2025年3月に発表された「Google AIモード」が、米国内で一般公開となりました。
AIモードは、単に情報を検索するだけでなく、AIがユーザーの“専属アシスタント”として、複雑な質問への回答から、情報収集の深掘り、さらには面倒なタスクの代行までこなしてくれます。
今回の一般公開に合わせ、Deep SearchやAgentic Checkoutなど、新機能も発表。
ここでは、AIモードの概要や、注目すべき点、これからのWebマーケティングにおいて必要なことについて解説します。
目次
「Google AIモード」が米国内の誰でも利用可能に
「Google AIモード」は、3月に発表された当初は、米国のユーザーがSearch Labs経由で使用する形でしたが、今回のアップデートで一般公開。
誰でも利用可能になり、Google.comの検索バーの下やGoogle検索アプリ内に、「AIモード」の新しいタブが表示されるようになります(米国の検索対象)。
参考:https://youtu.be/sxUBThVQLjU
AI Mode in Google Search: Updates from Google I/O 2025
AIモードとは
AIモードとは、「AIがあなたの専属アシスタントになって、もっと便利に情報を探し、問題を解決してくれる機能」と考えるとわかりやすいでしょう。
従来の検索のように10個のブルーリンクのリストが表示されるのではなく、ChatGPTやGeminiのような会話型のUIになります。
AIモードでは、AIがユーザーの質問を理解し、「答えをまとめる」「いっしょに考えながら情報を深掘りする」、さらには「面倒な作業を代行してくれる」といったことができるようになるのです。
また、Googleは、AIモードに関する新機能も発表しました。主なものは次のとおりです。
AIモードの新機能
- Deep Search(ディープサーチ)
より深い情報探索が可能になり、複雑な検索意図にも対応。 - Complex Analysis and Data Visualization(複雑な分析とデータ可視化)
AIが情報を分析し、グラフや図でわかりやすく可視化。 - Search Live(サーチライブ)
カメラ機能を通じてリアルタイムの情報について検索と対話する機能。 - Personal Context(パーソナル文脈対応)
ユーザーの過去の検索や興味関心をもとに、より関連性の高い結果を表示。 - Shopping in AI Mode(AIモードでのショッピング)
商品検索がより直感的に、そしてパーソナライズされ、購買支援を強化。ARなどを使って衣類やアクセサリーの仮想試着が可能に。 - Agentic Checkout(エージェントによるチェックアウト)
AIが購入プロセスを自動で案内・最適化。 - Gemini 2.5
Googleの最新AIモデル「Gemini 2.5」を活用し、より高度な理解と応答が可能に。
これらの新機能によって、Google検索は「調べる」から「理解し、行動する」ためのツールになったといえるでしょう。
AIモードの特に注目すべき点について、2つ紹介します。
情報探索だけじゃない!AIモードの「エージェント機能」
Googleの「AIモード」は、従来の「情報を見つける」検索の概念を飛び越え、「ユーザーの代わりに何かを実行する」ところに、大きな違いがあります。
1.自分に代わってAIが対応
これまでのGoogle検索は、私たちが何かを知りたいときに、その情報を探し出す手助けをしてくれるものでした。
しかし、エージェント機能が加わることで、AIはユーザーの「やりたい」という願望を理解し、その実現のための行動を代わりにやってくれるようになります。
例えば、「子供連れでも行ける近くのピザ屋を予約して」と頼めば、AIが条件に合うお店を探し、空席を確認し、ユーザーの代わりに予約手続きまで完了させることが可能。
また、「このシャツと同じデザインで、別の色を探して、在庫があるお店を教えて」といった、複数のステップを踏むショッピングのタスクも、AIが一括して処理し、選択肢を提案してくれます。
これまでユーザーが手動で行っていた、情報収集や比較検討、予約、購入といった作業をAIが代行することで、時間と労力が軽減されるでしょう。
2.複雑なタスクの自動化
ふだん、旅行やお出かけをしようとすると、1日~数日を過ごすために、さまざまなタスクを行う必要があります。
旅行の計画を立てるなら、目的地のリサーチや交通手段の予約、宿泊施設の予約、現地の観光スポットの選定など、多くの作業が必要になるでしょう。
エージェント機能は、このような複雑なタスクをAIが引き受け、ユーザーの意図に沿って一気通貫で実行してくれます。
3.ユーザーの好みを学習し、反映
エージェント機能は、ユーザーの過去の行動履歴や好み、位置情報などを学習し、よりパーソナライズされた提案をしてくれます。
例えば、普段利用する航空会社やホテル、好きなレストランのジャンルなどをAIが理解し、次の予約の際に自動的に反映してくれるようになるでしょう。
4.決済までAIが代行
エージェント機能の究極形の一つが、「Agentic Checkout(エージェントによるチェックアウト)」です。
これは、AIがユーザーの代わりに商品の選定から支払いまで、一連の購入プロセスを自動的に完了してくれます。
例えば、「この商品を買って」と指示するだけで、AIが最適なショップを選び、ユーザーが登録した支払い情報を使って決済まで完了させることが考えられます。
AIエージェント時代のSEOは「サイトの操作性」がカギになる?
今後、エージェント機能を通じた流入、もしくはコンバージョンが発生することを加味すると、SEOの新たな技術要件として「エージェント機能が自サイトを操作できるか?」という要件が生まれる可能性があります。
例えば、商品選択や申込み・購入フォームに複雑な処理が組み込まれていると、Googleがエージェント機能を動作させられないといった懸念が生じるでしょう。
2025年5月22日にGoogleが公開した公式ドキュメント(英語版)では、AI関連機能について、「追加の技術要件はなく、これまでの技術要件を満たす必要がある」と記載されています。
ですが、現状の要件はページを見つけ読み取ることを主眼においたものであるため、必ずしも操作まで可能とは限らないと考えられます。
今後のサイト制作やリニューアルにおいて追加要件の見落としがないよう、最新情報をキャッチアップしていくことをおすすめします。
Deep Searchでより網羅性の高い情報検出が可能に
AIモードにおける「Deep Search」とは、元々Geminiでも使われていた高度な検索機能で、何時間もかけて情報を探し、比較検討し、まとめるといった大変な作業をAIが代行してくれるというものです。
「Deep(深い)」という名前が示す通り、従来の検索ではちょっと難しいような、「もっと詳しく知りたい!」「いろんな意見を比較したい!」「正しい情報が欲しい!」という要望に応えてくれるのが最大の特徴です。
Deep Searchのすごいポイント
何百もの情報源を横断的に分析する
AIが学術論文をはじめ、さまざまな情報源を読み込みます。そして集めた情報を比較し、矛盾や信憑性まで判断して、偏りのない多角的な視点で回答してくれます。
なぜ?どうして?の深掘り調査が得意
表面的な答えだけでなく、「なぜそうなるのか」のような、より深い科学的根拠や背景までを掘り下げて解説してくれます。
まとめや比較分析が自動的に行われる
複数の情報や意見をAIが自動的に整理し、比較分析してくれます。これによって、自分で情報をまとめる手間がなく、すぐに本質を理解できます。<
このように、Deep Searchによって、これまで手動で行うためにかかった時間や労力を大幅に削減できるだけでなく、AIが分析した網羅的で信頼性の高い情報に基づいて、より深く物事を理解し、賢い判断ができるようになるといえるでしょう。
AIモード時代の“最適化戦略”は急務
Google AIモードの日本での導入は未定ですが、これはユーザーだけでなく、Webマーケティングに関わる人たちにとっても大きな転換点となるといえます。
AIが検索結果をまとめ、直接回答を生成するようになることで、ユーザーがWebサイトに直接訪問する機会が減る可能性があるでしょう。
しかし、これは決してネガティブな変化ばかりではありません。AIに「参照される」サイトになることで、これまで以上にターゲットユーザーへの認知度を高めるチャンスが生まれるといえます。
そこで、取り組みを検討してほしいのは、「LLMO(大規模言語モデル最適化)」の整備です。
AIモード、特にDeep Searchのような機能は、質の高い信頼性のある情報を深く理解し、要約してユーザーに提供します。
そのため、自サイトや自社のコンテンツがAIに「信頼できる情報源」として認識され、回答に引用されるような構造と内容にすることが急務です。
従来のSEOに加え、AIに選ばれるためのLLMO戦略をいち早く導入することが、これからのデジタルマーケティングにおける成功の鍵となるでしょう。
なお、ナイルでは、LLMOコンサルティングサービスをスタートしています。
「LLMOに取り組みたいが、何をどうすればいいのかわからない」「現在の取り組みで最適化できているのか?」など、お悩みがありましたら、ぜひご相談ください。
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