リスク回避としてのSEO。「あえてSEOを意識する」べきタイミングとは

リスク回避としてのSEO。「あえてSEOを意識する」べきタイミングとは

こんにちは、平塚です。約半年ぶりのブログ投稿となります。「SEOにおいてもユーザー視点に立ち、サイトの価値を高めていくことが大事」ということが改めてここ1~2年で当たり前のものとなってきていますね。

検索体験をより良くするための技術も大きく発展しています。Googleが推進しているモバイルページの高速化を行うための技術であるAMP(Accelerated Mobile Pages)、Webとアプリの両方の利点を兼ね備えたPWA(Progressive Web Apps)などが主にモバイルにおける検索体験やユーザー体験の向上のために用いられています。

あえてSEOをする必要性は年々少なくなってきている?

「よりユーザーに目を向けてサイトの価値を高め、集客を伸ばす」ということは非常に本質的で良い潮流です。いわゆるSEOの事を考えて「あえて」実装するようなテクニカルな要件は相対的に優先度が下がりつつあり、Web担当者の方々はユーザー視点に立ってサイトを改善していけばいいわけです。

とはいえ、いくつかのポイントで「あえてSEOを意識」しないと、あって当たり前だと思っていた検索経由のトラフィックを失ってしまう可能性があります。「こんなはずじゃなかったのに…」ということにあとからならないように、リスク回避としてあえてSEOを意識するべきタイミングとその対処方法についてお話させていただきます。

どんなタイミングでSEO上のリスクを抱えがちか?

当たり前ですが一番多いのはリニューアルのタイミングです。場合によってはトラフィックが半減することもあるし、そうでなくてもリニューアル後トラフィックが伸び悩んだりしたりします。

一方で、リニューアルのときだけ気をつけていればいいというわけではありません。日々のサイト運用においても突然順位が下落したり、トラフィックが半減するということもあります。

どちらにせよ、もし集客チャネルのうち検索経由のトラフィックが重要なものとなっているのであれば、こういった減少が起きたときにすぐに対処できるように主要な集客間口となるページ群のトラフィックキーワードの順位は日々計測しておくことをおすすめします。

下図:リニューアルの際の実装ミスにより一時的に順位が大幅に下落した例

順位の一時的な下落(Refractより)

弊社SEOダッシュボードツールのRefractを使用(Refractスコアとは、各キーワードの順位に応じて割り振られた得点の合計数値)

※守秘義務の関係上数値と日付をぼかしています。

リニューアル前後におけるリスク回避

リニューアルの要件定義や技術的側面でのリスク

リニューアルで起こりうる技術的なリスクについては、実は一年ほど前に書いた記事がありますのでそちらをご覧ください。

① URL変更が伴うサイトリニューアルで、リダイレクトを誤ってしまったケース

②サイト公開後、検索エンジンからクロール・インデックスされなくなってしまうケース

③JavaScriptでの実装により、適切にクロール・インデックスされなくなるケース

引用:新規サイト公開時・リニューアル時のSEOで注意すべき”つまずき”と対策

主に体制面ではらんでいるよくあるリスク

ディスカッション

詳しい話は上記の記事をご参照いただくとして、私がクライアント様とリニューアルプロジェクトやリニューアル後にご相談いただいた際のよくある失敗事例をご紹介します。

失敗例①:関係者間のSEOの前提知識のズレを認識せぬままローンチされたケース

担当の方がある程度SEOに対して知見を持っていたり、情報収集をして要点を抑えられていたとしても、依頼(発注)を行った際に「当たり前のように基本的なSEO要件が含まれていて、実装されている」と認識していたが、うまく伝わっておらず出来上がったものが実は全くできていなかった(かつ、それがそのままチェックを通さずローンチしてしまった)というケースです。

具体例をあげると、SEOを少しでもわかっている方であればリニューアル前後の対応ページ間の301リダイレクトやページごとにtitleを設定するのは常識レベルの要件ですが、蓋を開けてみたら全くできていなかった…などあげられます。あとは、要件書で言及されている箇所は実装できているけど、言及されていない細かな部分がうまく実装できていないなど、担当者の方は分かっていても社内外の関係者までしっかり認識が行き渡っていないとこういったことが起こりがちです。

失敗例②:SEOに知見のある担当者が置いてけぼりのまま(もしくはいない状態で)プロジェクトが進んでしまっているケース

一番SEOを知っているWeb担当者に決裁権がなく、置いてけぼりにして話が進んでしまい、結果として元々SEOを踏まえて設計してあったサイトがSEOを完全に無視した仕様でローンチされトラフィックを大幅に失った事例もありました。

これを耳にしたら注意!危険ワード代表例

「今回のリニューアルはSEOを目的としていません」

⇒あとからSEOのための再設計を行うとパッチワーク的な実装になりいびつなサイト構造になる可能性があり、SEOのために再度リニューアルせざるを得ないといった事態になりかねません。

「検索流入は重要視していません」

⇒程度の差こそあれ、コンテンツを持っている以上SEOは関わってくるので、事前にSEOのチェックは不可欠です。

参考:SEO=「ユーザーにとって役に立つコンテンツを作る」に対する違和感

「上位の競合をいい感じに踏襲します」

⇒コンテンツ資産、リンク資産、ビジネスモデル、ドメインエイジ…諸々バックグラウンドが全く異なるため、うまくいっているサイトを真似しても自社サイトが評価されるわけではありません。

これらのワードが少しでも耳に入ってきたらアラートをかけましょう。

 

(どちらのケースにおいても、実装担当や制作会社が「SEOはわかっているから任せてくれ」というスタンスで、その言葉を根拠なく全面的に信じていたときに発生しがちです。)

体制面で注意すべきポイントまとめ

  • 外注/内製関わらず、リニューアルの際のSEOにおける最低限の実装要件は必ず抑えた形でコミュニケーションをとること
  • SEOを無視してサイトのリニューアルをすすめると、大幅な検索トラフィック減少につながりうる事の合意形成を行うこと
  • 「SEOはわかっている」という言葉を鵜呑みにせず、何がわかっているのか適切に聞き出すこと

当たり前なことかもしれないですが、必ずこれらのポイントを抑えてリニューアルプロジェクトを進めるようにして下さい。

その他:ページやコンテンツ要素の消滅や、もともと意図して設計してあった仕様の変更によるリスク

上記の体制面の話に付随して、リニューアルの際もともとあったページやコンテンツが「もう必要ないから」と削除する場合は注意が必要です。そのコンテンツやページがなくなることによって、ユーザーのニーズを満たせなくなることがないかまず確認しましょう。大幅な内容変更がある場合などは、検索エンジンの再評価が入ります。

もしそのうえで必要がないと判断するのであれば404ページにするか、対応するページがある場合そのページにリダイレクトで転送しましょう。

また当時のサイトの運営担当と変わっている時は特に注意なポイントとして、もともと設計されていたSEOに関連する要件は注意を払いましょう※下図参照

これらの要件をないがしろにすることなく、どうしてその要件になったのか直接元担当の方に聞くことをおすすめします。

意図して設計されていた可能性のある要件の例

それが難しい場合は極力触らない、もしくは修正をする場合は事前になぜそのようになったか調べてから修正を行いましょう。

普段のサイト運用で発生しうるリスク

低品質な外部リンクによる悪影響

人工リンクとは無縁のサイト運営をしていたにも関わらず、知らず知らずのうちに低品質なリンクが貼られ大きく検索順位を落としたり、過去に利用した人工リンクがそのままになっており、時間差でペナルティ判定をGoogleから受けることがあります。

特になにもしていないのに順位が下落したり、検索経由のトラフィックが急落した場合はまずサイトのバックリンクをチェックしてみましょう。

参考:【SEO事例】ミラーサイト(フィッシングサイト)リンクのSEOへの悪影響

サイトスピード含むモバイルユーザビリティ関連

これは特別SEOの文脈ではなく、ユーザー体験を高めるのであれば必須な要件ですが、SEOにとっても今後さらに重要になるでしょう。

MFI(モバイルファーストインデックス)の適用も徐々に進んでいると巷では噂になっていますが、特にモバイルにおけるユーザー体験をおざなりにしていると、今後検索順位に目に見えた形で悪影響を及ぼしかねません

たとえばファーストビューの表示が著しく表示されるのが遅い、サーバからのレスポンスが何秒もかかる。モバイルユーザーが多いのにモバイルページが存在しないなどしている場合は影響出ることが予想されます。

ちなみサイトスピード含むモバイルユーザビリティに関しては、サービスのパフォーマンスを向上させるために色々と工夫をするというのはどのサイトでも共通で何もかもに対してプラスになることなので頑張るべきですが、パフォーマンスを上げるために重要なコンテンツを削るなどの発想は根本的に間違っているので注意しましょう。

SEOの文脈であればユーザー体験を損ねなければ問題はおきないし、例えば「もともと早いサイトスピードをコンマ数秒改善すると順位も目に見えて良くなる」ということはないと(いまのところ)思っていただいて差し支えないです。

外部配信記事とのカニバリゼーション

特に記事メディア系のサイトでのあるあるになりますが、「せっかく出した記事が外部配信先のWebサイトに検索順位で負けていた」ということがよくあります。

外部配信先サイトにSEOで負けている例

検索からのトラフィックも期待している記事に関しては「カニバリゼーションが発生していないか配信後検索結果を見ておく」ということは当然やるとして、そういう現象が起きないよう事前に対策を打ちましょう。

対処方法

『自社記事を素早く検索エンジンに認識させる』『配信先サイトが上位に現れないように処理』の2つが対策として考えられます。

自社記事を素早く検索エンジンに認識させる

  • sitemap.xmlの定期的な送信

  • 公開直後のFetch as Google

  • PubSubHubbubの利用

外部配信先のほうが先に検索エンジンに認識され上位表示してしまう状況を極力なくしましょう。

配信先サイトが上位に現れないように処理

  • 配信先記事にcanonicalの記述
  • 配信先記事に配信元記事へのリンクを設置 ※効果:薄

可能であればcanonical設置を要請して実装してもらうのがベストですが、依頼が通ることは残念ながら少ないです。もしカニバリゼーションが深刻で、かつビジネス上の成果にあまりつながらない配信先であれば配信を止めることも検討の余地があるかと思います。

検索結果上の外部要因による影響リスク

MFI(モバイルファーストインデックス)の適用や日本語アップデートなど、Googleのアルゴリズムによる順位変動や競合サイトの台頭はもちろんのことですが、意外と見過ごしがちなのが順位変動以外での「検索結果」上の自社サイトへのクリック率の悪化です。

「順位は落ちてないはずなのに、検索経由のトラフィックが減っている」という場合疑わしいのはこのケースです。

クリック率が落ちる原因は主に2つあります。

検索連動型広告がファーストビューの大半を占めている

各社が該当のキーワードで広告出稿を行っている場合、順位は1位なのにファーストビューに入っていないということが起きたりします。

検索連動型広告がビューを占めている例

ナレッジグラフやアンサーボックス等Googleの検索アルゴリズムによる影響

Googleの検索エンジンのアルゴリズムはユーザーの検索体験をより良くするために日々機能を改善しています。その一環として検索結果に関連する情報やアンサーを直接表示させる仕組みを用意しています。

ナレッジグラフやアンサーボックスに記載されている内容でユーザーが充分な情報を得られれば、サイトにトラフィックする必要もなくなります。結果として検索順位は高いのにクリックされないということが発生しうるでしょう。

「SEO とは」で1位なのにwikiがアンサーボックスで表示されている例

…これらに明確に対策を行うことは難しいですが、まず現状把握として重要なキーワードでどのような検索結果になっているかは普段から実際に調べる癖をつけると良いでしょう。

当たり前にあったトラフィックが失われることって普通にあり得る

検索からのトラフィックはサイト全体の集客のベースとしてとても重要であると同時に、「あって当たり前のもの」であると認識しがちです。

実際にはちょっとしたきっかけや知識不足、コミュニケーション不足で検索順位やトラフィックが悪化するということも普通にあるのです。

今回お話したような「テクニカルなSEO」ばかりを気にせず、ユーザー視点で価値の高いサイトを構築していって欲しいところですが、「あとの祭り」とならないよう知識として今回ご紹介した情報を持っておき、その時が来たら絶対に気にかけるようにして下さい。

(宣伝)弊社のような知見を持った会社にセカンドオピニオン的にはいってもらうというのもおすすめです!

「色々脅しつけてきてるけど、結局自分たちでそこまで出来るかわからない」「リニューアルのときは念のためセカンドオピニオン的に入って欲しい」「検索トラフィックが明らかに伸び悩み始めているけど原因も対処方法もわからない」という方は、ぜひともナイルにお問い合わせ下さい。

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著者紹介

平塚 直樹(ひらつか なおき)
平塚 直樹(ひらつか なおき) コンサルタント(SEO・サイト運用コンサルティング)

慶應義塾大学卒。1年以上に及ぶインターン経験を経て、SEOの戦略立案や運用の実力を評価されて入社。現在はSEOやコンテンツマーケティングの支援をはじめ、企業のWebビジネスを成長させるためのプロジェクトマネジメントに力を入れている。

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