自社の支援をしてもらうSEO会社を選ぶとき、支援内容や費用感だけでなく、「そもそもどんな支援を求めているのか」を明確にしておくことは、後の成果に大きく影響します。
そこで必ず用意したいのが「RFP(提案依頼書)」です。
今回は、予実管理SaaSを展開するDIGGLE株式会社でマーケティングを担当する瀬川義人氏と、SEO支援を行うナイルのセールス担当・久保瞭也に、事業側と支援側の観点から、RFPの重要性や作り方、提案しやすいRFPの特徴などについて話してもらいました。
発注側と支援側のリアルな声から、SEOの外注を成功させるRFPの活用方法を探ります。
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<発注側代表>
瀬川義人 氏(X:@motoy0shi(https://x.com/motoy0shi))
DIGGLE株式会社 マーケティング リーダー
フリーランスとしてWebメディアの運営などを行ったのち、前職のデジタルマーケティング支援会社に入社。自社のマーケティング立ち上げやクライアントのマーケティング支援に携わる。2023年に現職に転職し、現在はデジタル・オフライン横断のマーケティング施策を統括している。インプレス社の「Web担当者Forum」にてコラムを連載するほか、セミナーなどにも登壇している。
公式YouTubeチャンネル「DIGGLE 予実管理チャンネル」
DIGGLE予実管理クラウド サービスページ
<支援側代表>
久保瞭也
ナイル株式会社 DX&マーケティング事業部/セールスユニット・チームリーダー
ナイルに新卒入社後、コンサルタントを経てセールスに異動。現在はセールスのチームリーダーとして、メンバーのマネジメントや育成に携わる。SEOを主軸にコンテンツ制作や分析改善などクライアントの課題解決につながる提案が得意。
目次
RFPってなに?
久保:RFPは「Request for Proposal」の略で、提案依頼書のことを指します。
システム開発などの現場でよく使われるもので、発注者が自社の課題や目的、要望を明文化し、ベンダーに伝えるための資料です。
<RFP(提案依頼書)とは>
発注者が自社の課題や目的、求める支援内容などを整理し、外部パートナーに対して提案を依頼するための文書。元はIT・システム開発の領域で使われることが多い言葉だが、近年ではSEOなどWebマーケティングの外注においても、発注内容の明確化や認識のズレを防ぐ手段として注目されている。
<RFP(提案依頼書)の例>
これをSEO支援会社の選定時にも活用すると、支援会社との認識の齟齬を防げ、適切なパートナー選定が可能になります。
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RFPを準備するメリット
次に、SEO会社を選ぶ上で、RFPを準備するメリットを紹介しましょう。
<SEO会社選定にRFPを活用するメリット>
あらかじめ準備しておくべき項目が整理できる
久保:1つ目は、プロジェクトを進めるにあたって、準備しておくべき項目が整理できることです。
SEOは、担当者一人で完結する施策だけではないので、エンジニアのリソースが必要だったり、スケジュール感や予算の見込みを立てなければならなかったりします。
支援会社が決定して、いざ提案をもらっても、このようなことが踏まえられてないと施策を進めることができない可能性があります。
そこで役立つのがRFPです。
RFPを作っていけば、準備すべきことが整理しやすくなっていくでしょう。
選定にあたっての評価軸が統一される
久保:2つ目は、複数社を比較する際の評価軸が統一されることです。
候補になっている支援会社へ事前に聞くことや、どんな条件でパートナーを選ぶかがRFPによって明確になるので、比較検討しやすくなると考えられます。
支援会社からのアドバイスを得やすい
久保:3つ目は、支援会社からさまざまなアドバイスが得られやすくなること。
RFPによって自社の目的や目標が伝えられるので、例えば支援会社から「その目標は難しい」「目標を達成するにはどれくらいの予算が必要か」といった具体的な意見が出るようになります。
瀬川:やはり、発注者側は、支援を依頼する目的や前提をきちんと言語化しておくことが大事ですよね。
私が発注者側の立場で思うのは、「なぜSEOをやるのか?」「それによってどんな効果を期待しているのか?」といったことを明らかにしておくことの重要性です。
そうしないと、本来の目的からずれた提案をもらう可能性があると思います。
例えば、最初はサイトの問い合せを増やすためにSEOを頼んだのに、気づいたら「バズワードで記事をたくさん作ってアクセスを増やしましょう」みたいな話になってしまうとか。
そういう意味でも、「なんのためにSEOに取り組むんだっけ?」という目的をRFPにまとめると良いと思います。
RFPの作り方
久保:では、実際にRFPをどのように作るのかを説明しましょう。
RFPを作成する際に盛り込んでおきたい項目は、こちらです。
ここでは、この中でも赤字になっている重要な項目について、3つに分けて解説します。
<RFP作成において必要な項目>
1 プロジェクトに関する概要
久保:プロジェクトに関する概要で最も重要なのは、やはり目的と課題を明確にすることです。
まず目的のところでいうと、例えば、「狙っているキーワードで検索上位を獲得したい」「オーガニック検索からのCV数を増やしたい」「自然検索からの問い合わせを増やしたい」といったことですね。
キーワードの検索上位表示が目的なら、そこからもっと具体的に「いつまでに3位以内、1位を狙いたいのか」まで入れるといいと思います。
RFPに目標を記載いただいても、お客様との会話の中で、「とはいえ、ここを伸ばしていくことが本質ですよね」と話が変わっていくことはあります。
それでも、まずお客様側でどうしていきたいのかが明確にあると、商談の中でひとつの軸になりますので。
瀬川:目的を言語化するのが難しいというのもありますよね。
久保:そうですよね。なので、何を実現したいのかを一人で考えるのではなく、社内のほかのメンバーや上長を含めて決めるのがいいのではないかと思います。
そして、その目的を達成する上で障壁となるものは何か、つまり「課題」を明確にすることも重要です。
「社内のリソースがない」「検索1位を獲得するために、どういうステップで取り組めばいいかわからない」「過去の取り組みが成果につながらなかった」といったことを具体的に記載してください。
2 提案依頼内容
久保:次に、支援会社への依頼内容を記載してください。
今回のプロジェクトにおいて、
- どういった取り組みの支援を依頼したいか(SEOなど希望の施策)
- どういった部分を任せたいか(コンサルティング、コンテンツ制作、サイト改善など)
をクリアにしておきましょう。
加えて、スケジュールも重要です。
- プロジェクトのスタートはいつ頃を予定しているのか
- どういった段取りで進めていくのか
も明確になっているといいかと思います。
3 支援会社の選考の進め方
最後は、選考の進め方についてです。
基本的に、RFPを作る際はコンペになると思いますので、例えば
- どういったパートナーと取引したいか
- どういった視点でパートナーを選定するか
といった評価基準のようなものを事前に社内で作っておいて、それを軸に候補の企業と話をするといいでしょう。
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支援側がRFPに入れてほしい要素
久保:ここまで、RFPの作成時に必要な項目を解説しましたが、支援側としては、お客様が過去にどのような取り組みを行ったのかも参考になるポイントです。
過去にどういった施策をして、どんな成果が出たのか、支援会社に依頼をしてどうだったかなどが具体的に記載されていると、それを踏まえたご提案ができるので、よりスムーズに施策を実施できるかと思います。
瀬川:ちなみに、過去の施策はSEOだけでなく、Webマーケティング全体の施策を伝えたほうが提案しやすいですか?
久保:そうですね。SEO支援のご依頼をいただいて、それを前提にお客様からお話を聞いていると、目的を達成する手段としてSEOに取り組むのは不向きであるケースは少なくないんです。
そういったときに、過去にお客様が行ってきた取り組みの状況を知っていると、どんな施策を提案するべきかが見えやすくなります。
瀬川:「直近でサイトを改修しました」みたいな情報も知っておきたいですよね。
久保:おっしゃるとおりです。サイトリニューアルのような大きい改修があると、状況はかなり変わってくるので、RFPに記載いただきたいですね。
支援側が提案しやすいRFPの特徴
瀬川:私のようなRFPを作る発注者側の立場でぜひ聞きたいのですが、久保さんが施策を提案しやすかったRFPはどんなものでしたか?
久保:提案しやすかったものは、先ほどRFPを作る上で重要なポイントにも挙げたように、プロジェクトの目的がクリアになっているものですね。
ゴールを両者で擦り合わせた上で話を展開することができるので、提案がしやすいです。
後は、過去に実施した施策と成果、さらに現状の流入状況までそろっていると、よりお客様に寄り添ったご提案ができます。
瀬川:逆に、提案しづらいRFPはありますか?
久保:実のところ、「こういうRFPは困る」というのはないんです。
というのも、お客様へのヒアリングを通じて、目的や取り組み内容、かかる費用といったことについて擦り合わせていくので。
ただ、例えばRFPに「来年このキーワードで検索1位を獲る」という目標が記載されていたとして、その目標をずらすわけにはいかない、といったような、ご担当者様に強いこだわりがある場合は、ちょっと調整が難しいなと感じることはあります。
RFPそのものというよりも、RFPをもとにしたコミュニケーションの面ですね。
瀬川:今の話でいうと、発注者側は「これは絶対に達成したい」とか、「ここは少し譲歩できる」「ここはどちらでもいい」といったように、要件に濃淡を出すことが大事なんでしょうか?
久保:そうですね、目標設定においては柔軟性を持たせたRFPを作っていただくと、検討する上で話がスムーズになると思います。
瀬川:ありがとうございます。
ちなみに、発注者側はSEOのような施策をやると「結局、効果あるの?」と社内で言われることがあるんですね。
そうすると、支援会社に依頼するときは、どれくらい効果が期待できるのか、シミュレーションを作ってほしいなと思うんです。
顧客からそういったお話をもらうことはないですか?
久保:めちゃくちゃ多いですね。
実際、マーケティングご担当者様は、新しい取り組みをするにあたって、投資対効果の見込みを会社に説明しなければならないことがほとんどです。
なので、私たちもどういった成果が望めるかについてお話する機会は多くあります。
ただ、数字の話の前に、担当するコンサルタントとの相性といった面も重要になりますので、シミュレーションだけでなく、お取組みを始めるにあたってベストな相手かを、さまざまな面から見ていただきたいなと思っているんです。
私たちも、お客様が実現したい目的や抱えている課題に対して、ナイルの支援がマッチするかをしっかり見ていただくためのコミュニケーションを心がけています。
その上で、最後はやはり数字が大事になりますので、過去の弊社の事例とお客様のサイトの状況をもとにシミュレーションを作成することはよくあります。
瀬川:そうですね、ただの数字遊びになっても、お互い不幸だよなと聞いていて思いました。
発注者側としては、投資対効果についてどれくらいの肌感覚なのかは当然知りたいと思うんですが、やはり多面的に見て支援会社を選ぶことが大事なのかもしれないですね。
久保:おっしゃるとおりですね。RFPの「支援会社の選考基準」に、「シミュレーションの数字」を入れていらっしゃる企業は多いんですが、どうしても数字遊びになるだけでなく、提出したシミュレーションで社内に話を通した場合、それが達成できなかったときにもっと苦しいことになったりするので。
やはり数字に関しては、支援会社の営業担当と率直にいろいろ話をしながら決めていかれるといいと思います。
外注にあたって、社内向けにRFP(のようなもの)を作るメリット
久保:ここまで、弊社のような支援側に提示いただくRFPの作り方についてお話をしてきましたが、瀬川さんは社内向けにRFPのようなものを作ることはありますか?
瀬川:RFPという形ではないのですが、支援会社に依頼する際には、まず社内向けに「今こういう課題があるが、社内では対応できないから社外に頼みたい」といったことを紙1枚でもまとめておくといいと思います。
久保:その際、どういった項目を盛り込んだほうがいいかなど、ポイントはありますか?
瀬川:RFPの話と似ているのですが、目的は必ず入れたいですね。
外注することによって達成したいことが社内で統一できていないと、「〇〇部長はこう言っているけど、僕らは違う」といったように、発注する際に揉める可能性があります。
後は、施策がうまくいかなかったときに「なんでこの施策やったんだっけ?」ということになりかねない。
そういう意味でも、目的については社内で共通見解を作っておくのがいいと思います。
RFPは発注側・支援側双方にメリットがある重要な資料
久保:今回は、RFPの作り方と、RFPを活用したSEO会社の選定方法についてお話しました。
振り返りとなりますが、SEO会社を選定する上で、RFPは発注側・支援側双方にとって役立つ資料になります。
RFPに必要な項目はいくつかありますが、中でもプロジェクトの目的や現状の課題を明確にすることが重要になりますので、発注を検討している場合は、事前に社内で見解をまとめていただけると良いかなと思います。
瀬川:今回お話を聞いて、発注者側は社内で検討する際も、目的をちゃんと擦り合わせた上で、支援会社と話をすることが大事だなと感じました。
そして実際にパートナーを選定する際は、シミュレーションだけでなく多面的に判断して決めることを意識したいなと思います。
久保:もしRFPを作成することが難しい、RFPを作ったけれど適切なSEO会社を選定できるか不安といったお悩みがございましたら、ぜひナイルまでご相談ください。
瀬川さん、最後にお知らせはありますか?
瀬川:私たちDIGGLE株式会社では、スキマ時間で予実管理が学べる「DIGGLE予実管理チャンネル」というYoutubeチャンネルをやっておりますので、ぜひご覧ください。
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