして、自社のサイトを盤石の牙城にしてから、ほかのキーワードに取り組むことをおすすめします。

SEOスペシャリスト青木が明言する指名検索のゴールとは(検索順位1位+情報提供の図)

Aさん
そうしたら、弊社も社内の体制を整えた上で、まずは指名検索対策から手をつけてみます!

青木
はい!ただ、指名検索は、単に企業名や商品名が含まれたキーワードだけ対策すればいいわけではありません。このあたりの話は、下記の記事を読んでみてください。

Aさん
ぜひとも、目を通しておきます!

青木
ちなみに、2つ目の「質の高いコンテンツ制作」も当然ながら重要です。大企業が最も質の高いコンテンツを作ってしまえば、右に出るサイトはいなくなりますね。

高品質な記事作成のコツは、以下の記事をご覧ください。

Aさん
かしこまりました。これで、3つの取り組み「社内の期待値の調整」「見栄えの良いKPIの設定」「キーパーソンへの根回し」ができたら最強ですね!今回は、大手企業のSEOについて教えてくださりありがとうございました。

青木
ぜひ、始めてみましょう。取り組んでいる中で「上司へどのように説明するか迷う」「役員の重要視している事柄がわからない」など、なにか不安がありましたら、お気軽にナイルまでご相談ください。

SEOのスペシャリストとして、貴社のサポートをいたします。なお、法人様には30分の無料相談も承っています。

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編集者情報

金子 光
金子 光(かねこ ひかる)
新卒で楽天グループ株式会社に入社。
営業管理として40人規模のチームをマネジメント。その後社員3人のベンチャー企業に入社し新規事業立ち上げを経験。
現在はナイルのマーケティング相談室編集長として、Webマーケティングに従事している。
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監修者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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