SEOはインハウス?アウトソース?(後編)

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SEOはインハウス?アウトソース?(後編)

前編の「SEOはインハウス?アウトソース?(前編)」では、SEOのインハウス or アウトソースの大前提となる「費用対効果(ROI)」について、その上での「インハウスSEO」に関してお伝えしました。後編は「アウトソースSEO」についてお話していきたいと思います。

デジマ守備範囲広大化からくる人材不足

アウトソースに適している事業は、基本インハウスSEOと変わりません(SEOを徹底的にやればやるほど売上・利益にヒットする事業)。

■アウトソースSEOに向いている企業
固有の強みはあるが、デジタルマーケティング人材がいない(足りない)企業
BPOの有効活用に積極的な経営体質の企業

「アウトソースに向いている」条件は、「デジタルマーケティング人材がいない(足りない・育てられない)」という状況に起因します。

よくあるケースとしては、SEO推進をWeb構築・運用系のスタッフがやむをえず兼務している組織です。もちろん優秀なWeb人材をインハウスで有する企業様も沢山ありますが、デジタルマーケティングの守備範囲は年々広大化・深化する一方です。

デジタルマーケティングの守備範囲

私のNoteでメモ的な記事がありますので、参考としてご紹介しておきます。

デジタルマーケティング領域の箇条項目|高松 建太郎 │ Kentaro Takamatsu|note

この広大な守備範囲を、数名でカバーせざるをえない…という悲痛な担当者様からの愚痴をよく伺います。正直私も20年Web業界にいますが「デジタルマーケティング人材が充分足りている!」というケースにお目にかかったことは無いかもしれません(苦)。これは業界全体の課題です。

特にSEOは専門性が強く、トレンドの移ろいが激しいので、兼務でハイクオリティと成果を維持することが非常に難しいジャンルです。

SEOに限らずインハウス化は事業スピードの観点では理想的ではありますが、それには必ず人材的な限界値があり、適切にアウトソースを活用する方がパフォーマンス・費用対効果・事業成長スピードが向上するケースは非常に多いと感じます。

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アウトソースではなく「BPO」

「アウトソースを活用してSEO強化に取り組む」ということは、SEOに強い支援会社をパートナーとして選定し、重要業務を「BPO(Business Process Outsourcing)」で行うことを指します。ただの「アウトソース」ではなく「BPOと定義したのは、SEOは単純な作業委託ではないからです。

BPO
もし「SEOのアウトソース」を「Googleのハック、外部施策、内部施策等の専門的作業の外注でしょ?」と捉えられている方は少し危険です。これらはアウトソースが有効な部分であることは間違いありませんが、目的ではなくあくまで手段です。

BPOは「外部支援会社に自社の部門として業務を行ってもらう」ことです。戦略策定から実行計画、PDCAサイクルを回すプロセスまでを請け負います。

前編でもお伝えしたように、DX時代のマーケティングの本質は「企業のコアコンピタンスをコンテンツ化し、様々な消費者とのタッチポイントで効果的に展開すること」で、事業側担当者の本分はこのコア業務に集中することです。
日々の作業に忙殺され、コア業務がおろそかになっていては、熾烈な競争市場で他社に打ち勝つことは不可能です。

「BPOすることができないコア業務」、「BPOできる専門業務」をしっかり整理・定義するところから始めるのがよいかもしれません。

BPOに対する考え方・文化

企業文化とBPO

ここで重要になるのが、その企業のアウトソース全般に対する考え方・文化です。

我々も様々なお客様の事業と関わらせていただいていますが、中には「自分達(事業側)のスタッフが異動になったとしても、ベンダーに知見が残っていれば事業は止まらない。」という徹底したアウトソース観を「文化レベル」で持たれている企業様もおられます。
※数年でジョブローテーションがルールで決まっている企業、等

これとは対極に「とにかく内制!社員がやれ!」な文化の企業もあります。外注費としてキャッシュアウトし、PLにヒットするよりも、内部人件費効率の最大化を重きに置く文化です。

どちらが良い・悪いという議論ではありません。事業や経営者の数だけ経営方針があり、利益を生む方法があり「企業の永遠の悩み」であると私は考えています。

今までインハウスだったものをアウトソースに切り替える、またその逆が様々な企業試行錯誤されています。私が知る限り、大規模なデジタルマーケティングを運営されている会社様で、ほぼ4年周期(オリンピック周期w)でインハウス・アウトソース方針が往復しているケースもあります。

全面的にBPOに振り切るパターン。戦略策定と効果測定をアウトソースにし、スピーディな日々の運用作業をインハウスにするパターン。これとは逆に上流ディレクションをインハウス化し作業をアウトソースするパターン。
このあたりだけで一冊本が書けてしまいそうですw。今後この部分はもっと深堀りしていきたいと思います。

経営コンセンサスがとれているか?

BPOに対する経営コンセンサス

アウトソース、 BPOを行う場合、キャッシュアウトに対する「費用対効果」を経営説明しなければなりません。企業規模の大小に関わらずデジタルマーケティングを司る部門と経営層がしっかり議論・検討できており、合意形成が成されている事が最重要です。これがズレていると、どんな優秀なベンダーを迎え入れたところで期待するパフォーマンスは生まれません。

大規模なアウトソースを実施し、結果として失敗に終わるケースの根本的原因は、「経営と現場の認識相違」、「経営の期待値と現場実情の大幅な乖離」と感じます。

特に「SEO強化」というテーマはハイコンテクストで、リテラシーや立場の差異による解釈の齟齬が生まれやすいジャンルです。企業としてのコンセンサスが不足していると、各所から懐疑心が生まれやすく「何のための投資?」となる危険性を孕んでいます。

前編でもお伝えしましたが、SEOの推進目標が「ビックキーワードで1位を獲る!」となっているケースは非常に危険です。それが組織トップからのオーダーだったとしても、プロジェクトが経過し、仮に目標達成していたとしても、投下コストが無駄に肥大していれば「それってROI合ってるんだっけ?」となり、後々間違いなく投資見直し対象となります。

前編でお伝えした『大前提は「費用対効果」』に回帰します。SEO強化を「投資」と捉え経営コンセンサスが取れていれば、大きな問題が起こることは回避できるはずです。

アウトソースベンダーの選定

最終的にどうしても重要になるのは「支援会社の選定」です。事業会社が支援会社を選ぶというのは、1つの学問になるぐらい奥深いものです。

ベンダー選定

少なくとも、これまでの考察から言えることは、

・例え安くとも、ただ作業を請け負うタイプのベンダーはNG
・SEO強化の投資対効果を合理的に設計できる、説明できる
・経営コンセンサスを補助してもらえる
・SEO専門プロジェクトの経験実績が豊富
・SEO専門の人材が豊富


あたりが重要になってくると個人的には考えています。
 

このテーマは弊社セールスマネージャーの岸が「Stand.fm」で語っています。

ご興味のある方はぜひこちらもご参照ください!

#8 SEO会社が教える!SEO会社の見極めポイント
ホダカタリ@きし ほだか
https://stand.fm/episodes/5e95aa3d4f8c03d210529569

最後に

今回の「アウトソースSEO」に関する考察をまとめさせていただきます。

デジタルマーケティング領域は慢性的人材不足
-理想はインハウスだが、アウトソースを有効に活用すべき。

アウトソースよりもBPOの考え方を
-事業側の担当者はよりコア業務に集中すべき

企業の数だけBPOパターンが存在する
-自社の文化や状況に適している方式を考える

経営コンセンサスが重要
-SEOへの「投資対効果」が説明できていれば安心

ベンダー選びの極意
-安かろう悪かろうはNG
-SEOの投資対効果を設計できる・実行できる
-SEOの経営コンセンサスを助けてもらえる
-経験・人材豊富に越したことはない

この記事を執筆してから、とても1つの記事では収まらない壮大なテーマだ!ということに書きながら気づきました(汗)。今後もこのあたりを細分化してもっと掘り下げてみたいと思います。

これからCOOの立場から、デジタルマーケティングに取り組む企業担当者様にとって有益な情報を継続発信してまいります。どうぞよろしくお願い致します!

ナイルでは、SEOを委託していただくことはもちろん、セミインハウス、さらにインハウスSEOへ向かうためのサポートも行っています。状況をヒアリングした上で、インハウスSEOの実現に向けて何が必要なのか、どのように進めればいいのか、ご提案させていただきます。ぜひ一度、ご相談ください。

編集者情報

大澤 心咲
大澤 心咲
新卒でアクセンチュア株式会社を経て、2018年ナイル入社。
コンサルタントとして大手企業SEO戦略策定・コンテンツマーケティング支援を担当。
現在はナイルのマーケティングとセールスの統括マネージャーとして従事。
著書:「ひとりマーケター成果を出す仕事術

監修者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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