AI検索対策のKGI・KPIはどう設定する?数字に表れにくい成果を測る最適解

細山 武揚

著者:細山 武揚

公開日:
AI検索対策のKGI・KPIはどう設定する?数字に表れにくい成果を測る最適解

AI検索対策に取り組むと、どんな成果が期待できるのか――社内でそう問われたとき、説明に迷う人もいるでしょう。

取り組みへの必要性を感じていても、投資を判断してもらうには、目標と成果の測り方を示す必要があります。
しかし、AI検索の影響は、アクセス解析だけでは捉えきれません。

本記事では、AI検索対策に取り組むにあたっての上申にも役立つ、現実的なKGI・KPIの設定方法と、計測上の注意点について解説します。

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この記事の結論

  • 既存ツールの数値だけではAI検索の影響を捉えきれないため、アンケートや商談でユーザーに直接確認する
  • 現段階では、AI検索対策の成果を精度高く測れるKPIは存在しない
  • 現状は暫定のKPIを設定しつつ、商品・サービスの魅力をユーザーに伝えて“評判を積み上げる”ことが重要

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AI検索の影響は既存ツールだけでは測れない――「ユーザーに直接聞く」のがベスト

AI検索対策のKGI・KPIを考える上でまず押さえたいのが、アクセス解析で見える数字と、実際にAIがユーザーに与えている影響には差があるということです。

例えば、AIに「おすすめのSEO会社を教えて」と質問し、回答に出てきた企業名をGoogleで検索して、その企業のWebサイトに訪問したとします。
この場合、企業を知ったきっかけはAIですが、アクセス解析上の流入元は検索エンジンです。

一方、スマホアプリのAIツールからリンクをクリックした場合、GA4上は「Direct」流入となるケースが多くなります。

AI検索経由の問い合わせはGA4だけでは判別しにくく、ユーザーへの直接ヒアリングが有効

Webサイトを訪問する前にAIとの対話で比較・検討が進んでいても、その過程はGoogleアナリティクスではわかりません。

つまり、AI経由の流入数だけを見ていても、顧客獲得にAIがどれほど関わっているかを正確に測ることはとても難しいのです。

ナイルでは、問い合わせの3割以上が「AIで知った」と回答

ナイルのSEO相談室では、問い合わせフォームに「弊社を知ったきっかけ」という質問を設けています。

ナイルへの問い合わせで、3割以上がAI検索をきっかけに知ったと回答した流入経路アンケート

「ナイルのSEO相談室」の問い合わせフォームより引用

2026年8月の集計では、営業メールなどを除いた有効な問い合わせのうち、32.3%が「AI」を選択していました。

<問い合わせユーザーの「ナイルを知ったきっかけ」(2026年8月集計分)>

問い合わせユーザーがナイルを知ったきっかけは検索エンジン41.9%、AI32.3%

しかし、GA4で計測できる生成AI経由の流入は、Webサイト全体の約1%にとどまっています(※)

※GA4で計測できる生成AI経由の問い合わせ完了率を見てみると、2026年8月は全体の5.6%と、割合としては見逃せない数値でした。

そこで、ナイルを知ったきっかけを「AI」と回答した方の初回訪問を確認すると、大半が検索エンジン経由で、次に多かったのが「Direct」でした。
このように、流入元のデータだけでは、自サイトへたどり着いたユーザーとAIの関与は把握できません

だからこそ、アンケートや商談で「何をきっかけに自社を知ったのか」「検討の際にAIをどう使ったのか」を直接聞くことが重要だと考えています。

実際、私が商談に立ち合った際、「AIでナイルを知った」と回答したお客様にヒアリングしてみると、コンサルティング会社の選定にあたっては「AIと壁打ちをして比較・検討した」とおっしゃる方は多くいらっしゃいました。

AIの意思決定への影響は大きい一方、GA4などの定量データではAI流入の影響を把握しにくい

\ AI検索対策の取り組みだけでなく、KGI・KPI設定もサポートします!/

今、AI検索対策の効果測定に使える指標はない――暫定的なKGI・KPIを設定しよう

ここまで見てきたように、現状はAI検索の影響を正確に測る指標はありません。
とはいえ、施策を進めるための予算やリソースを確保するには、目標となる数値が必要ですよね。

そこで現段階では、次のようなKGI・KPIの設定が現実的だと考えています。

AI検索対策のKGIはAI経由のCV数、KPIはAI回答での自社言及率・リンク引用率

ただし、これらは暫定的な指標です。
AI検索対策の成果をすべて測れるわけではないことを、社内でも共有した上で運用する必要があります。

KGI…AIをきっかけに自社を知り、CVした人数を追う

KGIには、問い合わせなどのCVに至った人のうち、「自社を知ったきっかけ」にAIを挙げた人数を設定します。

計測するには、前述のナイルのように、問い合わせフォームに認知のきっかけを尋ねる項目を設ける方法があります。

商談時に直接聞くこともできますが、担当者や商談の進め方によって確認漏れが起こりやすいため、継続して数値を追うなら、フォームなどで回答を集める仕組みを作るのがおすすめです。

一方、商談でのヒアリングには、AIを使った検討の過程まで聞ける利点があります。
フォームで集計しつつ、商談で具体的な使い方を掘り下げると、顧客理解にもつながるでしょう。

KPI…AI回答での自社言及率・リンク引用率を追う

KPIとしては、AIの回答内で自社がどの程度登場するかを確認します。
言及率とリンク引用率の違いは、次のとおりです。

<言及率とリンク引用率の違い>

言及率…AI回答に自社名が登場したり、推薦されたりした割合
リンク引用率…AI回答の情報源として自サイトへのリンクが示された割合

AI検索での言及率は回答本文への掲載、リンク引用率は参照元として自社サイトが引用される割合

ナイルでは両方を追っていますが、「おすすめのSEOコンサルティング会社」といった質問では、AIの回答内で候補に挙がることを重視し、特に言及率を分析しています。

しかし、「AIは毎回答えが変わるのに、指標として使えるのか」と思う人もいるでしょう。
そこで、同じ質問を40回入力して調べたところ、ChatGPTとAI Overviews(AIによる概要)はややブレはあるものの、言及されやすい企業には一定の傾向が見られました。

<「おすすめのSEOコンサルティング会社」のAI回答内で各社が言及された割合>

企業名 ChatGPT Gemini AIモード AI Overviews
ナイル 50.0% 90.0% 96.0% 50.0%
B社 38.1% 72.5% 68.0% 50.0%
C社 28.6% 70.0% 56.0% 26.9%
D社 2.4% 55.0% 60.0% 3.8%
E社 7.1% 37.5% 48.0% 30.8%

 

一方、企業が紹介される順番は変動が大きく、私たちは基本的に指標として使っていません。

<AI回答内で1~3番目の企業紹介順が完全に一致した割合>

モデル 1~3番目の完全一致率
ChatGPT 1.4%
Gemini 4.1%
AIモード 3.0%
AI Overviews 0%

 

言及率にも日常的な変動はあるため、単発の回答で判断せず、継続して観測することが大切です。

言及率はカテゴリ別に定点観測し、強み・弱みを把握する

言及率を改善に活かすには、全体の平均値だけでなく、サービスの種類や顧客が重視する条件ごとに分けて見ることをおすすめします。

例えば、カーリースなら「中古車」「短期利用」などのカテゴリ、あるいは「価格」「サポート」といった切り口で質問を用意します。
すると、全体では言及率が高い企業でも、特定の領域では競合に及ばない状況が見えてきます。

ナイルが運営する「カーリースカルモくん」の、ジャンル別の言及率・引用率をAIの種類ごとに分析した結果が次の表です。

<「カーリースカルモくん」のLLMごとのジャンル別言及率・引用率>

カーリースカルモくんのChatGPT・Gemini・AIモード別のジャンル別言及率・引用率

「カーリース」「車サブスク」「車リース」などのジャンルでの言及率はどのAIでも高い一方、ChatGPTでは「中古車リース」「短期カーリース」といったジャンルがやや弱いことがわかりました。

このように、観測する質問は、自社のサービスの特徴や顧客の課題をもとに決めます
その上で、カテゴリごとに「なぜ自社の名前が挙がるのか」「なぜ競合のほうが選ばれるのか」を掘り下げると、具体的な施策を検討しやすくなるでしょう。

\ 自社がAIの回答内でどれだけ言及/引用されているかがわかる!/

KPIを追いつつ、優先すべきは「自社への良い評判を増やす」こと

AI検索対策では、アクセス解析だけで影響を判断せず、アンケートや商談を通じて得られる顧客の声を組み合わせることが重要です。

その上で、AIをきっかけに自社を知ってCVした人数や、AI回答での言及率・リンク引用率を追い、改善の手がかりにしていきましょう。

ただし、これらは暫定的な指標です。施策の優先順位は、「事業成長につながる価値があるか」という観点で考える必要があります。

私自身、AIの仕組みに合わせた対策が、技術の進化によって数ヵ月で使えなくなる経験をしてきました。
だからこそ、自社の商品・サービスを磨き、魅力を正確に伝え、良い評判を積み重ねることが、結局は自社のブランドを強化するにあたって最も大切だと感じています。

数値を追いながらも、この視点を忘れずに取り組み、AI検索時代の事業成長につなげていきましょう!

なお、ナイルではAI検索対策の実際の取り組みはもちろん、KGI・KPIの設定もお手伝いいたします
貴社の現状分析を踏まえて効率的な施策をご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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