こんにちは、ナイル株式会社の石原です。
AIが人間に代わってWebサイトを閲覧し、情報を集め、商品を購入する――そんなことができる「AIエージェントブラウザ」が、最近注目を集めています。
こうした技術の進化は、私たちがこれまで当たり前だと思っていた「Webサイトの役割」を、捉え直すきっかけになるはずです。
本記事では、AIエージェントブラウザの仕組みを整理しながら、これからのWeb担当者やマーケターが持っておきたい「視点」について、私なりの考察を共有します。
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目次
AIエージェントブラウザとは?
AIエージェントブラウザとは、ユーザーが指示を出すと自動でWebサイトにアクセスして情報を集めたり、操作を実行してくれたりするAIを搭載した、次世代型のブラウザのこと。
代表的なものとしては、OpenAIの「ChatGPT Atlas」や、Perplexityの「Comet」などが挙げられます。
AIエージェントブラウザを使えば、複数のECサイトを横断して在庫や価格を比較し、そのまま購入まで自動で完了させることが可能です。
例えば、私が「スマホケースを買いたいです。A社・B社・C社のECサイトで今在庫がある商品の中から、送料込みで一番安いものを購入して」と指示した場合、AIエージェントブラウザは次のように行動します。
<AIエージェントブラウザの行動イメージ>
1 指示内容を分解し、「A社のECサイトに行く」などの行動計画を立てる
2 ブラウザを操作し、検索エンジンで「A社 スマホケース」と検索してECサイトにアクセスする
3 サイト内からスマホケースの商品一覧ページを見つける
4 各商品ページを開き、在庫状況・価格・送料などの情報を読み取る
5 同じ作業をB社・C社のECサイトでも繰り返す
6 在庫がある商品の中から、送料込みの価格が最も安い商品を特定する
7 その商品を「購入候補」としてまとめ、ユーザーに提示する
8 ユーザーの確認・承認を受けた上で購入ページに移動し、カートに追加する
9 事前に許可された範囲で、配送先情報の入力や決済操作を行う
10 購入が完了したら、結果をユーザーに報告する
このように、AIエージェントブラウザはこれまで人間が時間をかけて行っていた情報収集から購入完了までの一連の作業を代行してくれる、とても便利な存在といえるでしょう。
AIエージェントブラウザの基本的な仕組み
AIエージェントは、なぜ人間の代わりにこれほど複雑な操作までこなせるのでしょうか。
それは、次の3つの能力が高度に連携し、人間のように「考えながら」Webサイトを操作しているからです。最新技術はすごいですよね。
<AIエージェントブラウザの仕組み>

1. 頭脳:計画を立てる司令塔
AIエージェントの核心にあるのは、ChatGPTやClaudeの基盤でもある大規模言語モデル(LLM)です。
これがいわば、ブラウザを動かす「司令塔」の役割を果たしています。
従来の自動化プログラムと決定的に違うのは、LLMを活用することで、人間の「曖昧な言葉」から意図を汲み取り、みずから「ToDoリスト」を作成してくれること。
こうした頭脳があることで、「送料込みで安いスマホケースを購入して」という命令に対して、適切なプロセスを作り上げ、実行することができます。
2. 目:ページを“見る”能力
これまでの自動化ツールは、Webサイトの裏側にあるHTMLコードを“読む”ことで正確にWebページの内容を認識していました。
しかし、最新のAIエージェントはコンピュータビジョン(画像認識)技術によって、私たちが普段目にしているブラウザの画面を、人間と同じように理解することができます。
Webサイトの構造が多少複雑であっても、人間と同じように視覚的なレイアウトから「これが商品リストだ」「ここがカートボタンだ」と直感的に判別できるようになったことは、大きな進化といえるでしょう。
3. 手:実際に“操作する”能力
最後の能力は、クリックや文字入力といった操作を行う「手」の役割です。
ここで注目したいのは、単に“操作ができる”ことではなく、その柔軟さにあります。
従来の自動化ツールは、あらかじめ用意されたプログラムどおりにしか操作できない点が弱点でした。
しかし、AIエージェントは「頭脳」と「目」と「手」がリアルタイムに連携しているため、「予定外のポップアップが出たから閉じよう」など、その場の状況に応じた判断をしながら操作を進められるのです。
Webサイトの訪問者にAIが加わる
このようなAIエージェントブラウザの登場により、今後Webサイトは「人間」と「AIエージェント」の2つの訪問者を、同時に対応する必要がでてくるでしょう。
ここで押さえておきたいのが、人間とAIエージェントでは、Webサイトを評価する基準が根本的に異なることです。
<人間とAIエージェントブラウザが評価するWebサイトの違い>

人間が心を動かされるのは、美しいビジュアルや感情に訴えるストーリー、そして直感的なUIです。
ブランドの世界観が伝わるデザインや、魅力的なキャッチコピーに惹かれて商品を購入したというような経験は、誰しもがあると思います。
一方、AIエージェントは、美しい画像や感動的なコピーに何も感じることはありません。むしろ、画像を解析するのは処理が重いとさえ思うでしょう。
AIエージェントが重視するのは、読み取りの効率性、検証可能性、そして論理的な構造です。
そのため、情報が正確で、構造が明確で、無駄なくスピーディーにタスクを完了できるサイトを「良いサイト」と判断します。
反対に、曖昧なレイアウトや表示の遅れ、標準的でないボタンなどは、タスク中断の原因になりかねません。
人の心に刺さる「表現」と、AIに正しく理解される「構造」、この双方を意識した設計が、これからのWebサイトには求められると考えます。
AIエージェントが理解しやすいWebサイト
では、AIエージェントが理解しやすいサイトはどういうものか、具体例を挙げて解説します。
<AIエージェントが理解しやすいサイトづくりの例>
・ページ表示速度を最適化する
・ボタンは正しいタグを使う
・alt属性で画像の意味を伝える
・構造化データのマークアップを行う
・フォームの最適化をする
ページ表示速度を最適化する

AIエージェントブラウザは、ページが正しく表示されることを前提に情報を読み取ります。
そのため、表示が遅いページでは、必要な情報や操作要素がそろう前に、AIが処理を中断してしまうことも。
そのため、サーバーの応答時間を改善したり、画像を軽量化したりするなどして、ページ表示速度を最適化しましょう。
最適化の方法はこの記事をチェック!
ボタンは正しいタグを使う

人間は、ボタンのような見た目に整えられた四角いパーツを見れば、「これは押すボタンだな」と感覚的に判断してクリックできます。
このようなボタンを作る際、Web制作の現場で行われる誤りが、「CSS(デザインを制御するプログラム)を使って、ただの四角い箱(<div>タグ)をボタンっぽく塗りつぶす」という方法です。
これでも人間は問題なく操作できますが、コードの中身も見て動くAIエージェントにとっては問題になります。
<div>タグはコード上では「意味を持たないただの箱」。「ここを押すと何かが動く」という機能的な情報は持っていないため、AIにはわかりづらいです。
そこで、 <button> タグを使えば、コード自体が「これはボタンである」と示すことになるので、AIエージェントにとって理解しやすくなります。
見た目だけを整えるのではなく、正しいタグで役割を伝えることが重要です。
alt属性で画像の意味を伝える

商品画像も、そのままではAIに「意図」が正しく伝わらないことがあります。
例えば、スマホを持っている人物の写真を見て、それが「スマホ本体」の広告なのか、「スマホケース」の商品画像なのか、画像だけでは判断が難しいからです。
ここで重要になるのが、alt属性(代替テキスト)です。
alt属性は、画像が表示されない時に代わりに表示する「説明文」のこと。
alt属性に「黒のレザー製スマホケースの装着イメージ」のように、画像の内容が具体的に伝わる説明文を記述しておくと、AIによる画像理解をサポートできます。
逆に、単なる雰囲気づくりの画像なら、あえて説明を空にすることで「これは無視していい」と伝えても構いません。
重要な商品画像か、装飾目的の画像か、テキスト情報で補足しておくことが、AIエージェントが理解しやすいサイトづくりにつながります。
設定方法はこの記事をチェック!
構造化データのマークアップを行う

人間は商品ページを見れば、書かれた数字を見て「これが価格だな」、その上の文章が「商品名だな」と、配置や雰囲気で直感的に理解できます。
しかし、AIにとっては分かりにくい可能性も。
例えば、「2000」という数字があっても、それが「価格」なのか「型番」なのか、見た目だけでは区別がつきにくいのです。
そこで役立つのが、構造化データのマークアップ。
構造化データとは、AIにデータの意味を伝えるために、情報の裏側にラベルを貼る仕組みのこと。
コードの中で「この数字は価格」「これは商品名」とラベルを付けておけば、AIも迷うこと少なくなるので、コミュニケーションミスによる機械損失は少なくなります。
設定方法はこの記事をチェック!
フォームの最適化をする

問い合わせフォームなどで、人間であれば「名前」という文字の横に入力欄があれば、「ここに名前を書けばいいんだな」と判断するでしょう。
しかし、AIにとってはその「配置」だけでは判断に迷う可能性があります。
コード上では「文字」と「入力欄」がただ並んでいるだけなので、その欄が「名前用」なのか「住所用」なのか、確信が持てないのです。
そこで必要なのが、<label>(ラベル)タグを使って、「項目名」と「入力枠」をコード上でしっかり紐付けておくこと。
「この枠は『名前』を入力する場所」と明示的にペアにしておけば、AIは迷うことなく適切な情報を入力できます。
といっても…AIエージェントブラウザ対策は「新しいこと」ではない
すでにお気づきの方もいるかと思いますが、ここで紹介したAIエージェント対策は、既存の「Webアクセシビリティ」に必要な対策と同じです。
Webアクセシビリティとは、障害の有無や利用環境に関わらず、すべての人が支障なくWebを利用できるようにする考え方のこと。
これがAIエージェントブラウザ対策と直結するのは、視覚障害のある方が使う「スクリーンリーダー」もAIエージェントも、見た目ではなく「Webページの構造(コード)」を読み解いてユーザーに伝える仕組みが同じだからです。
これまでWebアクセシビリティは、「利益になりにくいが配慮として行うべきもの」と捉えられがちでした。
しかし、AIエージェントブラウザの登場により、Webアクセシビリティは「配慮」から「AIエージェントに正しく読み込んでもらうための土台」へと位置づけが変わりはじめています。
そう考えると、Webアクセシビリティへの取り組みは、SEO(検索エンジン最適化)だけの話ではありません。
今後は、AIを前提としたAEO(エージェントエンジン最適化)の文脈でも、避けて通れないテーマになっていくのではないでしょうか。
AIと人間にわかりやすいサイトづくりが必要
AIエージェントブラウザの普及に伴い、AIが読みやすいサイトづくりの重要性は今後ますます高まっていくでしょう。
つまり従来のWebアクセシビリティへの取り組みは、単なる配慮ではなく「ビジネス成長のための投資」へと、その判断基準を大きく変えていくと考えます。
また、忘れてはならないのは、最終的な意思決定を行うのは「人間」ということ。
いくらAIが正確に情報を拾えても、実際にWebサイトを見る人間が「このブランドは信頼できそうだ」「ここで買いたい」と感じなければ、成果にはつながりません。
心を動かすデザイン、共感を呼ぶメッセージ、そしてブランドとしての信頼感―― こうした「感性」に訴えかける要素こそが、人が最後の一歩を踏み出す決め手になります。
AIエージェントが読みやすいサイトづくりにばかり気を取られて、こういった本質的なことを忘れてしまうと本末転倒です。
目指すべきは、裏側のコードはAIのために論理的に整理し、表側のデザインは人間のために魅力的に磨き上げること。
これらを高いレベルで両立させることこそが、これからのWebサイト制作の新しいスタンダードになっていくでしょう。
ナイルのSEO相談室では、こうしたWebサイト運営に関する発信を継続的に行っています。
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