「○○とは」記事はもう不要?情報系クエリのクリック激減問題を有識者に聞いてみた

加藤 直子

著者:加藤 直子

公開日:
「○○とは」記事はもう不要?情報系クエリのクリック激減問題を有識者に聞いてみた

2025年以降、自然検索流入数が落ち込み、中でも情報系クエリを狙ったコンテンツのクリック数が目立って減っている――そんな実感を持っているWebサイト運営者はとても多いでしょう。

この背景にあるのは、AI Overviews(AIによる概要)をはじめとするAI検索の浸透です。
「○○とは」「○○方法」といった、これまで安定的に流入を生んできた情報系コンテンツは、もう作る意味がないのか、そんな問いが広がりつつあります。

そこで本記事では、ナイルでSEO・LLMOの実務に向き合う4名に、この問いに対する見解を聞いてみました!

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なぜ「情報系コンテンツはもういらないのでは?」と言われ始めたのか

情報系クエリはもう作らなくていいのでは?」という発想が広がってきた背景には、AI検索の進化と、それに伴うクリック構造の変化があります。

2026年2月に発表されたAhrefsの調査(※)によると、AI Overviewsが表示されるクエリでは、検索1位のCTRが約58%減少する一方、ブランド指名検索ではAI Overviewsの出現率自体が低く、影響は限定的というデータもあります。

※1 参考:Ahrefs「Update: AI Overviews Reduce Clicks by 58%」

<AI Overviewsが表示されたクエリ:検索1位のクリック数比較>

AI Overviews表示クエリの検索1位CTR予測と実績、58%減を示す比較グラフ

2025年12月の予測CTR(AI Overviewsが表示されなかった場合の想定値)と実際のCTRを比較すると、実際のCTRは58%低かった。
引用:Ahrefs「Update: AI Overviews Reduce Clicks by 58%」

ここでクリック数の直撃をもろに受けているのは、「○○とは」「○○の方法」といった、ユーザーが情報や知識を求めて検索するKnowクエリ=情報系クエリです。

AI Overviewsの99.9%は、情報系クエリで表示されているという2025年11月の調査(※2)もあります。

※2 参考:Ahrefs「What Triggers AI Overviews? 86 Factors and 146 Million SERPs Analyzed」

<AI Overviewsが出現したクエリを、クエリの種類別に分類した割合>

AI Overviews出現クエリの種類別割合、情報収集型が99.9%の棒グラフ

AI Overviewsが出演したのはほぼ情報系クエリ。
※合計が100%を超えているのは、ひとつのクエリが複数の種類に分類されることがあるため。
引用:Ahrefs「What Triggers AI Overviews? 86 Factors and 146 Million SERPs Analyzed」

AIがユーザーの疑問に対する回答を検索結果上で提示してしまえば、ユーザーはわざわざリンクをクリックする必要がなくなるという、構造的に避けられない変化が起きているのです。

一方で、指名検索(上掲グラフの「Navigational」)や、「Netflix 申し込み」「ホテル 予約」といったユーザーの行動に直結する取引系クエリ(上掲グラフの「Transactional」)への影響はさほどありません。

つまり、今後も労力をかけて情報系コンテンツを作り続けたところで、クリック数の回復が見込めない可能性が高いっぽいな――ならいっそ、そのリソースを別の取り組みに割いたほうがいいのでは?といった発想になるのは、自然な流れといえます。

ただ、この判断は本当に正しいのでしょうか?

ナイルのSEO実務者たちの見解――「情報系コンテンツを作る」にしても条件がある

ナイルのSEO・LLMOに関わるメンバー4名に、「情報系コンテンツは今後も作るべきか」という問いを投げかけてみました。
それぞれの判断とその理由を見ていきましょう。

【KPI起点で考える派】伊藤真二(「カルモマガジン」「車買取ジャーナル」編集長)

KPI起点で考える伊藤真二氏がノートPC前で語るインタビュー風景

数値に良い影響を与えそうなら必要、そこは投資価値があれば…ってことになりそうです。
Knowクエリ記事(情報系コンテンツ)も使い道はあるけど、KPIの置き方次第では?
あと、商材にもよりそうですよね。

伊藤の立場は、情報系コンテンツを作るかどうかをKPIと商材特性から判断するというもの。

情報系コンテンツのクリック数が落ちている現状は前提としつつ、「投資する価値があるか」をKPI設計から逆算して判断するということです。

ただ、ここで重要なのは、クリック数だけで価値を測らないという視点。
コンバージョン貢献や指名検索への影響まで含めて評価できるKPIが置けるなら、作る価値は十分残るということでしょう。

併せて、扱う商材の検討フェーズの長さや単価によっても、情報系コンテンツの位置づけは変わってくるといいます。

【独自性起点で考える派】伊藤隆史(「アプリブ」編集)

独自性起点で考える編集者がノートPC横で語るインタビュー風景

作るべき。
ただし、「○○とは」「○○ 方法」をこれまでと同じノリで作っても意味がない、が本音です。

 

アプリブでも「○○ 方法」系キーワードのクリック数は露骨に減ってる一方、実体験ベースのレビューや比較・選び方系の記事はAI Overviews内で参照されて、そこからブランド指名や直接訪問につながる流れがまだ強く残ってます

 

例えば、「家計簿アプリ おすすめ」みたいな記事を、よくあるリスト型で紹介するんじゃなく、「アプリブで10年以上ためてきた累計○万件のユーザーレビューを見て、続けられた人と挫折した人で何が違ったか」みたいに、“うちにしかないデータ”を組み込んで書くイメージです。

 

これならAI Overviewsで要約されても、アプリブが根拠ソースとして表示されるから、「アプリブが言ってるなら」と指名検索や直接訪問にもつながると思います。

伊藤隆史の立場は、「作る」と明確に答えた上で、作り方を根本から変える必要があるというもの。

「○○とは」「○○の方法」をテンプレ的に量産しても、もはやAI Overviewsに役割を奪われるだけ。
一方で、自社にしかないデータや切り口を組み込んだ情報系コンテンツは、AI Overviewsに引用される側のポジションを取れるという主張です。

ポイントは、AI Overviewsに要約されることを前提として設計するという発想。
AIに要約されてもアプリブが根拠ソースとして表示されれば、そこから指名検索や直接訪問につながる――つまり、引用されることをきっかけに、ユーザーのクリックや信頼を獲得するという戦略です。

自社が持つ独自データなどの1次情報、長年蓄積してきた知見。
これらを組み込めるかどうかが、情報系コンテンツを作る価値の分かれ目になる、という見解といえます。

【サイト構造起点で考える派】戸田裕美(DX&マーケティング事業部 コンテンツディレクター)

サイト構造起点で考えるコンテンツディレクターが語るインタビュー風景

作るべきだと考えています。理由は次の4つ。

 

  1. キーワードを起点とした入口は引き続き重要
    AI検索の利用が広がっても、検索行動そのものがなくなるわけではない。
  2. Webサイト内の内部リンクの起点として機能する
    情報系コンテンツが薄いと、サイト全体の回遊性や関連性の設計が成立しづらい。
  3. サイト全体のテーマ性・網羅性に貢献する
    検索エンジンにもAIにも「このサイトはどんな専門性を持っているのか」を伝える役割を担っている。
  4. AIに引用されることでブランディングにつながる
    AIで参照されるソースとして選ばれれば、認知や信頼の獲得につながる。

「作るべき」と明確にYesを示した理由は、Webサイト全体の構造から価値を測るという観点からのようです。

4つの理由はいずれも、情報系コンテンツを単独でクリックを集める存在ではなく、「Webサイト全体の機能を支える部品」として捉えるもの。

特に、「AIに引用されることでブランディングにつながる」という指摘は、クリックが減ってもAIの引用ソースとして存在感を保てるなら、それはブランド資産になる――これは伊藤隆史の見解とも通じる考え方ですね。

【ユーザー課題起点で考える派】細山武揚(DX&マーケティング事業部 SEOコンサルタント)

ユーザー課題起点で考えるSEOコンサルタントが語るインタビュー風景

そのサイトでユーザーの悩みや困り事を解決するために、情報系コンテンツが必要なら作るし、不要なら作らないです。

 

自分がサイトを作るときは、キーワードベースでなく、何かの課題を解決するための1つのプロダクトとしてサイト設計を考えるので、このような考え方でやってます。

細山の意見は、「ユーザーの悩み解決に必要かどうか」に集約されます。

特徴的なのは、Webサイトをキーワード対策の集合体ではなく、課題を解決する1つのプロダクトとして設計するという発想。

プロダクトに必要なコンテンツであれば作るし、不要なら作らないという、Webサイト戦略の本質に立ち返った考え方といえるでしょう。

情報系コンテンツを「作るかどうか」から「必要ならどう作るか」に変える

ここまで見てきたように、4人の判断軸はそれぞれ違いますが、情報系コンテンツの扱いについては次のような観点で共通していると感じました。

個別記事のクリック数だけで価値を判断しない

ひとつは、個別記事のクリック数だけで価値を判断していないこと。

ただ「クリックが落ちたから作るのをやめる」ではなく、Webサイトの目的から逆算して、情報系コンテンツが必要かどうかを判断することが求められます。

ユーザーにとってより価値のある内容でなければ意味がない

もうひとつは、情報コンテンツを作るなら、どこにでもある情報をなぞるだけのコンテンツではなく、ユーザーにとってより有益な内容にしなければ意味がないということです。

情報系コンテンツの場合は特に、どのWebサイトも同じことが書かれているケースは少なくありません。
情報自体が似たりよったりになること自体は、テーマ的に仕方ない部分もあります。

しかし、その中でも自社にしか書けない切り口や、独自で調査したデータを組み込むことで他サイトと差をつけ、ユーザーがそれを読む意味を持たせることが重要になりそうです。

サイトの本質に立ち返ることで、答えはおのずと見えてくる

Webサイトを運営していると、どうしてもGA4やGoogle Search Consoleで表面的に見える数値ばかりを追いかけてしまいがちです。

ただ、「流入が少なければ作る意味はない」という判断は、Webサイトによってはそれが正しい場合と、そうとも言い切れない場合があるでしょう。

そのため、情報系コンテンツを作るかどうかは、自社のWebサイトは何のために、何を目的として運営しているのかに立ち返って検討してください。

その目的を踏まえ、それを達成するためにユーザーにどんな情報を提供すべきかを考えていくと、おのずと答えは見えてくるはずです。

もし、Webサイトの方向性についてお悩みがありましたら、ぜひナイルに相談をご利用ください。
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