ChatGPTをはじめとした生成AIは、調べものや画像生成、文章作成などに活用するツールとして、急速に浸透しつつあります。
一方で、特に調べものに対する回答に関しては、「本当に信頼していいの?」「検索エンジンと比べてどうなの?」といった声も少なくありません。
そこで今回は、ユーザーがどのように生成AIを活用し、どこに信頼や不安を感じているのかを深掘りすべく、「生成AIの信頼度調査」を実施しました。
ユーザーが、現段階でどのような意識で生成AIと接しているかを見ていきましょう。
目次
調査概要
- 調査期間:2025年3月25日~26日
- 調査方法:インターネット調査(Fastask利用)
- 調査対象:全国の20~60代の男女6,602名
「生成AIで検索」はまだ少数派?調べもので使っているのは全体の約3割
調べものをする際に生成AIを利用している人は、全体の28.7%にとどまりました。
およそ7割の人は、生成AIを検索に使っていないという結果です。
生成AIの浸透が急速に進む一方で、“調べもの”という日常的な行動においては、検索エンジンを使う習慣が根強く残っており、そこに不便さを感じていないことが要因かもしれません。
また、生成AIの回答が「本当に正しいのか」「どこまで信用していいのか」といった不安が、利用をためらう理由のひとつともいえるでしょう。
一方で、3割近い人が生成AIを検索に活用していることは注目すべきポイント。
調べたいことがうまく言語化できないときや、検索結果に表示されたページから知りたいことを探す行為が面倒な場合は、生成AIの利便性が評価されていると考えられます。
生成AIの信頼性が向上し、調べものの際に生成AIを利用する選択肢が浸透すれば、この比率は今後変化していく可能性はありますが、今は過渡期にあると見るのが自然でしょう。
生成AIで何を調べる?最も多いのは「知らない言葉」
ジャンルごとの利用傾向を見ると、生成AIに向いている領域と、検索エンジンのほうが優勢な領域があるようです。
生成AIを使って検索するジャンルとして最も多かったのは、「知らない言葉(47.9%)」でした。
言葉の意味や定義、使い方を調べるときは、検索エンジンで検索するよりも、生成AIでダイレクトに回答を得たい人が多いようです。
これは、「意味を簡潔に説明してくれる」「言い換えや例文まで提示してくれる」といった生成AIの強みが発揮されるジャンルともいえます。
また、「医療・健康(28.9%)」や「法律・制度(26.5%)」といった慎重さが求められる分野でも、一定数のユーザーが生成AIを使って情報を得ていることがわかりました。
これらのジャンルでは「まず概要を把握したい」「専門的な内容をわかりやすくしてほしい」というニーズが背景にあるのかもしれません。
一方、「天気(11.1%)」「レシピ(10.9%)」「商品レビュー(10.7%)」といったジャンルでは、日常的な検索対象として一定の利用はあるものの、生成AIで調べるユーザーは少数派のようです。
これらはリアルタイム性や主観的な要素が強く、AIよりも検索エンジンやSNSが好まれやすい傾向にあるのかもしれません。
検索エンジンと生成AI、どちらが信頼されている?ユーザーのリアルな評価とは
最も多かったのは「検索エンジンのほうが信頼できる(34.6%)」という回答でした。
依然としてGoogleやYahoo!といった検索エンジンへの信頼が根強く、多くのユーザーが情報の正確性や網羅性、出典の明確さといった観点で評価していることがうかがえます。
また「同じくらい(29.1%)」と答えた層も多く、これは状況や用途によって検索エンジンと生成AIを使い分けているユーザーが増えている証拠とも取れます。
例えば、「定義や意味を手早く知りたいときは生成AI」「一次情報やニュースを探すときは検索エンジン」というように、目的に応じて信頼の対象が変わっているのでしょう。
この結果からは、「生成AIが検索エンジンに取って代わる」といった構図ではなく、共存しながらユーザーが最適な手段を選ぶ時代に入ってきていることが読み取れます。
生成AIの回答を“そのまま信じる”は少数派?8割以上が裏取りを意識
「生成AIの回答を他の情報源で裏取りしている」と明確に答えた人は37.0%、さらに「たまにする」と答えた人も44.4%にのぼり、実に8割以上のユーザーが何らかの形で裏取りを行っていることがわかりました。
これは、AIの回答に誤情報や曖昧な表現が含まれる可能性を、実体験を通じて理解しているユーザーが増えていることの表れと考えられます。
結局「検索エンジン」に立ち返る!? 生成AIユーザーの情報確認スタイル
生成AIの回答を裏取りする際、最も多く利用されているのは圧倒的に「検索エンジン」で、実に9割以上のユーザーがGoogleやYahoo!などを活用しています。
裏取りの手段として検索エンジンが選ばれるのは、情報の出典が明示され、複数の視点から確認できる点にあるといえるでしょう。
生成AIは要点を簡潔にまとめるのが得意な一方で、「その情報の根拠を知りたい」と思ったときには、既存のWeb検索に立ち戻る人が多いようです。
この結果は、生成AIの活用が進む中でも、既存の情報源、特に検索エンジンの役割が依然として重要であることを裏付けています。
裏取りするジャンルは、正確さが求められるテーマが上位に
裏取りされたジャンルとして最も多かった「知らない言葉(36.4%)」をはじめ、「生成AIで検索するジャンルは?」で上位だった項目とほぼ重なっています。
つまり、生成AIでの調べものと、別のツールでの裏取りは、基本セットで行われていると考えたほうが良さそうです。
生成AIの情報を取捨選択して使うスタイルが現在の主流
今回の調査からは、生成AIに対する期待と慎重さの両面が見えてきました。
生成AIは、検索の代替手段として、ユーザーが課題を解決するツールのひとつになりつつあるとはいえます。
しかし、回答の裏取りやジャンルごとの使い分けを意識しているユーザーが多く、回答を信頼しきるのではなく、情報の取捨選択をしながら使うスタイルが主流となりつつあるようです。
一方で、GoogleのAI Overviews(AIによる概要)のように、検索エンジンを利用することで、生成AIと検索エンジンのメリットを同時に享受できるため、検索エンジンの利用者は引き続き高い割合をキープするのではないでしょうか。
今後も、生成AIが私たちの生活にどれくらい活用されていくのか、ナイルではその変容をウォッチしていきます!
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※LLMマーケティング…「LLMからの集客支援」と「LLMを活用したマーケティング強化」の2つを包括する取り組みのこと。
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