2016年、SEOは何が変わる? 2015年ニュースの振り返りから
※本記事は、2016年公開当時の情報を基にした記事です。
年明けに振り返り記事を公開しようと目論んでいたものの、いつの間にか1ヶ月以上経ってしまっていました。
やや今更感はありますが、2015年のSEOのニューストピックを振り返りつつ、今後の2016年をどのような方針でSEOを実施していくべきなのか、確認してみようと思います。
目次
2015年の二大SEOニュースは「セキュリティ」と「モバイル」
2015年にも様々なトピックがありましたが、大きな変化といえるテーマは「セキュリティ」と「モバイル」の2つに集約されます。
クオリティアップデート、パンダアップデート4.2などのアップデートは度々行われていましたが、スパム排除やコンテンツの評価精度アップといった既定路線の域を出るものはありませんでした。
ペンギンアップデートは「2015年内にやる」と言われつつ今も延期が続いていますが、いずれにせよ検出の精度は上がり続け、スパム施策がますます割に合わなくなっていくことは、すでに多くのサイト運営者の方が認識されていると思います。
アップデートについては一喜一憂することなく、「ユーザーを見て、検索意図を理解し、コンテンツに反映させ、検索エンジンに理解してもらう」という一連の基本的な取り組みを進めていきましょう。
この辺りの基本的な取り組みの話については、昨年初の記事の「2015年、確実に成果を出すためのSEOの方程式」で弊社の土居が話していたものが、そのまま2016年も使えますので、参考にして頂ければ幸いです。
▽このような話をしていました。
「セキュリティ」強化でキーワードを軸にした対策はより困難に
「セキュリティ」についての最大のニュースは、8月のYahoo!検索エンジンのSSL暗号化です。
「よりセキュアな検索環境を目指す」という方針自体は元々あるもので「いつか起こる」と予想されていた事態ではあったものの、これまでのSEOにおいて不可欠だった施策、たとえば「Googleアナリティクスで、キーワードごとの流入動向を把握して、テキストやタグをチューニングしていく」といったことは、今後困難になります。
今はまだSSL化は完了していないため流入キーワードは一部確認できますが、その割合が減るにつれて、ますます解析ツール上で見えている流入キーワードには頼れなくなっていきます。
▽SEO HACKSのデータ。(not provided)は現状全体の71.67%ですが、遠くない将来これが99%になる、といったこともあり得ます。
今後のSEOの中では、「検索キーワード」と「テキスト」の層だけでSEOを考えるのではなく、いかに検索キーワードの背後にある「ユーザーとその検索意図」にフォーカスし、最適なコンテンツを用意するのかという視点に発想を切り替えて行く必要があります。
その検索意図を掴むためにキーワードを活用するというのであれば、Googleサーチコンソールの「検索アナリティクス」のレポートも十分参考になります。
考えられるその他の具体的な代替施策や、SSL化自体の説明については、過去記事の「Yahoo! SSL化の影響、対応策を徹底解説~SEO・解析の今後は?~」で詳しく書いていますので、そちらをぜひご覧下さい。
モバイルユーザーの検索体験向上がいよいよ本格化
2015年にもっとも多くの話題が出たのは、モバイルに関する領域でした。
2月~3月頃には「モバイルフレンドリーアップデート」が実装され、モバイルの検索結果では、よりモバイルフレンドリーなUIを持つページの掲載順位が引き上げられるようになりました。
またモバイル固有の要素は多くありますが、2015年を賑わせたのはアプリ内検索の最適化に関する話題でした。5月には従来AndroidアプリしかサポートしていなかったApp IndexingがiOSアプリにも対応するようになり、モバイルの検索画面は本格的に大きく変化しています。
アプリ検索の最適化に関するGoogleの挑戦は、直接のユーザー増加に繋がるアプリ展開をしている事業者はもちろん、それらと枠を争うことになる一般のサイトにとっても、目を離せない重要なニュースであり続けるでしょう。
また、モバイル上のWebページを即座に表示させるための仕様、「AMP(Accelerated Mobile Page)」に対応したページが2月中に検索結果に現れる予定であるなど、2016年も引き続きモバイル関連技術はさらに加速することが予想されます。(公式の解説動画はこちら。リンク先は英語です)
11月に公開された「検索品質評価ガイドライン」(原文は英語)でも、モバイルユーザーをGoogleがPCとは大きく異なるニーズを持った層として、その検索体験の向上に高い関心を払っていることが伺えます。
翻ってWebサイトのSEOを考える上では、技術的なキャッチアップも大切ですが、根本的には「モバイルユーザーに対してのユーザビリティ・アクセシビリティの向上」、「モバイル特有の検索行動・検索ニーズへの対応」という視点で、自身のサイトをどのように適応させていけるかを考えることになります。
Googleが様々な施策を進めているのも「モバイルユーザーの検索体験を向上させる」ためにつきますので、UIや表示速度、コンテンツのレイアウトや見せ方などの改善を通じて、モバイルユーザーによりよい体験を提供しようとする限り、裏目に出ることはまずないといえます。
AMPなどの先進的な技術について、常に最速でキャッチアップしていく必要があるサイトは限られています。現状のサイトができる範囲で、「表示速度やUIなどのモバイルユーザビリティに問題はないか」、「モバイルの検索シチュエーションにあったコンテンツが用意出来ているか」という観点での見直しをしっかりと始めていきたいところです。
「コンテンツSEO」や「コンテンツマーケティング」の今後
ペンギンアップデートが始まった2012年頃から、スパム的な人工リンク施策などの従来のSEO施策が難しくなるにつれて、新しいSEOの形として「コンテンツSEO」といった言葉がバズワードになりました。
その頃から「リンクの代替としてコンテンツを入れる」かのようなコンテンツの増築が増えてきており、「オウンドメディア」として大規模にコンテンツを制作している例もあります。
しかし、実際にはユーザーを満足させられるようなコンテンツをしっかりと戦略的に・継続的に作っていかなければ、コンテンツマーケティングとしても、SEOとしても成功するのは難しいでしょう。
2016年にはユーザーとの関係をどのように築いていくかといった戦略に基づいて継続的な取り組みが出来ているメディアと、単なるSEOの代替施策として捉えてコンテンツの量産を進めているメディアの差が明確につき、後者が淘汰されるシーンが多くなりそうです。
2016年、「SEOは変わる」のか?
モバイルユーザーの本格的な増加、それに伴うモバイルフレンドリーアップデートなどの導入によって、モバイルユーザーの体験を真剣に考えたサイト作りがよりダイレクトに自然検索流入にも繋がってくるようになっていますし、今後もAMPの導入、App Indexingの精緻化など、モバイル面の技術導入は加速すると思われます。
とはいえ、当然モバイルユーザーの優先度が低いサイトもあります。落ち着いて自サイトのユーザーのニーズに向き合って、何が本質的な施策なのかを見極め、それ以外に惑わされないことが重要です。
サイトごとにやるべきことはそれぞれ違いますが、「ユーザーを見て、検索意図を理解し、コンテンツに反映させ、検索エンジンに理解してもらう」という基本プロセスに変化は無いでしょう。
トレンドは変わっても、「自分のニーズにあった、充実したコンテンツが、快適に見られるのが一番」というユーザーにとってのベストは変わりません。セキュリティの強化でキーワードのデータが手に入りにくくなることも、Googleからの「検索キーワードではなく、ユーザーを見るべき」というメッセージと言えるのではないでしょうか。
いずれにせよ、流石に今更「次のペンギンはいつなんだ?!」と気にしなくてはならない運営者の方は、そろそろ清算して戦略を見直すべきかと思います。
2016年も様々なニュースが出てくると思われますが、ポンと集客が増えるような魔法の薬が出るということは、おそらく無いでしょう。現実的に、どれだけ腰を据えて地道に取り組んでいくことが出来るかが、来年の同じ時期の成果を分けているものと思われます。SEOに一番効くのは、何をおいても「継続」です。
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