Google検索結果に表示される「AIによる概要(AI Overviews)」の影響で、自然検索のクリック数やセッション数が減った――そんな声を多く聞くようになった昨今。
しかし、その減少は本当に「AIによる概要」が表示されたからなのでしょうか。
そこで今回は、ユーザーが「AIによる概要」をどのように利用しているのかを調査。
「AIによる概要」だけで検索行動は終了するのか、検索結果や参照サイト(リンク)を閲覧することはあるのかなどについて検証しました。
「AIによる概要」は検索流入ユーザーを奪っているのか――ユーザーの視点から、その実態を読み解いていきます。
「AIによる概要(AI Overviews)」についてはこの記事もチェック!
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この調査のまとめ
- 「AIによる概要」を毎回必ず読むユーザーは1割程度(Q1)。多くのユーザーは検索意図や状況に応じて選択的に参照している。特に20代では積極的な閲覧が目立つ一方、40代以降は補助的な利用にとどまる傾向が見られた。
- 「AIによる概要」閲覧後、約7割が通常の検索結果もクリック(Q3)。その最大の理由は「情報の正確性を確認したいから」(44.8%)(Q4)で、AIへの信頼はまだ確立されていないことがうかがえる。
- 「AIによる概要」で紹介された企業や商品・サービスについて、後から検索した経験があるユーザーは約半数(Q5)。「AIによる概要」は直接的に行動を強く促す存在というより、ユーザーの関心を喚起する役割がメインか。
- 「AIによる概要」内の参照元サイト(リンク)は半数以上がクリック経験あり(Q6)。参照元クリックの理由は「根拠の確認」が56.5%(Q7)と過半数を占め、AI情報の裏取りニーズが明確に。
目次
調査概要
- 調査期間:2025年12月22日~24日
- 調査方法:インターネット調査(Fastask利用)
- 調査対象:全国の20~60代の男女752名
「AIによる概要」は毎回読むものではなく、必要に応じて参照されている

「AIによる概要」を「必ず読む」と回答したのはわずか10.5%にとどまり、最も多かったのは「気になったときだけ読む」(31.1%)でした。
「だいたい読む」(25.5%)を合わせても、積極的に活用しているユーザーは約3割程度です。
このことから、AIによる概要はユーザーにとって“常に確認する情報源”というよりも、検索意図や状況に応じて取捨選択される存在であることがうかがえます。
<年齢別:「AIによる概要」の閲覧傾向>

また、これを年齢別に見ると、若年層ほど「必ず読む」「だいたい読む」の割合が高く、20代では合わせて52.7%が積極的に活用していました。
一方、40代以降になると「気になったときだけ読む」の割合が高くなり、状況に応じて利用される傾向が強いようです。
この結果から、若年層ほど「AIによる概要」を起点に情報収集を行っており、中高年層は必要に応じて補助的に参照する姿勢が強いことがわかります。
「AIによる概要」はユーザーの疑問解消の補助役にとどまる傾向

「AIによる概要」だけで検索時の疑問や悩みが解決したと感じる経験について、「よくある」「ときどきある」を合わせると、約7割のユーザーが何らかの解決経験を持つことがわかりました。
ただし、「よくある」は14.8%にとどまり、過半数は「ときどきある」(54.3%)に集中しています。
この結果から、「AIによる概要」は検索課題を“毎回完全に解決する存在”というよりも、状況次第で役立つ情報源として認識されているといえるでしょう。
一方で、「ほとんどない」(25.4%)、「一度もない」(5.5%)と答えたユーザーは約3割。
これは、「AIによる概要」が期待する情報を提供できていない、あるいは最終的な判断や理解には追加の情報が必要だと感じている状況も浮き彫りになりました。
この調査結果を踏まえると、「AIによる概要」だけが自然検索のクリック数・セッション数減少を引き起こしているとは言い切れません。
しかし、疑問が比較的簡単に解消される検索においては、「AIによる概要」だけで満足し、通常の検索結果のクリックやセッションが発生しにくくなっている可能性はあると考えられます。
「AIによる概要」閲覧後も7割が検索結果をクリック、AI回答の裏付けを求める行動が顕著

「AIによる概要」を読んだ後に通常の検索結果(青いリンク)をクリックするかという設問では、「ほぼ必ずクリックする」(19.3%)と「状況によってクリックする」(50.0%)を合わせて、約7割のユーザーがAIによる概要だけでは完結せず、さらなる情報収集を行っていることがあきらかになりました。
特に注目したいのは、「状況によってクリックする」が半数を占めている点。
これは前問の「AIの回答だけで検索時の疑問や悩みが解決したと感じる経験」について、「ときどき解決する」が半数を超えていたことに通じており、ユーザーが「AIによる概要」の内容を確認した上で、追加情報の必要性を判断していると考えられます。
<年齢別:「AIによる概要」と併せて通常の検索結果をクリックするか>

これを年齢別で見ると、「ほぼ必ずクリックする」と回答したのは20代が31.4%と圧倒的に高い割合となりました。
「AIによる概要」を積極的に閲覧する世代が、最も検索結果と併せて確認しているのは、興味深い結果といえます。
検索結果を見るのはAIの情報の正確性に不安があるから――AIへの信頼は発展途上

「AIによる概要」と併せて通常の検索結果をクリックする主な理由は、「情報の正確性を確認したいから」が44.8%で最多となり、半数近くのユーザーが情報の裏取りを行っていることが明らかになりました。
AIによる概要は利便性の高い情報源である一方、ユーザーはその内容を無条件に受け入れているわけではなく、まだ「完全に信頼できる情報源」としては確立されていないといえるでしょう。
次いで回答が多かったのは「より詳しい情報を知りたいから」(29.9%)。
この結果からは、ユーザーが「AIによる概要」を情報収集の起点としつつも、重要な判断や深い理解には元のソースにあたることの重要性を認識していることがわかります。
「AIの概要」からのアクションは約半数が経験、しかし関心喚起の役割がメインか

「AIによる概要」でおすすめ・紹介されていた企業や商品、サービスについて、後から指名検索などをした経験があるユーザーは、「よくある」(9.8%)、「ときどきある」(36.3%)を合わせて半数弱にとどまりました。
この結果を踏まえると、「AIによる概要」が直接的にユーザーの行動を喚起するケースは限定的だと考えられます。
ただ、まったくないわけではなく、「AIによる概要」からさらに検索をし、情報収集を行っているユーザーが一定数いることは見逃せません。
つまり、「AIによる概要」は、そこから何かしらの行動を生み出す存在というよりも、ユーザーの関心を喚起し、その後の検索や検討につながる入口として機能していると捉えるのが妥当でしょう。
そこで企業が重視すべきは、「AIによる概要」に表示され、その後の検索や検討行動を促す文脈で言及されているかどうかだといえます。
「AIによる概要」の参照元サイトは半数以上がクリック経験あり

「AIによる概要」内に表示される参照元サイト(リンク)をクリックした経験について、「何度もある」(10.1%)、「たまにある」(40.4%)を合わせると、半数のユーザーが参照元サイトを複数回訪問していることがわかりました。
特に「たまにある」が40.4%と最も多いことから、参照元リンクは常にクリックされる存在ではなく、検索テーマや状況に応じて選択的に利用されていると考えられます。
「AIによる概要」はそれ自体で完結する情報として機能する一方、必要に応じて参照元サイトへ遷移する行動が取られているといえるでしょう。
参照元クリックの理由は「根拠の確認」が6割弱、AI情報の裏取りニーズが明確に

「AIによる概要」の参照元サイトをクリックした理由として、「AIの回答の根拠を確認したかったから」が56.5%と過半数を占め、圧倒的多数となりました。
参照元サイトのクリックは、単なる興味ではなく、AIの回答内容を検証・確認する行動として行われていることが明確になったといえます。
また、「内容が信頼できそうだと感じた」(13.0%)、「公式・専門的なサイトだと思った」(11.9%)といった回答も一定数存在しており、参照元リンクが“AIが提供する情報の信頼性を判断する材料”として機能している点も見逃せません。
つまり、「AIによる概要」で参照元として選ばれることは、単なる露出機会ではなく、ユーザーから信頼を得る機会でもあります。
今後、参照元サイトとしてユーザーの期待に応えるためには、専門性や独自性の高い情報を提供し、信頼を獲得することが重要といえるでしょう。
“AIに選ばれる”ためにどのような状態を目指すべきかは、この記事をチェック!
「AIによる概要」は検索を完全に代替せず、情報収集の起点として利用する傾向
本調査から、Google検索の「AIによる概要」を閲覧するユーザーは多くいるものの、検索行動を完全に代替する存在ではないことが明らかになりました。
ユーザーは「AIによる概要」を参考にしつつ、主に情報の正確性を確認するために通常の検索結果や参照元サイトを確認しており、特に若年層ではその併用が顕著です。
つまり、本調査の結果からは、「AIによる概要」が自然検索のクリック・セッション数減少の主因になっていると一概には言えず、検索内容によって影響の度合いが異なっていると捉えるのが妥当でしょう。
また、「AIによる概要」の閲覧後、企業や商品・サービスの指名検索、参照元サイトに進むユーザーは限定的である一方、その行動は情報の正確性の確認や比較・検討といった明確な目的を伴っている可能性が高いと考えられます。
そのため、企業での取り組みは、単に「AIによる概要」に表示されるかではなく、「どの文脈で表示され、行動につなげるか」を意識したLLMOがより重要になってきているのです。
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