元雑誌編集者が語る、あなたの"コンテンツマーケティング"が上手くいかないワケ

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元雑誌編集者が語る、あなたの

コンテンツが重要、という考え方が徐々に浸透しつつありますが、ここでは元雑誌編集者、という視点から、Web媒体のコンテンツ制作の現場についての「それってどうなの?」な色々について取り上げて解説します。今回はコンテンツ制作部門の寺田による執筆です。

※コンテンツマーケティングの取り組み方については、こちらでも詳しく書いています。
【長文】今こそ振り返ろう。コンテンツマーケティングとは?成功のためのポイントを徹底解説

コンテンツを作ることがコンテンツマーケティングではない

「オウンドメディア」「コンテンツマーケティング」などというキーワードが注目を集めています。SEOの現場でも、GoogleがブラックハットSEOについて厳しいアップデートでのぞむ一方、「これからはコンテンツマーケティングだ!」「オウンドメディアで自社サイトをメディア化するんだ!」と、”ユーザーの役に立つ”コンテンツが重視される傾向にあります。

この流れ自体は誰の目にも素晴らしいことです。ただ、とりあえずコンテンツをジャンジャン書いてページをたくさん作ったところで、思ったようにアクセスが取れなかったり、アクセスは増えても商売につながらなかったり、ということも珍しくはないでしょう。

でも、実際に多くのWebのコンテンツを見ていると、これって実は当たり前というか。

結論から言うと、「メディア」って相応の労力(またはお金)や時間をかけたり、伝え方ひとつとっても様々な工夫をしていかないと、十分な効果は得られないんですよ。なのに、「何でもいいからコンテンツを作る」で走ってしまっているから失敗しているだけなんです。冷静に考えれば、それって”マーケティング”でもなんでもないですよね。

元雑誌編集者から見たWebコンテンツ制作現場

以前、10年ほど雑誌制作の現場にいました。そこからWeb業界に移籍してきたので、すべてが新しいことだらけなのですが「コンテンツを作る」という業務は同じなので考え方は同じというか。要は「人が読みたくなる文章を書く」ということは同じですからね。

雑誌からWebへと媒体が変わっても引き続きコンテンツ制作に関わっているのですが、Web業界で仕事をしていると「アレ?!」と感じることがあるので違いを軽くまとめてみます。

1. 誰が書いたかわからない記事・・・って大丈夫?

最近はクラウドソーシングって流行ってますよね。この業界に移籍して初めて知りましたが、文字単価0.2円(500文字書いても100円!)とかでの発注もあるみたいです。とにかく安い。。

クラウドソーシングという世界そのものについては、発注者にとってもクリエイターにとっても様々な課題を解決し得る、画期的な仕組みだと思っています。ライターとしても、空いた時間を有効活用できるので人気を集めてます。発注者側としても、コストを抑えてコンテンツが制作できてWin-Winです。

ただ、それをどう活用するかというのは利用者次第だと思っていまして。例えば、用途によりますが、どこの誰が書いたかわからない、何を情報ソースにしているかも不明な記事を、ロクにQAもせず自社名義のサイトに掲載されているものをしばしば見かけますが、それって皆さん怖くないんでしょうか?

もちろん、クラウドソーシングに登録されている方の中にもきちんとしたライター経験者も多くいます。でも少なくともしっかりした実績と実力のある方で、文字単価0.2円みたいな報酬で一生懸命文章を書きたいという人はそこまでいらっしゃらないと思います。

また、なにか問題が起きても「しーらない」でドロンされちゃったらどうするんだろうと。雑誌の現場だと、たまに聞くんです。いわゆる「飛んじゃった」ってやつで。

徹夜続きのデスマーチな現場だとありがちです。いきなり会社に来なくなったり、連絡が取れなくなったりする人。デスマの現場で誰か飛んじゃったら炎上どころの騒ぎじゃないので、やっぱり信頼できる人と仕事したいですよね。

2. 何を伝えたいのかわからない、ゆるい原稿

紙媒体だと誌面に限りがあるので、文字数との戦いは避けて通れない苦悩です。ガッツリ2時間かけて取材して聞いてきた内容を400文字にまとめてくれ、なんてことも多々あります。一方でWeb系の制作は物理的な文字数の制限がなく、「1000文字以上であればOK」といった発注も多いですよね。非常にざっくりしています。

それで、前述のクラウドソーシングみたいな文字単価の設定だと、ネットの情報を切り貼りしたような内容の浅い記事ができあがります。まぁ、これも必然というか。ボランティアではありませんから、ギャラ200円の原稿に何十分も時間かけてリサーチとかインタビューなんてなかなか出来ないですよね。

そうすると、どこかのまとめサイトとかWikipediaとかの内容を集めてきた薄ーい1000文字の原稿ができあがります。極端に言えば「伝えたいこと?そんなの関係ないよ」の世界です。

しかし、その文章はサイトに掲載することだけが目的なのでしょうか?違いますよね。そのコンテンツによって誰かの問題が解決したり、サイトを訪れたユーザーがあなたのサービスや商品のことを好きになったり、そういうことが目的なのですよね。であれば、それが伝わるように文章を作らなければいけません。

3. そもそも、見直ししてる…?

紙媒体だと印刷したらやり直しが効かないので、何度も何度も、これでもかというくらい校正確認をします。書いた本人はもちろん、ディレクター>編集担当者>取材対象者>デスク>クライアント>校閲者>編集長…といった感じで初校・再校と校正確認がまわるのです。

校正を経て、最終的には納品時の原型を留めていないことだってあります。それはそれでどうなんだという話もありますが、電話番号ひとつ、値段の桁ひとつ、間違えるだけで大変なことになると徹底的に叩き込まれるので穴のあくほど何度も校正が鉄則です。

ところがWeb サイトの場合、掲載後だって修正が可能なためか「この記事、見直し…してるよね?」という初歩的なミスがあるのにそのまま掲載されているものが多いです。読めばわかるレベルの大量の誤字脱字がそのまま、明らかに論理的な飛躍があるのにスルーというのは・・・残念ながら、悪い意味で行間から書き手の気持ちが伝わってきます。

ただでさえ、モニターで確認する原稿は、紙に出力して確認する原稿よりも間違いを見落としやすいという特性があります。それを考えると、納品前に数分程度の見直しだったら何度やってもいいと思うのですけど。

「編集者のように考えよう」とよく言われるけれど

簡単に3つほど挙げてみましたが、要はWebの場合、記事の質が「軽い」んです。コンテンツマーケティングの文脈ではよく「編集者のように考えよう」と言われていますが、自社サイトをメディア化するのであればしっかりとユーザーに“刺さる”コンテンツが必要です。

前述したような幾多のチェックを突破して掲載される雑誌の記事は、企画から取材・校正と膨大な時間と人件費を使って鍛えられ、磨き上げられます。

例えば、「東京○✕△グルメ」のような120ページくらいの情報誌であっても、制作費だけでウン百万円とかは必要になります。それでも雑誌になって800円くらいで2万部も売れたらOK、という感じでしょうか。

さらに企画から制作、印刷まで終えて本屋さんに届くまでには3ヶ月~半年とか時間が必要です。つまり何がいいたいかというと、メディアにはお金も時間も労力もかかるということです。それでも紙媒体はご存じの通り「出版不況」なので、利益を出すのは大変です。

ここで例えば、1つの雑誌(メディア)を創ると考えて上記と同じリソースを1サイトの「コンテンツ」として投下したらどうでしょうか。

じっくりと練られたクオリティの高いテキストと写真。例えばあなたのサイトにそういうレベルの1000文字の記事が100本200本あるだけで、それなりの集客効果が期待できるのではないでしょうか。

雑誌とWebのメディアが大きく異なるのは、日本全国で実売2万部の雑誌を手にすることができる場所は限られますが、Webコンテンツはいつでもどこでも、極端な話では何年後にも多くの人に見てもらえる可能性があるということです。つまり、そのコンテンツは資産として長く有効活用できるのです。

SEOの世界でもかつて通用したテクニック的な手法が通用しなくなっていますので、なおのこと、こういうところに積極的に投資しない手はないのでは、と思います。

問題は、ユーザーに何を伝えたいか

そもそも論になってしまいますが、企業のオウンドメディアで大事なのは「サイトへの流入が増えるだけの記事」ではなく「あなたのサイトが大事にしたいユーザーによろこばれる記事」ではないでしょうか。

今日もどこかでユーザーは困っています。困っているからこそ検索などを活用して解決策を探し、よりベストな方法を検討しているのでしょう。

彼らに伝えなくてはいけないのは、どこかで聞いたような解決方法の切り貼り記事ではなく、知識や経験に裏打ちされた「役に立つ情報」です。

それは新製品を使ってみた体験レビューかもしれないし、リアリティのある見積もりデータかもしれないし、あなたの会社が信念を持って取り組んでいる商品やサービスに関する知識を深めるためのコンテンツかもしれません。

ただ、少なくとも確実なのは「伝えたい」という気持ちの無い原稿からは何も伝わらないということです。逆に言えば、「伝えたい」という気持ちがあれば、それは必ず伝わるものです。

「伝える」ための5つのヒント

長くなってしまいましたが、「コンテンツマーケティング」だ「オウンドメディア」だと流行りのWebマーケティングに便乗したところで、「伝えたいもの」がない浅いコンテンツをどれだけ投下したところで、あなたのビジネスやサイトを訪れたユーザーを取り巻く問題は解決しません

一方で、慈善事業ならまだしもビジネスの観点から考えると「いつか伝わると思います」ではプロダクトとして社内コンセンサスも何も得られないでしょう。

気持ちだけではなく、実践的なWebライティングの経験やサイト構築の戦略といったナレッジが必要となります。メディアとして、想いを伝えるためにはテクニックが必要です。例えば、

  • あなたのサイトに来てほしいターゲットユーザーは、どんな人ですか?
  • あなたは彼らのどんな問題をどのように解決できますか?
  • そのターゲットユーザーには何をしてほしいですか?
  • 競合他社と差別化したいポイントはどこですか?
  • 上記の目的を果たすために、どんな記事をユーザーに読んでもらうべきですか?

といったことを常に心がけながら、コンテンツの制作・運営を進めることが重要です。そうすれば、オウンドメディアに必要なリソースは大きく削減できることでしょう。

そのためには制作チーム内で、それがたとえクラウドの向こうにいるライターだとしても、しっかりとビジョンを共有してみてはどうでしょうか。また出来あがってきた文章に、編集者はひと手間もふた手間も加えて、情報発信側の熱のこもったコンテンツとして公開してみてはどうでしょうか。

ぜひこの機会に、こうしたことを改めて一緒に考えてみて下さい。

最後に宣伝ですが、もし、こういうことを相談できる人が周囲にいない、考えてはいるんだけど手が回っていない、そういう方がいらっしゃいましたら、私たちはそうしたコンテンツ制作や企画の後方支援的なお手伝いもしておりますので、何でもお気軽にご相談ください。きっと何かの力になれると思います。

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編集者情報

大澤 心咲
大澤 心咲
新卒でアクセンチュア株式会社を経て、2018年ナイル入社。
コンサルタントとして大手企業SEO戦略策定・コンテンツマーケティング支援を担当。
現在はナイルのマーケティングとセールスの統括マネージャーとして従事。
著書:「ひとりマーケター成果を出す仕事術

監修者情報

ナイル編集部
ナイル編集部

2007年に創業し、約15年間で累計2,000社以上の会社にマーケティング支援を行う。また、会社としても様々な本を出版しており、業界へのノウハウ浸透に貢献している。(実績・事例はこちら

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