愛とは、この女が他の女とは違うという幻想である【コンテンツマーケティングの格言 第3回】

愛とは、この女が他の女とは違うという幻想である【コンテンツマーケティングの格言 第3回】

コンテンツなくしてオウンドメディアは運営できません。そんな重要なコンテンツづくりの極意を深掘りする「コンテンツマーケティングの格言」。偉人たちが残した胸に響く名言・格言から、ユーザーを魅了するコンテンツづくりのヒントを学びます。

3回は、前回と同じくヘンリー・ルイス・メンケン。彼のもうひとつの格言「愛とは、この女が他の女とは違うという幻想である」です。さて、その心は?

ブランドとは愛である

ヘンリー・ルイス・メンケンは、20世紀前半に活躍したアメリカのジャーナリストで、文芸誌「アメリカン・マーキュリー」の編集長でした。権力に立ち向かう反骨精神にあふれたジャーナリストでしたが、恋愛にまつわる格言を残しているロマンチストでもあります。

メンケンのこの格言の「愛」を「ブランド」に置き換えてみましょう。

「ブランドとは、この商材が他の商材とは違うという幻想である」。

ブランドも愛のひとつだといえます。あなたにもきっとお気に入りのブランドはあるのではないでしょうか。ほかの選択肢はまったく目に入らない、考えられないと思わせるのがブランド力です。

オウンドメディアでのブランディングの重要性

企業のブランディングは、今後ますます重要になってきています。

オウンドメディアにおいてブランディングを行うことが、なぜ重要なのでしょうか。それは、商材がコモディティ化することで、差別化がますます困難になってきたためです。現在の技術革新の速度は非常に早く、それに伴って商材のライフサイクルも短縮化されています。そのため、新商材を開発してもすぐに類似品が出てコモディティ化して、価値が下がってしまうのが現状です。

また、従来はBtoB企業が商材を購入する際、企業以外から情報を入手することは困難でした。しかし、現在はインターネットの普及により、情報の多くをSNSや価格比較サイト、オウンドメディア、ECサイトなどで簡単に入手できるようになっています。

反対に、そういったさまざまなメディアに有益な情報がない場合、その企業や商材を知ってもらうことは困難ともいえます。そのため、オウンドメディアでのブランディングが、非常に大きな意味を持ってくるのです。
商材の特徴だけでは売れなくなっていることから、オウンドメディアでのブランディングによって他社との差別化を図り、顧客を育成していく必要があります。

もちろん、ブランド力は一朝一夕に身につけられるわけではありません。また、当然商材自体に魅力がなければ、どんなにオウンドメディアできれい事をうたってもハリボテでしかなく、ブランド化しようがありません。
とはいえ、ブランド力は大企業でなければつけられないものではないのです。ナンバーワンは難しくても、オンリーワンを目指すことでブランド力は身につくからです。

では、ブランド力はどうやって身につけていけばいいのでしょうか。また、そもそもブランディングをすることは企業にとってどのような意味があるのでしょうか。ブランディングの手法や表現方法が多様化する中で、現在ではオウンドメディアを使ったブランディング戦略が増えています。

オウンドメディアで「第一想起」をしてもらう

ブランディングは、企業やその商材に興味・関心を持ってから、比較検討、購入、使用に至るまで、ユーザーとのあらゆる接点で良質な顧客体験を提供し、愛着や信頼を抱いてもらうようにするものです。企業にとってブランディングは、数ある競合の中から自社の商材を最初に想起してもらうために行います。

これを「第一想起」といいますが、ユーザーにとって自社のブランドが第一想起されれば、購入の可能性が上がり、競合との価格競争に巻き込まれるリスクも減るのです。

ブランディングにおいて最も重要なのは、ユーザーにとって価値の高い情報を発信すること。オウンドメディアでユーザーに有益な情報を提供できれば、自社のブランドを選択してもらえる可能性も高まります。また、ユーザーの信頼を獲得すれば、商材にさまざまな付加価値を付与することが可能になります。

ブランディングを強化するためには、ユーザーが感じる親近感や安心感、楽しさ、ワクワク感などを与えるコンテンツの提供が不可欠です。こうした感情を動かすさまざまなコンテンツこそが付加価値になります。
ブランドに「ほかとは違う」という愛着を抱かせることができれば、顧客はリピーターになってくれたり、口コミを拡散してくれたりと、売上に大きく貢献してくれます。

オウンドメディアは、ユーザーとのエンゲージメントを深めることで行動変容を把握することができるため、ユーザーが抱く不満や要望に応じて、満足度を高めていくことにも大きく貢献するのです。

オウンドメディアでブランディングをするメリット

オウンドメディアでブランディングをすることは、次のような5つのメリットがあります。

1 情報の資産化ができる

オウンドメディアで継続的に発信する情報は、蓄積されていくことで自社の貴重な資産となります。
ユーザーにとって価値の高い情報がオウンドメディアに蓄積されればされるほど、企業ブランドとして認識され、信頼性が確保され、さらにはユーザーとのコミュニケーションによって共感性・シェア率の向上にもつながるというわけです。
オウンドメディアは、情報の長期的な継続な発信と蓄積によって、集客のための資産となります。このような集客資産となるオウンドメディアを持てることが、大きなメリットとなるのです。

2 ユーザーに何度も接触できる

オウンドメディアを通してユーザーからの信頼性を得られれば、その後、同じユーザーとの接点を何度も持ちやすくなり、コミュニケーション向上にも役立ちます。つまり、リピーターを増やすことにも有効です。
また、オウンドメディアを拠点に情報を発信・蓄積できるため、SNSを利用することで発信した1つの情報が、多岐にわたって閲覧される可能性も高まります。ブランディングの効果を高められるともに、知名度・信頼性・共感性の確保につながっていきます。

3 ユーザーの信頼と共感が得られる

オウンドメディアを通してユーザーとコミュニケーションを図り、関係性を深くすることも可能です。ユーザーとのコミュニケーションの醸成は、新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客の掘り起こしや継続したリピーターを増やすことにつながります。
オウンドメディアから発信した情報は、企業ブランディングを前面に打ち出しているため、その情報の質が高く信頼性を担保していれば、自ずと「どこの会社の情報か」がひと目でわかり、認知獲得にも大きく貢献することでしょう。

4 市場の価格競争を避けられる

オウンドメディアは、短期的な利益を得ることを目的としません。集客するのはあくまでも潜在的な見込み顧客で、訪問者はすぐに何かを買ってくれる顧客とは限りません。そのため、すぐには売上に結びつかないことのほうが多いでしょう。
しかし、オウンドメディアで蓄積されたコンテンツでファンになってくれたユーザーにとって、商材は価格だけでは考えない「ブランド」としての認識が強くなっています。それゆえに、単純な価格競争に巻き込まれず、将来的に一定の収益を上げてくれる見込み顧客として定着してくることが期待されます。
こうして、ブランドに対するファンが生まれて、気に入ったものを高く評価してくれるサイクルができれば、競合他社との価格競争い巻き込まれるリスクの軽減も可能です。

5 広告宣伝費が削減できる

コンテンツを継続的に配信し、蓄積されていくことで集客を増やす流れができてきます。また、ある程度集客力がついてくれば、オウンドメディア自体が常設の広告塔の役割も果たすようになります。オウンドメディアは広告宣伝のように、一過性の効果を狙うものではありません。
ですから、広告宣伝による販売促進や、サービス紹介にかかる費用の削減が可能になるのです。

ブランディングを成功させる3つのポイント

オウンドメディアでブランディングを実現するには、どのようにすればいいのでしょうか。これからご紹介する3つのポイントを参考にしてみてください。

1 メディアコンセプトを決める

オウンドメディアでブランディングを成功させるためには、まずメディアコンセプトを明確に定めることが必須です。オウンドメディアで一番伝えたいことは何か、誰に向けてのものなのか、どんなテーマについてコンテンツを提供していきたいのかなど、メディアコンセプトはオウンドメディア自体の存在価値を決めるものとなります。
メディアコンセプトが一貫して魅力を保つことができれば、多くのユーザーにとってニーズを満たせるものとなり、ブランディング効果も引き上げることができるのです。

2 ブランドイメージが商材に反映されている

例えば、作業服で有名な「ワークマン」は、「プロも支持している機能を手軽に身に着けられる」というブランドイメージで急成長を遂げています。このときワークマンにとっては、「プロ用並みの品質の高さにこだわっている」ことが重要です。

ユーザーの持つブランドイメージに合わない商材を提供した場合、ユーザーはイメージにない商材に対しては違和感を覚えます。ワークマンでいえば、違うブランドを展開して「作業着」から外れたとしても「プロ用の高品質」からは外れないことでブランド力は維持できます。
逆に言えば、「作業着」だとしても「プロ用の高品質」ではない商材は扱えないということでしょう。

3 ユーザー目線のブランドストーリーを作る

オウンドメディアは、自社の好きなように情報を発信できることから、企業側の目線で構築されてしまう可能性があります。しかし、ブランディングはユーザーが企業に抱くイメージです。
だからこそオウンドメディアは、ユーザーファーストを意識したコンテンツを作らなければなりません。そのため、オウンドメディアでは、ユーザーファーストのブランドをストーリー化する必要があります。

ブランドストーリーとは、ユーザーの要望や問題に対して取り組んだ点などをストーリー展開で紹介する流れのことです。ブランドストーリーは、あくまでもユーザー視点であることが前提となります。
自社都合のブランドストーリーは、単なる企業宣伝に過ぎません。常にユーザー目線で、「ユーザーに対して、どのように問題を解決しようと取り組んだのか?」を、ストーリー展開で紹介しなければブランドは構築されません。ユーザー目線のブランドストーリーは、結果的に自社が届ける価値をユーザーに伝えることとなります。ブランディングによって、商材を通した顧客価値を伝達できるのです。

例えば、ワークマンには「公式アンバサダー」という有名な制度があります。これは、インフルエンサーと呼ばれる人たちにアンバサダー(熱烈なファン)になってもらい、商材のサンプルや情報を提供するものの、無報酬で自主性に委ねて商材に関する情報を発信してもらうという内容です。アンバサダー制度は広告宣伝コストが抑えられる上、受け手に刺さる客観的な情報が発信されやすいというメリットもあります。

ワークマンの公式アンバサダーでは、開発アンバサダーとして商材開発でも積極的に協力してもらい、次々とヒット作も生まれています。アンバサダーは無報酬ですので、ワークマンに魅力を抱き、同ブランドへの愛着や情熱がなければ、当然、情報発信など行いません。だからこそ、アンバサダーが届けるブランドストーリーには真実味や説得力があり、ユーザーの信頼度も高まるわけです。

好循環のサイクルを回しオウンドメディアを運用しよう

オウンドメディアを運営するにあたって最も悩むのが、いかにして良質なコンテンツを制作すればいいのかということです。良質なコンテンツは、「ユーザーにとって必要な情報・価値のある内容」でなければなりません。自社都合の一方的な押しつけのコンテンツを並び立てていても、ユーザーはファンになってくれないのです。

オウンドメディアは、ユーザーにとって必要なコンテンツを提供して、初めてその価値を生み始めます。有益なコンテンツを通してブランディングすることで、商材の特徴や名前が認知されるようになります。そうすることで、自社だけのオンリーワンのポジションを確立することができるわけです。

ブランディングをするためのポイントは、まずブランドの認知を広げることです。ブランドの認知向上が実現できれば、ファンを獲得できるサイクルを回すことができます。このような好循環のサイクルを回せるメディアを構築することが、オウンドメディアによるブランディングの目的です。

オウンドメディアによるブランディングは、短期的な目線ではうまくいきません。長期で続ける覚悟で運用を開始しましょう。
そうすることで、「あなたの会社や商材がほかとは違う」という幻想を育むのです。

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さまざまなコンテンツを作成して情報発信していきたいけれど、記事を書くリソースがないお客様に、ナイルではコンテンツ制作代行のプランをご用意しております。良質なコンテンツ作りを、経験豊富なコンテンツのプロたちが全面的にサポートいたします。 また、オウンドメディアの戦略設計からサポートさせていただくことが可能ですので、まずは、お気軽にご相談ください。

成田 幸久(なりた ゆきひさ)
監修:成田 幸久

AMEX会員誌「IMPRESSION」や「ワイアード」日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか、「ギズモード・ジャパン」創刊ディレクター、セブン–イレブンとヤフーの共同事業メディア「月刊4B」編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、ウェブメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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