AI検索対策を始めるにあたって、「どのような質問で、自社の紹介状況を確認すればよいのか」と迷う人は少なくありません。
私自身、支援の現場で難しさを感じるのが、定期的にAIの回答を確認するための質問文、つまり「観測用プロンプト」を決めることです。
SEOのキーワードをそのまま使うだけでは、ユーザーの具体的なニーズを捉えきれません。
ナイルが行った調査でも、AI検索の回答で自社の紹介状況を確認するにあたり、課題に感じることとして、「どのような質問で確認すべきかわからない」と回答した人は半数近くいました。
そこで今回は、観測用プロンプトの考え方と作成手順、回答を確認するときのポイントを解説します。
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目次
AI検索では、情報収集や比較・検討が対話の中で進む
生成AIの登場によって調べ方は変わりましたが、購入に至るまでの行動の流れそのものが変わったわけではないといえるでしょう。
ナイルでは、引き続き「情報収集」「比較・検討」「意思決定」「購入」の4段階で捉えています。
変わってきたのは、それぞれの段階での行動です。
特に、情報収集や比較・検討においては、検索エンジンのほかに、AIとの対話だけで完結するケースが増えているのではないでしょうか。
例えば、「SEOとは何をすることですか」という質問は情報収集にあたります。
この段階では、AIは質問への説明を返すため、特定の企業に触れることはなく、ユーザーも回答を読むだけで疑問を解消できます。
一方、「おすすめのSEOコンサルティング会社はどこですか」という質問は比較・検討のフェーズとなり、回答では具体的な企業名が挙がります。
AIの回答内で自社が候補として紹介されることを目指すなら、主に注目したいのは比較検討の段階です。
観測用プロンプトも、この段階の質問を中心に考えていきます。
<購入に至るまでのプロセス>

AI検索での自社の観測用プロンプトは「おすすめ」と「競合比較」で考える
比較・検討の段階で確認したいのは、大きく分けて次の2つです。

それぞれ、プロンプトの作り方や結果の活かし方が異なります。
カテゴリ想起…「おすすめ」を聞く質問
カテゴリ想起とは、自社の関連する商品/サービスの分野で、おすすめを聞いたときにどの企業やサービスが候補に挙がるか、ということです。
「おすすめのクレジットカードは?」のような質問は、SEOで扱う「クレジットカード おすすめ」というキーワードに近いため、検索キーワードや検索ボリュームを参考にできます。
ただし、AIとの対話では、ユーザーは条件を加えながら質問を掘り下げていきます。
「Amazonでよく買い物をするなら?」
「海外旅行で使うなら?」
といった、具体的な使い方に応じた質問も想定してください。
では具体的に、観測用プロンプトの設定手順を見ていきましょう。
<自社の紹介状況を観測するプロンプロの設定手順>
- Google Search ConsoleやSEOツールでキーワードを集める
- 比較・検討に該当しないキーワードを除外する
- カテゴリを整理残する
- キーワードを自然な質問文(プロンプト)に変換する

「4」の質問文への変換には、AIを使うのがおすすめです。
ただし、AIが作った質問をそのまま採用しないほうがいいでしょう。
事業に詳しい人ほど、「実際のお客様は、このような聞き方をしないのでは」と感じることがあります。
そこで、よくある問い合わせや、営業担当者がお客様から聞かれる内容、AIにおすすめを聞いた際に“AIから逆質問される内容”(※)を反映しつつ、プロンプトを調整してください。
こうした内容は、ユーザーが商品/サービスを選ぶ際に重視する条件や、対話の中で追加する情報のヒントになります。
※AIからの逆質問例
AIに「おすすめのクレジットカードを教えて」と質問した場合AIからの逆質問:
さらにピッタリな1枚を絞り込むため、以下を教えていただけますか?
- よく使うお店やサービス(Amazon、楽天市場、特定のコンビニ、スーパーなど)
- 年齢
- 重視するポイント(年会費無料、マイルが貯まる、旅行保険などの付帯特典)
文章で質問する分、顧客の細かなニーズを捉える必要があるため、私がクライアントとプロンプトを検討する際は、SEOのキーワード選定以上に議論に時間をかけています。
比較優位性…「競合比較」の質問
比較優位性を見る場合は、「A社とB社では、どちらがいいですか」といった質問を用意します。
企業同士を比較する検索キーワードは検索ボリュームが少なく、ツールでは見つからないこともあります。
そのため、自社とよく比較される競合をリストアップして、質問を設計するといいでしょう。
<競合比較の質問例>
- A社とB社のサービスには、料金やサポート体制にどのような違いがありますか?
- A社とB社は、それぞれどのような企業に向いていますか
- 社内に〇〇の専任担当者がいない場合、外注先はA社とB社のどちらが適していますか?
また、競合比較の観測プロンプトの回答を確認するときは、「Web上の情報発信で改善できること」なのか「商品/サービス自体の改善が必要なのか」を考えます。
例えば、競合より料金が高いという評価であれば、Webマーケティングの施策だけで解決するのは難しいかもしれません。
一方、自社の強みをサービスページに掲載できていないために、AIの回答に反映されていない場合もあります。
ナイルの支援でも、比較結果から「サービス自体を改善する必要がある」という話になることは少なくありません。
そのため、結果を商品開発チームなどに共有し、事業の改善に活かす視点も大切です。
こうした性質から、比較優位性は必ずしも毎月細かく追い続けなくてもOK。
まずはよく比較される競合を一通り確認し、自社がどう評価されているかを把握しましょう。
定点観測では、紹介される割合と内容の傾向を見よう
プロンプトを決めたら、実際に観測を始めていきます。ここで大切なのは、1回の回答だけで終わらせないことです。
具体的には、次のようなことを意識しましょう。
同じ質問を繰り返し、言及されやすい企業を確認する
生成AIの回答は、同じ質問でも毎回少しずつ変わります。
1回だけ自社名が出た、あるいは出なかったという結果だけでは、状況を判断しにくいのです。
ナイルでは、おすすめのSEO会社を聞く質問を40回入力し、各社が言及される割合を調べました。
その結果、回答に揺れはあるものの、よく言及される企業には一定の傾向が見られました。
<「おすすめのSEO会社を教えてください」を40回確認し、AI回答内で各社が言及された割合>
| 企業名 | ChatGPT | Gemini | AIモード | AI Overviews |
|---|---|---|---|---|
| ナイル | 50.0% | 90.0% | 96.0% | 50.0% |
| B社 | 38.1% | 72.5% | 68.0% | 50.0% |
| C社 | 28.6% | 70.0% | 56.0% | 26.9% |
| D社 | 2.4% | 55.0% | 60.0% | 3.8% |
| E社 | 7.1% | 37.5% | 48.0% | 30.8% |
一方、企業が紹介される順番にはランダム性が強く、狙って先頭を維持するのは難しいと考えます。
<同じ質問で40回確認したうち、AI回答内で1~3番目の企業紹介順が完全一致した割合>
| モデル | 1~3番目の完全一致率 |
|---|---|
| ChatGPT | 1.4% |
| Gemini | 4.1% |
| AIモード | 3.0% |
| AI Overviews | 0% |
SEOに取り組んできた方は「1番目に表示されたい」と思うかもしれませんが、AI検索では掲載順を追うよりも、繰り返し回答を集め、自社がどれくらいの割合で言及されるかを重視したほうがいいでしょう。
自社がどのような文脈・強みで紹介されるかを見る
AIの回答内で、自社が紹介されているかどうかに加えて、次の点も確認しましょう。
<AI回答における自社の言及で確認したいこと>
- どのような文脈やトーンで紹介されているか
- 自社が訴求したい強みを理由に推薦されているか
- AIの種類によって紹介のされ方に違いがあるか
私たちが観測する中では、AIモードで紹介される企業が、AI Overviews(AIによる概要)では紹介されないケースも見られます。
AI Overviewsは回答が比較的短く、AIモードでは盛り込まれていた要素が省かれることがあるためです。
このように、ひとつのAIの結果だけで判断せず、それぞれの回答の傾向を確認することが大切です。
観測するプロンプトは、回答を深掘りできる数に絞る
ナイルでは、50~100件程度のプロンプトを扱うことが多いですが、必ずその数を用意する必要はありません。
30件程度でも十分と考えています。
むやみに観測するプロンプト数増やしても、回答を深掘りできなくなってしまうでしょう。
数を増やすことよりも、事業に合った質問を選び、結果を確認できることを優先してください。
また、複数の質問を複数のAIに繰り返し入力し、言及状況を確認するのは時間がかかります。
手作業での確認が難しい場合は、無料のチェックツールを活用するのもおすすめです。
より広い範囲を継続的に観測したい場合は、有料のツールを導入も検討するといいでしょう。
顧客が比較・検討する際にAIにする質問から、自社の見え方を確かめよう
AI検索対策の観測用プロンプトは、自社の商品/サービスを検討する人が、どのような質問をするかを起点に考えましょう。
自社が属する分野のおすすめを聞く質問と、競合と自社を比較する質問を作り、それらの回答の中で自社が紹介される割合や、推薦の理由を継続して確認してください。
しかし、観測用のプロンプトは自社で設定した内容でいいのか、自社の状況を把握できても改善にどうつなげたらいいかわからないといった企業も少なくありません。
その場合は、ぜひナイルにご相談ください。
観測するプロンプトの設定から定点観測、改善施策のご提案・実行まで、一気通貫で対応が可能です。
なお、無料相談にお申込みいただいた場合は、ナイルのツールを使って貴社のAI検索での言及状況を簡易診断し、その結果をもとにお話しさせていただきます。
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