LTVの計算方法は?計算時の注意点も解説

LTVの計算方法は?計算時の注意点も解説

LTVとは、日本語では「顧客生涯単価」と訳され、一人の顧客がどれだけ自社に利益をもたらすのかを表す指標です。このLTVには、商品やサービスの特性に応じてさまざまな計算方法があり、自社に合わせた適切な計算式を用いなければなりません。

ここでは、LTVの代表的な計算方法や、計算時の注意点などについて、詳しく解説していきます。

LTVとは

LTVとは「Life Time Value」の略で、一人の顧客がどれだけの利益を自社にもたらしてくれるのかを示した指標です。LTVが高ければ高いほど、一人の顧客が長く、たくさんの商品・サービスを利用してくれているということになります。またLTVを算出すれば、新規顧客獲得にかけるべきコストなども見えてくるため、マーケティング活動の中でも特に重要な指標となっています。

LTVの計算方法

LTVは、商品・サービスの特性や、ビジネスモデルによって適切な計算方法があります。ここからは、LTVを算出する代表的な計算方法について見ていきましょう。

計算方法

リピート商材を対象とした計算方法

LTV=購入単価×購入回数×継続期間

LTVの計算方法の中でも最も基本的なものであり、リピート商材を対象としてLTVを算出したい場合に用いる計算式です。この計算式であれば、例えば1,000円のものを年3回、3年継続して購入してもらえている場合、LTVは27,000円となります。基本的には全体の平均値からLTVを算出していきますが、場合によっては期間を分けて計算することで、効果が出ている時期や効果が悪い時期を見つけ出すのにも使えます。

BtoB商材を対象とした計算方法

LTV=顧客1人あたりの年間取引額×収益率×顧客1人あたりの継続年数

BtoBの商材については、この収益率を基にした計算式を用いてLTVを出すのが効果的です。一人の顧客との取引額が大きく、また単に受注額が大きいからと言って、良い取引ができているとは限らないからです。

この計算式であれば、例えば収益率50%の商材を年間100万円、2年継続して購入してもらえれば、LTVは100万円となります。そして、収益性70%の商材を年間80万円、2年継続して購入してもらえれば、LTVは112万円となります。この場合、単純な取引額としては前者のほうが大きいですが、自社への利益という観点で見れば、後者の方が優れているとういうことになります。

サブスクリプション型商材を対象とした計算式

LTV=顧客の平均単価×粗利÷解約率

 

サブスクリプション型の商材やサービスの場合、いかに長い期間継続して利用してもらえるかが、企業の利益に直結します。そのため、解約率が非常に重要な要素となり、LTVを算出する際も解約率を入れて計算を行います。サブスクリプション型の場合、顧客の単価や粗利のパーセンテージを上げることは難しいため、いかに解約率を下げないようにするかが、LTVを向上させるための重要な施策となります。解約率に関しては、「月間の解約数÷月間の顧客全体数」で割り出すといいでしょう。

全体の顧客を対象とした計算式

LTV=(売上高-売上原価)÷購入者数

 

一人ひとりの顧客に特化するのではなく、全体の顧客がどれぐらいの利益をもたらしてくれているのかをざっくりと把握する場合に用いることができる計算方法です。新規顧客獲得のためのマーケティング費用や、既存顧客を維持するためのコストなど、全体的な予算を見ていく場合に活用することができるでしょう。

LTVを計算するときの注意点

商材やビジネスモデルによってビジネスの特性が異なるため、LTVを計算する際にも自社のビジネスに適した要素を加味する必要があります。例えばサブスクリプションサービスの場合、毎月の課金額で利益を上げるため、いかに解約率を減らせるかが重要な要素となります。そのため、新規ユーザーと解約ユーザーの数値を正確に割り出し、LTVを計算することが大切になります。BtoB商材の場合は取引企業の継続年数が重要になるでしょう。そのため、LTVの計算では顧客の継続年数という要素を加味します。化粧品やサプリメントなど、リピート購入が前提となる商材の場合は、リピート頻度・期間や1回あたりの購入単価が利益に直結します。このように、商材やビジネスモデルごとに利益に貢献する要素をおさえて、LTVの計算式を定めることが重要になります。

LTVの活用方法

LTVは新規顧客の獲得にかかるコストを把握することに役立ちます。マーケティングの世界には「1:5の法則」というものがあり、新規顧客の獲得にかかるコストは既存顧客の5倍であると考えられています。このことからも分かるように、新規顧客の獲得には膨大なコストがかかり、広告費用や人件費などが利益を圧迫してしまうリスクもあるのです。新規顧客の獲得の費用対効果を最大化するためにも、LTVを算出して新規顧客獲得にかかるコストの基準を割り出し、その数値を目安に様々なマーケティング施策を実施していく必要があります。また、あわせて既存顧客のLTVを高める施策を実施することで、顧客獲得にかかるコストを圧縮していくことが重要になります。

LTV向上のための取り組みも重要

LTVは計算して終わりではなく、いかにLTVを向上させるかという視点も大切になります。LTV向上に関わる施策は主に以下のものがあげられます。

購入単価を向上させる

購入単価を向上させるためには、商品1点を購入してもらうだけでなく、他の商品と合わせて購入してもらったり、同じ商品を複数購入してもらったりする必要があります。そのためにも、「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」といったレコメンド機能を強化したり、複数の商品をまとめたセットプランを提供したり、大量購入に役立つまとめ買いセットや大容量セットなどを販売しましょう。これらの施策は単純に購入単価を向上させるだけでなく、「このECサイトは使いやすいな」「この会社では気になる商品をまとめて購入できる」などといった感情を喚起させ、顧客ロイヤリティを高めることにもつながります。

購入頻度を向上させる

購入頻度を向上させるためには、メールやプッシュ通知、電話などで顧客のアフターフォローを行うことが重要になります。商品の追加購入や買い替えを促したり、現状の課題をヒアリングしてさらなる提案を行ったりと、丁寧なアフターフォローを行うことで購入頻度の向上につながるでしょう。また、「この会社は丁寧な対応をしてくれる」と顧客に感じてもらうことができれば、ロイヤリティ向上にも期待できます。

継続期間を延ばす

購入単価と購入頻度を高めた上で、末永く商材を利用してもらうためにも、定期的にセールやキャンペーンを実施することをおすすめします。競合他社に移り替えられないよう、「いつも利用いただきありがとうございます」といった特別感を演出したセールを実施するのも一つの手でしょう。

LTVを計算して顧客獲得を適正化しよう

LTVの計算は新規顧客獲得のコスト基準を算出したり、自社の利益に関わる重要な要素を把握したりする上で役立ちます。顧客のLTVを高めて顧客獲得の費用対効果を最大化できるよう、マーケティング施策を検討していきましょう。

編集者情報

金子 光
金子 光(かねこ ひかる)
新卒で楽天グループ株式会社に入社。
営業管理として40人規模のチームをマネジメント。その後社員3人のベンチャー企業に入社し新規事業立ち上げを経験。
現在はナイルのマーケティング相談室編集長として、Webマーケティングに従事している。
無料相談はこちらから

監修者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

PIVOTにもスポンサード出演しました!

PIVOTにもスポンサード出演しました!
チャンネル登録者数が100万人を超えるYoutubeチャンネルPIVOTにスポンサード出演しました!
動画内では、マーケティング組織立ち上げのための新しい手段についてお話しています。
マーケティング組織に課題がある方はぜひご覧下さい。
動画を見る

関連記事

スマートフォンの電話コンバージョンを取得!リスティング広告とGoogleアナリティクスのイベント設定方法

バイラルマーケティングとは

バイラルマーケティングとは

チャットボットツールとは?どんな特徴があるのか基礎知識を解説

新着記事

【無料テンプレート付き】ロジックツリーの概要やメリット、作り方解説!

【無料テンプレート付き】ロジックツリーの概要やメリット、作り方解説!

動画で学ぶWebマーケティング【生成AI/ChatGPT編】

動画で学ぶWebマーケティング【生成AI/ChatGPT編】

サードパーティCookie廃止に伴う広告予算動向

【サードパーティCookie廃止に伴う広告予算の動向調査】

もっと効果的な集客施策
してみませんか?

Web戦略の情報を
定期的に受け取りたい方

取材・メディア掲載に関するお問い合わせは、こちらからお問い合わせください。