外部リンクには漏れなく”nofollow”とか、いい加減やめませんか
nofollowとは、指定したリンク先にPageRankを渡さず、リンクをクロールの対象から除外するためのタグです。リンクのSEO的価値を無効化することができるため、全ての外部サイトへのリンクにnofollowタグを記載されているケースが多く見られますが、これは本当に意味のある行為なのでしょうか?ここでは、nofollowの本来の目的や正しい使い方、勉強として過去のテクニックも解説します。
※nofollowを詳しく知らないという人は以下からどうぞ。
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目次
無意味です
「外部サイトへのリンクには、PageRankが外に流出するのを防ぐために”nofollow”を入れるように、とSEOの人からアドバイスをもらったことがあり、実践している」という方が今でも多いように思います。というか多いです。
ほとんどの場合、大切なPageRankの流れを意味もなく断ち切っているにすぎず、プラスになることはなくマイナスでしかありません。この記事で紹介するような事情が無い限りは外すことをおすすめします。
まず前提として、ユーザー投稿型のサイトなどではない一般的な企業サイトを運営していて、nofollowをテクニカルに駆使する必要のあるシーンというのはごく限られたケースだという認識です。正直ほとんど使いドコロはないと思っています。
普通はほとんど使わなくて良いものですし、個人的にもここ数年でnofollow付与を提案したケースは自社で運営するメディアも含めて数えるほどしかありません。(某氏のように大規模なサイトのSEOばかりをガッツリ見ている人はそうではないと思いますがそんな人、何人もいないと思います。)
ということで記事タイトルについての話はもう完了したので、ここからはrel=”nofollow”について解説します。
rel=”nofollow”の意味
nofollowって何よ、という方に簡単に解説しておくと、「nofollow指定されたリンク先にPageRankを渡さない」「nofollow指定されたリンクをクロールの対象リストから除外する」というものです。簡単にいえばSEO上そのリンクの価値がなくなるということですね。
nofollowが作られた目的は、検索エンジンのランキング評価対象としたくないページへのリンクにPageRankをを受け渡さないようにする、といったことを簡便に実現するためです。
もしnofollowがなければ、例えばリンクをクロールさせたくない場合、robots.txtでブロックされた中間ページにリンクし、中間ページから本来リンクしたいページのURLにリダイレクトをする、など何かしらの面倒な作業が必要となります。
なぜnofollowが必要になったか
その当時に検索業界にいたわけではありませんでしたので、その時代を生きていた方から何か補足がありましたら是非お願いしたいのですが、考えられる点としては主に以下のものかなと。
SEOを目的とした有料リンク掲載への対策
ユーザーが(何かの対価としてではなく)自発的に掲載したリンクに限定して評価対象としないと本来のPageRankの概念それ自体が意図した通りに機能しなくなります。
そこで、Googleとしては「金銭などを対価として掲載するリンクにはnofollowを付与する」というルールを設けることで、有料リンク等による順位操作を規制しようとしたことが背景としてあげられると思います。
ユーザー生成型コンテンツ(UGC)の普及に伴う、”リンク先ページの信頼度をサイト運営者が保証できないリンク”のクロール制御
1つ前の項目とほとんど同じじゃないかと思うフシもありますが。
Wikipediaを代表として、Yahoo!知恵袋や無料ブログサービスなどでは外部サイトへのリンクに自動的にnofollowが付与されるようになっています。身近なところではtwitterの投稿のリンクも同様です。nofollowが付与されているので、これらのサイトにリンクが掲載されたとしても直接的なSEOの価値はありません。
もともと、大半のリンクはサイト運営者の意思の元で掲載されていたはずです。しかしUGCが普及し、サイト内にユーザーが自由にコンテンツを投稿したりリンクを掲載できたりするようになると、サイトへの誘導目的や、SEO目的のリンクの掲載も一定割合発生します。
それがまともなサイトならまだしも、アダルトサイトやウィルスを拡散させるためのサイトでないとも言い切れません。そうしたサイトへのリンクを検索エンジンが評価対象&クロール対象としない、とすることで、少なくともSEO目的のリンクの投稿の価値をなくすことが出来ます。
まとめてしまえば、SEOを目的としたリンクへの対処法として、と言えそうですが。
6/6追記:UGCはnofollow、というのは違う
早速サイバーエージェント社で自社メディアのSEOをされている木村さん(@kimuyan)からツッコミを頂きました。まさにUGCの中の人からのご指摘。
@amateras_seo これが出てきた背景は、ブログが流行し始めたころにトラックバックとしてURLをべたべた貼る輩が出てきたからだと記憶しています。トラックバックSPAMが山ほど貼られた時代がありました。
— MOVIEW|映画・アニメ・特撮 (@moviewjp) June 6, 2014
@amateras_seo まあ、とは言えオーガニックなリンクかどうか判別して対応してくのは地獄なんだけどね。サンプリングして学習データ集めて、でも新しいパターンが出ての繰り返し。。nofollowにすれば楽だなと思うけど明らかにネガティブだし。。
— 木村賢(Satoshi Kimura) (@kimuyan) June 6, 2014
確かに運営側の努力で一律nofollowを避けることが出来ればそれが現時点では望ましいですね。ただ、色々事情を知っている分、このあたりの”地獄”というのは想像に難くなく。。
貴重なご意見ありがとうございました。
6/6追記2:トラックバックスパムについて
トラックバック送信によるリンクスパムとかコメントスパムなどへの対策、という意図も触れておくべきでしたね。ご指摘ありがとうございました。
PageRankスカルプティング
僕がこの業界に関わりだした2009年には、ギリギリそういうテクニックがありました。最近SEOの勉強を始めた人だとあまり聞き慣れないかもしれません。
イメージだけ説明すると、”100″のPageRankを持ったページがあったとして、そのページから10本のリンクが均等に掲載されていた場合、各ページに10ずつのPageRankが流れます(あくまでもイメージです)。
そのうち2本のリンクにnofollowを付与することで、PageRankを受け渡す対象が8本になりますね。すると、各ページには12.5ずつのPageRankが受け渡されることになります。つまり8本に渡るPageRankが増えるのです。
このように、nofollowを活用して重要なページにPageRankを集中させようとするテクニックを、PageRankスカルプティングと呼びました。
でもこれは既に2009年時点で機能していません。あるリンクにnofollowを掲載した場合、PageRankを破棄することになり、そのほかのリンクに充当されるわけではない、という仕様変更が行われたためです。
変更の意図としては、もともとサイトのPageRankを調整するためのテクニックとしてnofollowが作られたわけではなく、ユーザーにとっては無関係な施策でしたので、そういう使われ方をされることは本来の目的と異なる、という判断のもとの変更という話だったのかもしれません。
どちらにせよ現時点では、nofollowを付与すればPageRankが重要なページに集中します、ではなくなっているのです。
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nofollowはいつどんな時に使うか?
一部曖昧なところもありますがこのようなイメージで問題ありません。
ユーザーがリンクを自由に掲載できる場合の不正リンクへの対策
先述の通り、ユーザーが投稿できるタイプのコンテンツで、誰でもリンクを掲載することが許可されている場合、信頼できないサイトへリンクが向けられる可能性があるため(出会い系やアダルトサイトなどのスパムコメントなどが良い例)、それをGoogleに辿らせない&評価の対象としないために使います。
もともと、ほとんど全てのリンクはサイト管理者の制御のもとで掲載されていましたが、UGCが普及したことで誰でも簡単にリンクを貼ることが出来るようになり、その中で自作自演やスパムなどが増えてくると、外部サイトへのリンクには一律でnofollowなどの対応を取らざるを得ません。
※事実、近年では不正リンク対策として、有料ディレクトリ登録サービスや無料ブログサービスの外部サイトへのリンクの多くもnofollowを付与するように変更されてきています。
検索エンジンがデータ収集する価値のないページへのクロールの制御
よく言われているのはログインページなど、Googlebotがそのコンテンツの中身を収集出来ない場合です。砕けて言えば「そこクロールしても何も見れないから他のとこ見に行ってちょうだい」という意味ですね。
それであれば使う意味は確かにあるような気がしますが、いちいちそんな細かいこと考える必要もないんじゃないでしょうかとも思っています。大きな効果があるとは思えませんし。
あとこの意図で使うとすると、ほとんどのサイトは意識する必要はないと思うのですが、大規模なサイトを運営していて、本来クロール不要なURLへのリンクが不可避に大量に生成されるがrobots.txtでブロックする必要がない、或いはrobots.txtでリアルタイムに弾いていくのが運用上現実的ではない、などの場合でしょうか。
※ただし不要なはずのURLが大量に生成されるというのは、それはnoindexとかnofollowでどうこうじゃなくてその仕様を適切な形に変更すれば良い、というケースも割合多そうですが。。
よほどのことが無ければ、ほとんどの場合はウェブマスターツールのパラメータ制御機能で上手く調整すれば良いレベルだと感じています。(すみません、ここは正直言いきる自信がないです。)
Google的には”真っ黒”な完全アウトサイダーなサイトへリンクをせざるを得ない場合
これは正直ちょっと自分でも確信はなくて、賛否両論あると思うのですが。
仮に自社の関連サイトだったとしても、リンク先のページが大規模な不正リンクプログラムなどの中心にいる場合、或いは重度のペナルティを受けている場合など、リンクを掲載することでそのサイトとの(リンクの繋がりとしての)距離が近くなってしまいます。
でも関連サイトですし、Google的に真っ黒であることとユーザーに見せたくないことは全く違いますので、リンクを外す理由にはなりません。放置でも良いのかもしれませんが、個人的にはこういうリンクの繋がりの全体像を想像するとこれはちょっと気持ち悪いし嫌なのですね。
それを避けるためにnofollowを掲載するよう提案したことはあります。
どのケースも多少の効果はあったように見えましたが、正直言えば因果関係は曖昧ですのでここは参考程度にして下さい。冒頭でも書きましたが、ほとんどの場合は有効なPageRankを破棄することでもありますのでこんなことしない方が良いのは間違いありません。
とまあ、いくつか挙げてみましたが、少なくとも一般的な中小規模の商用サイトでnofollowを当然のように使う、どこでnofollowを付与するかをじっくり考える、などということはほとんど無いなあとは思っています。
なぜ、テクニカルなことをしたがるのか
ドラクエで新しい呪文を覚えると、誰もが”絶対に必要ないけど使わざるを得ない”みたいな精神状態に追い込まれます。
例えば敵グループが複数に分かれていて、どう考えても賢者としてはヒャダインかイオラあたりで対応するようなシーンなのに、1ターン目でなぜか敵単体に向かって新しく覚えたベギラゴンを唱えてしまうなどの事例が挙げられます。
特に画面演出のないドラクエ4以前であっても、同様の現象が必ずと言っていいほど起きますね。
それと全く同じです。少し勉強して知識がつくと、絶対に必要ないのにcanonicalとかnoindexとかnofollowとかrobots.txtを駆使してクローラーの色々制御してみようなどと思ってしまったり。しかしほとんどの場合が「しかしなにもおこらなかった」です(逆に大ダメージを受けることはありえます)。
例えば、昨年にrobots.txtについて詳細に記事にまとめられていたブログがありましたが、(おそらく記事執筆時に調べながら追記したであろう)robots.txtの記述が誤っていて、全てのページがクロール拒否になっていたということは記憶にあたらしいです。ちなみにその後きちんと修正されていました。
まとめ
普通にサイトを運営していれば「ほとんどのページはクロールされ、インデックスさせるべきコンテンツ」なはずです。外部サイトであっても、nofollowを付与する必要のあるようなサイトにリンクすることは滅多にないはずです。
少なくとも、敵グループが多数に分散していたら、多くの場合は素直にイオ系呪文で対応しておくのが良いかと思います。
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