気づかないうちに、自サイトの重要なページが検索結果から消えているかもしれません。
最近、Webサイトのインデックス数が減少しているという報告が相次いでいますが、どうやらGoogleがいつの間にかインデックスからページを除外しているようです。
特に、ECサイトなどテンプレート型のページを多く抱えるサイトでは影響が深刻。
本記事では、今起きているページがインデックスから削除されている事象の傾向と、削除対象にならないため、ふたたびインデックスに戻すための具体的な対策を解説します。
インデックスについてはこの記事をチェック!
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目次
「クロール済み・未インデックス」現象はGoogleのリソースによるもの?
2025年5月下旬、世界中のWeb担当者やSEO専門家のあいだで、Google Search Console(GSC)に表示される「インデックス登録済み」のページ数が突如として減少し、一方で「クロール済み – 現在はインデックス未登録」(※)のページ数が増加した、という報告が相次ぎました。
※「クロール済み – 現在はインデックス未登録」…Googleがページをクロールしたにもかかわらず、検索結果に登録しなかったことを意味する。
この現象は特定の業種や国に限られたものではなく、さまざまな業界・言語圏のサイトで同時多発的に確認されたことから、Googleがインデックス処理の方針を何らかの形で変えた可能性があると、複数の専門家が指摘しています。
Googleからは公式なアナウンスが出ていないものの、これらの動きは「サイレントアップデート(非公開のアルゴリズム調整)」によるインデックスの見直しではないかと推測されています。
この仮説の背景には、Googleのリソース問題があるようです。
Googleは常に、全世界のWebページを効率良くクロール・インデックス登録する必要があります。
しかし、クロールやインデックスの保存には巨額のコストがかかるため、より価値のあるページにリソースを集中させる方向にシフトしていると考えることができそうです。
詳しくはこの記事をチェック!
「価値がない」と判断されたページが静かに除外されている?
SEO専門家のMarie Haynes氏は、自身のブログで2025年5月末以降にインデックスから除外された複数の事例を分析(※1)。
そのコンテンツの共通点として、
- 内容が薄い
- 他サイトの情報を言い換えただけ
- 独自性や実体験が乏しい
といった特徴を挙げ、Googleが品質の低いコンテンツを取り除いている可能性が高いと指摘しています。
※1 参考:An interesting look at which pages Google started deindexing in late May, 2025
ほかのSEO専門家が行った調査でも、同様の傾向が見られていることがわかっているようです。
こういった調査結果を踏まえると、Googleはすべてのページを平等に扱うのではなく、「ユーザーにとって有益ではない」「独自性がなく他ページで代替できる」といった理由で“価値がない”と判断したページを、GSC上でエラーを出すこともなく検索インデックスから除外している――そんな動きが水面下で進んでいると考えられるでしょう。
テンプレート型ページを多く抱える大規模サイトは特に影響が大きい
このインデックス除外の影響を最も強く受けているのが、ECサイトなど、大量のテンプレート型ページを抱えるWebサイトです。
SEOコンサルタントのSusanna Marsiglia氏の調査(※2)によると、5万URLを超えるような大規模サイトにおけるインデックス減少が特に深刻(1万ページ以下のWebサイトはほぼ影響なし)といわれています。
※2 参考:Millions of pages removed from Google’s index after May 2025 “silent” update
また、先述したMarie Haynes氏のブログでは、旅行サイトやレシピサイトといった似た構造のページが大量に存在するWebサイトでの影響を指摘。
これらの調査からは、ECサイトのようなテンプレート型のページが大量に存在するサイトは、Googleから「内容が重複している」「独自の価値が乏しい」と判断されやすく、インデックスから外れる傾向が強まっていることがわかります。
これは、Googleにとっては、独自性の高い情報のほうがインデックス価値は高いと評価されることの表れといえるでしょう。
実際、GoogleのMartin Splitt氏は、「ページがインデックスから外れた場合は、ユーザーが検索結果で使用しないことを発見したことを意味します」と語っていた(※3)ことを踏まえると、納得できる現象です。
※3 参考:"My pages are indexed but don't show up in search results?" - SEO Office Hours Short
なお、ナイルがご支援しているWebサイトや、「ナイルのSEO相談室」ではこういったインデックス数が減少する事象は見られてはいませんが、一部のECサイトで、6月に一時的にインデックス数が減るケースがありました(現在は元に戻っている)。
Google Search Consoleの“曖昧な表現”が誤解を生んでいる?
GSCで表示される「クロール済み - インデックス未登録」のようなステータスは、一見すると技術的な問題のように見えますが、実はページ自体の価値がないと判断されているケースもありそうです。
このような誤解を避けるためには、技術的なクロールエラーと、品質によるインデックス除外とを切り分けて考えることが重要。
検索結果に表示されないページは、「まだインデックスされていない」ではなく「インデックス“しない”と判断された」という可能性も視野に入れて、対応を検討する必要があります。
削除されやすいのはこんなページ
すでにふれたとおり、情報が薄い、内容が重複している、独自性がないといった特徴を持つコンテンツは、インデックスから“静かに”除外されやすい傾向にあるようです。
GSCのカバレッジレポートやアクセスログなどを使って、低品質・低評価と見なされている可能性のあるページを特定し、改善するか、削除するかの判断をすることが、今後ますます重要になっていきます。
では、削除されやすいと考えられるコンテンツのパターンを具体的に紹介していきましょう。
<削除されやすいと考えられるページタイプとその特徴>
ページタイプ | よくある特徴 | Googleの価値判断 |
---|---|---|
FAQ(よくある質問)ページ | 1問1答 汎用的な情報 |
AIでも回答できる内容で独自性がない |
商品紹介ページ ※他社でも販売されている商品の場合 |
他社と同じ仕様・説明文の使いまわし | オリジナル情報がなく、重複とみなされやすい |
カテゴリ・タグページ | 自動生成された類似ページが多数 | コンテンツの差が乏しく、検索意図とのズレが生じやすい |
古いイベント/キャンペーンページ | 過去の内容だけが掲載されている | 現在の検索ニーズと無関係で、価値が薄いとみなされる |
こうしたページが削除対象となりやすいのは、「ユーザーにとって有益ではない」とGoogleに判断されるため。
特に、定型的な情報はAI Overviewsや強調スニペット、ナレッジパネルなどによってGoogle自身が回答可能になってきていることも背景にあり、ユーザーがわざわざページを訪問せずとも、検索結果上で回答が得られてしまう状況が広がってきていることも背景にあるといえるでしょう。
Googleが“残したくなる”ページにするための改善ポイント
次に、インデックスから除外されるリスクを下げるためには、どのような対策を取ればいいかを見ていきましょう。
裏を返せば、“価値がある”と認識されれば、インデックスから除外されるリスクは下がるということ。
ここでは、Googleに残してもらえるページにするための改善ポイントを紹介します。
<価値のあるページに改善するポイント>
独自性を重視したコンテンツにする
除外されやすいコンテンツの特徴として、「他サイトと似た内容ばかり」「誰が書いても同じ情報」が挙げられます。
同じテーマを扱うとしても、「実際の体験談」や「自社のノウハウ」「ユーザーからの声」などを取り入れて、独自の切り口や一次情報を加えることが重要です。
また、FAQや定義のような“誰でも書ける”情報だけで終わらせず、「その情報を自分の読者にとってどう役立てるか」まで言及するなど、読み手視点での価値提供も意識しましょう。
既存記事やカテゴリに重複がないか確認する
Webサイト運営が長期化するほど、重複コンテンツや似たような記事が増えてしまいやすいもの。
そこで、長く運営しているWebサイトの場合は、「同じような内容のカテゴリページが複数存在していないか」「古い記事が放置されていないか」などを定期的にチェックしましょう。
また、特にECサイトや不動産サイトなど、テンプレート型のページが大量に生成されるタイプのWebサイトでは、商品情報や物件情報が似通っていることが多いため、ページごとに差別化することが重要です。
具体的には、次のような工夫を検討しましょう。
<差別化のための工夫例>
- ユーザーレビューの掲載
その商品を購入したユーザーの声や評価を掲載することで、同種の商品との差を出せる。 - 販売者や担当者コメント
担当者の推しポイントや利用する際のアドバイスなど、主観的&具体的な情報を加える。 - 関連商品の提案
そのページならではの「次の一手」が見えるように、ほかの商品や組み合わせ例を紹介。 - ランキングや在庫状況の動的表示
ユーザーの関心を引く現時点での情報を付加することで、ページの鮮度と個性を強化 - 独自の軸による絞り込み
一般的なスペックだけでなく、「初心者におすすめ」「○○地域の人気物件」など独自視点で分類・案内する。
コンテンツの内容が薄い場合は濃くする
HTML構造や内部リンクが整っていても、コンテンツの中身が薄ければインデックスから除外されることがあります。
検索意図に対して回答が曖昧だったり、情報が少なかったりするページは、中身の改善を検討着手しましょう。
例えば、次のようなページの目的に応じた情報の肉付けを行うことが有効です。
<薄いコンテンツを濃くするポイント>
- 商品ページなら、購入者の口コミや使用例を追加する
- カテゴリページなら、選び方の解説やランキングを加える
- ブログ記事なら、事例や図表、データを補完する
思い切ったページの削除・統合も選択肢に
どうしても価値を高められないページは削除するか、類似ページとの統合(リダイレクト)も選択肢に入れましょう。
インデックスされないページをそのまま放置していても、Webサイト全体の評価が上がることはありません。むしろ、品質評価を下げる可能性もあります。
Google Search Consoleでインデックスが削除されているか確認する方法
Googleにインデックスされていない、または以前インデックスされていたのに除外されてしまったページは、GSCで確認・対応が可能です。
GSCを活用することで「今、どのページがGoogleに無視されているか」「なぜそうなったのか」「どう改善すべきか」の整理がしやすくなりますので、まずは現状を可視化することから始めてみましょう。
ここでは、実際の確認方法と、その後の対応を検討するための流れをご紹介します。
<Google Search Consoleでインデックスが削除されているか確認&対策する手順>
1 除外されたページを見つける
まずは、インデックスされていないページを特定します。
<Google Search Consoleでインデックスされていないページを特定する方法>
- メニューの「インデックス」から「ページ」を選択
- 上部のタブから「すべての既知のページ」を選択
- ページ下部「ページがインデックスに登録されなかった理由」から「クロール済み - インデックス未登録」をクリック
- 「クロール済み - インデックス未登録」ページの下部「例」に表示されたURLが該当するページ
2 対象URLの共通点を洗い出す
除外されたページをリストアップしたら、それらに共通する特徴がないかを確認しましょう。
下記のような観点を参考に、このページがインデックスされなかった理由を仮説立てすることが、次のアクションにつながります。
<除外されたURLの確認ポイント例>
- 文字数が多い・少ないにかかわらず内容が薄い
- 類似構造のページが多く、内容に独自性がない
- 内部リンクがほとんど貼られていない
- タイトルやメタディスクリプションがテンプレート的
- 長期間更新されていない
3 どう対応するか考える
原因がある程度推測できたら、ページごとに対応方針を決めていきます。
具体的には、次のような対策が考えられるでしょう。
<原因と考えられる状況とその対策>
状況 | おすすめの対策 |
---|---|
明らかに重複・類似ページがある | 他ページと統合し、301リダイレクトを設定 |
内容が薄い | 情報を追加して内容を充実させる |
一時的なページ(キャンペーンページなど)で再利用予定なし | noindexを設定して明示的に除外 |
ページとしての役割が不明確 | コンテンツを再設計するか削除を検討 |
なお、すでにインデックスから削除されている状態の「一時的なページで再利用をする予定のないページ」にあえてnoindexを設定する理由は、「今後もインデックスさせない」と意思表示することで、GSC上での除外理由を整理するほか、クローラーのリソースを無駄にしないことにもつながるからです。
一度インデックス削除された記事は、元に戻るのか?
コンテンツを改善したものの、「本当にまたインデックスされるのか?」と不安に感じる方も多いはず。
結論から言えば、改善内容がGoogleの評価基準を満たしていれば、再びインデックスされる可能性は十分にあります。
改善されたページは、時間の経過とともに自然に再インデックスされる可能性もありますが、再クロールや評価を確実に促すためには、「インデックス登録のリクエスト」などの能動的な対応も有効です。
再インデックスされやすくする工夫
では、再インデックスを促す方法をいくつか紹介しましょう。
URL検査ツールで「インデックス登録をリクエスト」
GSCの「URL検査」機能を使えば、対象ページの現在のインデックス状況を確認できます。
改善後は、必ず「インデックス登録をリクエスト」を行いましょう。これにより、Googleに再クロール・再評価を促すことができます。
なお、申請後すぐに反映されるとは限らないため、1〜2週間は様子を見るのが一般的です。
コンテンツを工夫する
コンテンツの改善と併せて、次のような取り組みが有効です。
<コンテンツの工夫の例>
それでも戻らない場合は…
しっかり改善したにもかかわらずインデックスに戻らない場合は、Googleがそのページの必要性を再評価した結果、除外が適切と判断した可能性もあります。
その場合は、無理に残すのではなく、ページの削除や内容の重複するページへの統合、noindexを設定するなどして、Webサイト全体の品質管理の視点で判断することも大切です。
Googleに“いらない”と判断されないために、今すぐコンテンツの確認を
本記事では、明確なエラーが出たり、通知が来たりするのではなく、静かにインデックスからページが削除されていく――そんな現象が広がっていることを解説しました。
検索結果に残り続けるために必要なのは、技術的な整備以上に、「そのページにしかない価値」を磨くことが欠かせません。
インデックスから除外されて初めて対応するのではなく、現状のページがどうなっているのかを確認してみましょう。
重複や薄い内容のコンテンツがある場合は、早急な対応が必要です。
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