恋愛は戦争のようなものである。始めるのは簡単だがやめるのは困難である【コンテンツマーケティングの格言 第2回】

恋愛は戦争のようなものである。始めるのは簡単だがやめるのは困難である【コンテンツマーケティングの格言 第2回】

コンテンツなくしてオウンドメディアは運営できません。そんな重要なコンテンツづくりの極意を深掘りする「コンテンツマーケティングの格言」。偉人たちが残した胸に響く名言・格言から、ユーザーを魅了するコンテンツづくりのヒントを学びます。
第2回は、ヘンリー・ルイス・メンケンの格言「恋愛は戦争のようなものである。始めるのは簡単だがやめるのは困難である」。さて、その心は?

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スモールスタートで始められるオウンドメディア

ヘンリー・ルイス・メンケンは、アメリカのジャーナリストであり、文芸誌「アメリカン・マーキュリー」の編集長でした。高校卒業後、アルバイトから記者になり、やがて大統領にも忖度なしの物申す気骨あふれるジャーナリストとして名を馳せました。
始めるのが簡単でもやめるのが難しいのは、恋愛だけではありません。オウンドメディアも同じです。「今はどこの会社もやっているから、うちもとりあえずやってみるか」と始めてみたものの、うまく運営できないのを理由に途中で頓挫する企業も少なくありません。

オウンドメディアはスモールスタートを是としているので、予算が少なくても始めてみることは可能です。特に、変化のスピードが速いIT業界では、VUCA(先行きが不透明で将来が読みにくい状況)の時代に対応した製品やサービスを世に出せるよう、アジャイル(※1)やリーン・スタートアップ(※2)といった手法が当たり前となっています。
これは同時に、継続していくことの難しさと表裏一体です。オウンドメディアはスモールスタートで比較的容易に始められますが、問題はその後の運営の仕方です。始めてみたものの、目標を見失ったり、予算や人材面で息切れしたりして、途中で頓挫する企業も多く見られます。

簡単に始められるからといって、中途半端に始めて途中でやめてしまったり、更新を止めてしまったりすることは、かえって企業ブランドを損なうリスクを伴います。「お金がないのかな?」「会社がつぶれたのかな?」と、いらぬ憶測を呼んでしまっては元も子もありません。
オウンドメディアは、競合他社との生き残りを賭けた戦いの強力な武器です。しかし、その武器を途中で放棄した時点で、それは敗北を意味します。

※1 アジャイル:「素早い」「俊敏な」という意味で、短い開発期間単位を採用することで、リスクを最小化しようとする開発手法のひとつ。
※2 リーン・スタートアップ:コストをかけずに最低限の機能を持った試作品を短期間で作り、顧客の反応を的確に把握して、顧客がより満足できる製品・サービスを開発していくマネジメント手法のこと。

いかに長く幸せな関係を続けられるか

オウンドメディアの目的はユーザーと信頼関係を結び、エンゲージメントを深めていくことです。それは、恋愛における結婚と同じです。いかに長く幸せな関係を続けられるかが課題になってきます。
長期運営をしていくためには、まず下記のようにスタートからゴールまでのプロセスを明確に定めておく必要があります。

<オウンドメディアを成功させるためのプロセス>

  1. ゴール設定
  2. ペルソナ設定
  3. 購買ファネル
  4. コンテンツの編集計画
  5. コミュニケーションの管理

オウンドメディアの成功は、ゴールに向かってこの5つのステップを踏みながら、きちんとPDCAを回していけるか否かにかかっているのです。

1.ゴール設定

オウンドメディアを始める際は、最初にゴールを定めることが大切です。具体的には「KGIKPIの設定」「体制づくり」「予算決め」「リスクの想定」をしていきます。

KGIとKPIの設定

オウンドメディアで成果を出すためには、しっかりと目標を設定しておかなければなりません。目標が定まっていないまま運営しても、作るべきコンテンツは明確になりません。まず、オウンドメディアのゴールに沿ったKGIKPIを設定した上で、中長期を見据えたプロジェクトの運用計画を作成していきます。

KGIとは「重要目標達成指標(Key Goal Indicator)」の。例えば、契約数100件が目的であれば、「契約数100件」がKGIとなります。
KPIは「重要業績評価指標(Key Performance Indicator)」ので、KGIの達成に向けた中間指標と考えれば問題ありません。この場合、できるだけ定量化しやすい測定可能な具体的数字で設定しておくほうがいいでしょう。

オウンドメディアを運営していく中で、KPIが実情に合わないと判断したら、都度変更しても構いません。ゴールであるKGIをコロコロ変えるのは、迷走の原因となるので避けなければいけませんが、KPIは実情とかけ離れた設定だとわかったら、臨機応変に変更することは決して悪いことではないのです。例えば、コンテンツの更新本数を毎月10本とし、KPI10UUとしたものの、実際のところ10UUどころか1UUにも満たなければ、KPIを見誤っていたことになります。
とはいえ、途中でのKPIの変更は見通しの甘さでもありますので、変更しない状況のほうが望ましいことはいうまでもありません。

体制づくり

どのような体制でオウンドメディアを運営していくかを決めます。定期的に質の高いコンテンツを投稿し続けてこそ、ユーザーとの接点を生み出すことができます。そのために、しっかりとオウンドメディアを運営できる編集体制を構築しなければなりません。

まずは自社で制作するか、外注化するかを決めます。社内で制作体制を作る余力があれば、社内制作でも構いません。ただし、経験のない数人で企画立案から記事公開、検証までをすべて行うなど、無理をしても破綻してしまうおそれがありますので、業務負荷が高くなりすぎないように注意が必要です。

コンテンツ制作はノウハウがないと、思った以上に負荷がかかります。戦略に沿った企画を立案し、記事執筆、校正・校閲、画像選定、図解作成といったさまざまな作業がありますので、少なくとも一人は経験のあるスタッフを配置するか、外部パートナーと組んだほうがいいでしょう。

予算決め

オウンドメディアは膨大な予算を投入したからといって、すぐに見返りがあるわけではありません。スモールスタートが可能な反面、ある程度長く続けなければなかなか効果は出てきません。そのため、長期的視点に立った予算を決めることが必要です。オウンドメディアは、広告のように認知獲得だけが目的ではないため、予算に比例してその効果を検証することが難しいのがウィークポイントでもあります。

また、オウンドメディアは認知獲得よりもエンゲージメント重視のため、費用対効果を検証するのが比較的難しいことも事実です。予算を一気につぎ込むより、無理のない定期預金という意識で、少しずつでも続けることが肝心です。

リスクの想定

オウンドメディアの運営に限りませんが、不測の事態は必ず起こるものです。そんなトラブルが起きたときに、慌てないようにあらかじめリスクを想定してシミュレーションをしておきます。
例えば、「PVがまったく伸びない」「想定したKGIにまったく届かない」「スタッフが辞めてしまう」「コンテンツのネタが尽きる」といったことです。

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2.ペルソナ設定

オウンドメディアのゴールが定まったところで、ペルソナを決めます。ペルソナとは、企業が製品やサービスを提供するにあたって設定する、象徴的な顧客モデルです。年齢・性別・職業・年収・趣味・嗜好・性格といったターゲットの隠れたニーズや行動パターンなどを、一人のユーザー視点のストーリーとして表します。
ペルソナを設定するメリットは、主に下記の3つがあります。

<ペルソナを設定するメリット>

  • ユーザー視点のストーリーを提供する
    ユーザーの立場になってニーズを探っていくため、ユーザーの共感を得やすくなります。
  • ユーザーの理解が深まる
    ユーザー像が可視化されるため、誰に何をどのようにして伝えるべきかが明確になり、発信すべきコンテンツが作りやすくなります。
  • 一貫したユーザー像が共有できる
    ユーザー像を可視化・明確にすることで、プロジェクトメンバーをはじめ、目的や利害関係が異なる他部署などとの解釈にもぶれがなくなります。

ペルソナ設定には、「一人の生身の人間」としてのストーリーが欠かせません。重要なのは、ユーザー自身も気づいていない深層心理にまで踏み込み、一人の生身の人間を理解することです。
ただし、ターゲットの母数が減ることを懸念して、ペルソナのターゲットを無闇に広げることは避けましょう。「顔の見える一人」にフォーカスするためには、個人の顔が具体的に浮かぶような人格やライフスタイルを設定することが必要不可欠です。

3.購買ファネル

訪問客がどの段階でどのような行動変容があるのかを可視化した購買ファネルは、コンテンツマーケティング施策の改善につなげることができます。購買ファネルは、顧客が購買に至るまでの心理プロセスの変化を示した、「AIDMAモデル」を発展させて生まれた考え方です。集客した顧客が購買・成約に至るまでのあいだに、だんだん少数に絞り込まれていく様子が、逆三角形の漏斗(ファネル)のような形になることからこのような名称になっています。

AIDMAモデルでは、顧客心理は訪問から購買までに至る各段階をたどるプロセスで表します。

AIDMAモデルのプロセス>

  • Attention(注意)
    入り口となる訪問客に対しては、関心のあるユーザーの「Attention」を引くために、課題や悩みの解決の糸口を提供します。
  • Interest(関心)
    見込み顧客には、「Interest(関心)」を持たせられるように、比較・検討ができるようなコンテンツを用意します。
  • Desire(欲求)
    見込み顧客に対しては、さらに踏み込んで、製品・サービス購入の「Desire(欲求)」を促すようなコンテンツを提供する必要があります。
  • Memory(記憶)
    見込み顧客を経て新規顧客となったユーザーにはリピーターになってもらうよう、より付加価値の高いコンテンツを提供して満足度を高めてもらい、「Memory(記憶)」にとどめてもらうことが大切です。
  • Action(行動)
    リピーターになった優良顧客には、さらに高額な商材の購入を促したり、利用頻度を高めたり、SNSなどで拡散・推薦してもらったりと、「Action(行動)」を起こしてもらうためのコンテンツを提供します。

4.コンテンツの編集計画

オウンドメディアの運営では、「何のためにやるのか」といった目的を明確にし、その目的に沿った編集方針を立てなければなりません。「誰に、何を、どのようにして」というプロセスで考え、ユーザーに適切なコンテンツと、その配信方法を設計します。ユーザーのために役立ち、メリットを供与できるコンテンツを制作、発信、管理するために計画します。
編集方針が定まらないと、プロジェクトメンバーの意思疎通がとりづらく、企画内容にもぶれが生じてしまうので、オウンドメディアの立ち上げ時に、しっかりと編集方針を立てておくことが大切です。

コンテンツの編集計画は、具体的には「コンテンツカレンダー」と「コンテンツの種類」の2軸で考えます。

コンテンツカレンダーとコンテンツの種類

コンテンツカレンダーでは、各コンテンツの役割を明確にして一覧化します。週単位〜月単位で区切られたカレンダーに記録していくことで、計画的にPDCAを回す手助けとなります。アクセス解析と併用しながら定期的に検証することで、運用するためのさまざまなヒントを得ることができるはずです。
コンテンツカレンダーには次のような項目を埋めていきます。ただ、あまり細かく複雑にしすぎても管理が大変なので、これらの項目が埋まっていれば十分です。

<コンテンツカレンダーに入れる項目>

  • 担当者
  • 納期
  • コンテンツ内容
  • 制作から公開までのスケジュール
  • 公開場所(オウンドメディア、SNSなど)
  • 公開日時

コンテンツの内容は、特集、連載、コラム、テーマ、カテゴリーなどのほかに、ストックコンテンツとフローコンテンツを分類しておくのがおすすめです。
ウェブメディアではどうしてもすぐに効果を求めがちですが、ブックマークや検索による長期的な流入を狙えるスタイルの記事もあるように、ストックとフローで果たす役割も異なってきます。

オウンドメディアは12年と続くと、1年目にファンになり2年目も継続して閲覧しているユーザーと、2年目からの新規ユーザーが混在するなど、ユーザーが多様化してきます。
「さらに強化すべきコンテンツは何か?」「減らすべきコンテンツは何か?」など、コンテンツの見直しをする際にも、コンテンツカレンダーを振り返り現状を俯瞰することで、今後の改善点が見えてくるはずです。

また、地道に流入先を増やすSEOも重要になります。検索エンジンは良質なコンテンツを定期的に配信するサイトを評価してくれます。メディアの方向性に合わせて適切なキーワードを設定し、月単位でバランス良く配信しながら、取りたい検索ワードをしっかり狙っていってください。
特に、すぐに結果として数字に出てこない初期は、KPIとしてキーワードを狙っていくことは必須です。

なお、コンテンツは効果的に使い分けることも大切です。コンテンツの種類には、比較的コストをかけないで制作できる「基礎コンテンツ」や「SNSコンテンツ」のほか、予算や人員リソースに余力があれば検討してもいい「リッチコンテンツ」があります。
配信するメディアの特性に適切なコンテンツを、適切なタイミングで配信していきましょう。

5.コミュニケーションの管理

近年のオウンドメディアは、ユーザーとのコミュニケーションが重視されています。情報が氾濫するネット時代において、どんなに価値の高いオリジナルコンテンツを配信しても、一方的な提供だけではユーザーの優良顧客化を図ることは難しくなってきているのが現状です。オンライン・オフラインを問わず、ユーザーと直接コミュニケーションを図ることで、競合との差別化を図ります。

ユーザーとのコミュニケーション強化には、「傾聴する」「シェアする」「参加する」というプロセスで進めます。

傾聴する

傾聴の段階では、まずどれくらいのユーザーがコンテンツを消費しているのか、コンテンツへのアクションを見ます。続いて、ユーザーがコンテンツを好意的に受け取っているのか、否定的なのか、中立なのか、SNSやコメントなどでユーザーの感情を定量的に測定。そして、コンテンツへの接触を通じてエンゲージメントを深められたか、コンテンツへの理解度を測ります。

シェアする

効果的なシェアを促進するためには、ユーザーが直感的にコンテンツをシェアできるようになっているかをチェックします。効果的にシェアできる構造になっていなければ、随時シェアしたくなるコンテンツに改善していくことが大切です。そして、効果的なインフルエンサーになりうるのは、誰なのか把握します。SNSではインフルエンサーの影響がとても大きいため、インフルエンサーとつながり、彼らにとってより興味・関心を抱きそうなコンテンツを提供します。

参加する

ユーザーとのコミュニケーションを最適化するために、SNSやコミュニティに積極的に参加して、プロとしての回答をしながら参加していきます。また、SNSやコミュニティにおいて噂をされたら、噂の現場に積極的に関与します。さらには、ユーザーに関連しているコンテンツを提供することで、ユーザーに自分事化してもらいましょう。

オウンドメディアはPDCAを回しながら成長させよう

コンテンツは、「作って終わり」ではありません。現状を分析することで常に改善を図っていくことができるのが、オウンドメディアの最大のメリットです。だからこそ、しっかりとPDCAを回して検証していく必要があります。

PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の頭文字を取ったフレームワークです。KPIに対する進捗はどうかといった効果測定を日々実施し、PDCAサイクルを構築していくことがメディアを成長させる上で欠かせません。
オウンドメディアの実態を正しく把握し、常にコンテンツの改善策を念頭に入れながら、次の施策や企画に反映させていきます。

オウンドメディアは、一度始めたら継続することにこそ価値があります。中途半端に途中でやめてしまうのであれば、最初から始めないほうがいいでしょう。それが、オウンドメディアの負った使命と宿命なのです。

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成田 幸久(なりた ゆきひさ)
監修:成田 幸久

AMEX会員誌「IMPRESSION」や「ワイアード」日本版、JAL機内誌「winds」などで副編集長を務めた後、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほか、「ギズモード・ジャパン」創刊ディレクター、セブン–イレブンとヤフーの共同事業メディア「月刊4B」編集長、オウンドメディアのアドバイザリー支援など、ウェブメディアの企画・運用など実績多数。著書に『愛されるWebコンテンツの作り方 』がある。

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