ナイル編集部が選ぶ!SEO・LLMO最新トピックまとめ vol.1

著者:金子光

SEOやLLMOの世界では、日々新しい動きが起きています。
本シリーズ「ナイル編集部が選ぶ!SEO・LLMO最新トピックまとめ」では、その中から重要ニュースを厳選し、企業のマーケティング担当者向けに、分かりやすくお届けします。
初回は、Googleのインデックス動向、AI検索の進化、ChatGPTの検索エンジン変更疑惑など、見逃せない話題をピックアップ。
今のうちに押さえておきたいトレンドを、わかりやすく解説します。
SEO対策の悩みをプロに相談してみませんか?
SEOやWebマーケティングの悩みがありましたら、お気軽にナイルの無料相談をご利用ください!資料では、ナイルのSEO支援実績(事例)、コンサルティングの方針や進め方、費用の目安といった情報をご紹介しています。あわせてご覧ください。
目次
Googleが5月下旬以降、インデックス登録数を減らしている
5月下旬以降、Googleがインデックス登録するページ数を減らしているという報告が、海外SEOコミュニティで相次いでいます。
<インデックス登録数が減少しているGoogle Search Consoleのレポート例>
This one was 25M before, but now it has been reduced to 18M. It's not just happening to me; there are many complaints going on Twitter and in the Search Console community
— Vijay Chauhan 📈 (@vijaychauhanseo.bsky.social) 2025年6月5日 18:41
[image or embed]
この件に対し、Googleのジョン・ミューラー氏はBlueSkyでこう述べています。
「技術的問題は見当たらない。当社のシステムは、クロールおよびインデックスの対象を定期的に調整しています。これは正常な動作であり、想定内のことです」
今回の現象に関しては、品質評価の強化やレポート仕様変更の可能性など、さまざまな理由が想定されています。
<編集部の一言>
Googleのインデックス登録数の減少については、Googleがリソースコストの最適化を進めていることが大きな要因だと考えます。
Googleは生成AI領域への投資を強めており、2024年以降設備投資費用は大幅に増加しています。
クロールやインデックス登録についても、サーバー代や電気代など多くの費用が発生しているため、当然コストパフォーマンスは改善するべき項目です。
そこで、無駄なページはインデックス登録せず、費用を抑える方向に進んでいるのではないでしょうか。
Googleに自サイトのページが無駄だと思われないためにも、そもそもユーザーニーズのあるテーマに対するページや、オリジナル性のある高品質なページを作っていくことが求められます。
「AI モード」では、パーソナライズがより加速する?
米国の大手SEO会社であるMozは、Google AI モードに関する特許の分析を行い、SEO担当者が押さえるべきAI Modeの重要なポイントをまとめました。
次にその一部を紹介します。
<AI モードの重要なポイント>- 検索は、ユーザーのことを知り尽くしたAIアシスタントの会話に変わる
- ユーザーが入力した質問(クエリ)の裏で、複数の関連質問を同時に処理する
- クエリの種類でAIが処理方法を決定する
- マルチモーダル(複数の種類の情報を組み合わせた)な情報が優先される
AIモードは、ユーザーと過去に対話した内容や検索履歴の内容、質問したテーマにおけるユーザーの理解度を把握して、最適な回答をしている。そのため、同じ質問を別の人がしても違う回答が出るようになる。
GoogleのAIは、ユーザーが入力した質問(クエリ)をサブトピックに分解し、同時に複数の検索を実行して情報収集を行う。この技術によって、ユーザーの質問意図や次に気になることまでを踏まえた回答を出力するようになる。例えば、「おすすめの旅行先を教えて」と質問した場合、人気の海外旅行先、季節ごとのおすすめスポット、予算別の旅行プランなど複数のクエリを自動で生成して情報収集を行い、回答を出すイメージ。
検索内容に応じて、最適なAIモデルを選択し、回答を作成する。例えば、ユーザーが創造的な回答を必要としている場合は、独自の考えを持つコンテンツを優先し、要約を求めている場合は、明確な事実やデータを含む、構造化されたコンテンツが優先される可能性がある。
テキストだけでなく、画像や動画も含めたほかの情報も重視される。例えば自動車整備のサイトがあったとすれば、テキストだけのガイドページよりも、診断画像や作業ステップを伝える画像、ハウツー動画が記載されている方がパフォーマンスが高くなる可能性も。
このように、AIモードではさまざまな技術を組み合わせ、ユーザー一人ひとりに最適化された回答が出力されるようになっています。より詳細な内容を知りたい人は、元記事もご覧ください。
出典:What I Learned From Analyzing Google’s AI Mode Patent
現在のGoogleの検索結果もパーソナライズされた結果が出てきますが、AIモードにおいては、よりこの傾向が加速しています。
パーソナライズが進む時代において、サイトへの再訪を獲得するなど、継続的にユーザーと接点を持てる企業はユーザーの検索体験の中で選ばれやすくなり、結果的に露出や流入の機会が増えるのではないかと編集部は考えています。
そのため、多様なチャネルを通じて定期的にユーザーと接点を持てるコンテンツ戦略がより重要になるでしょう。
生成AIの引用率とオーガニックトラフィック量には相関関係がある?
米国のSEO会社であるAhrefsは、GoogleのAI Overviews(AIによる概要)、ChatGPT、Perplexityでよく言及される上位50サイトと、それぞれのオーガニック検索トラフィック数の相関関係を調査しました。
使用する生成AIによって、オーガニック検索流入数との相関度合いは異なりますが、一部ツールでは相関関係が見られています。
各生成AIの結果は次の通りです。
AI Overviews
オーガニック検索トラフィックが多いサイトは、AI Overviewsでも多く言及される傾向にある。
特に、YouTubeやReddit(アメリカの掲示板サイト)、Wikipediaなどのユーザーが生成するサイトが多く引用されている一方で、TikTokやInstagramといったSNSは引用されにくいことが判明した。
ChatGPT
引用率はオーガニック検索のトラフィック数とやや相関があった。
ChatGPTにおいてはWikipediaが多く引用されており、ニュースサイトも比較的引用される傾向にある。
一方で、企業サイトやエンターテイメントサイトは、オーガニック検索トラフィックは獲得できているものの、AI Overviewsには引用されていないことがわかった
Perprexity
3つのツールの中では最も引用率とオーガニック検索のトラフィック数の相関関係が強い結果に。
YouTubeやWikipedia、大手健康サイトのHealthlineが多く引用されている。
しかし、InstagramなどのSNSや、Google、Microsoftといった一部企業サイトはオーガニック検索トラフィックが多いわりには引用されていない模様。
<AI Overviewsとオーガニックトラフィック量の相関関係のグラフ例>
引用:「Ahrefs」
出典:Websites With More Organic Search Traffic Get Mentioned More in AI Search
<編集部の一言>
生成AIにおける引用率等を計測する場合は、使用する生成AIによって、引用するサイトの傾向が変わるので、この点は押さえておきましょう。
また計測する際は、併せてどのように引用されているかも確認してみてください。
例えば、自社だけが悪く見える引用をされている、意図していない自社の強み・弱みが引用されているケースなどもあるので、要注意です。
よりユーザーの検索意図を理解する、新アルゴリズム「MUVERA」が登場
Googleは、新たな検索アルゴリズム「MUVERA( ミューベラ:MUlti-VEctor Retrieval Algorithm)」を発表しました。
従来の検索システムでは、ユーザーの質問の「本当の意味」や「どんな情報を探しているのか」を完全に理解するのが難しい、あるいは時間がかかるという欠点がありました。
しかし、MUVERAはこうした欠点を克服し、ユーザーの検索意図をより正確に捉えた上で、より適切な答えをすばやく導き出す革新的な技術といえます。
下記に、技術的な特徴について要約しました。
MUVERAを理解するには、まず「ベクトル検索」と、それに関連する「シングルベクトル検索」と「マルチベクトル検索」について知っておく必要があります。
「ベクトル検索」とは、ユーザーが入力した質問(検索クエリ)と、インターネット上にある膨大な情報(Webページ)を、それぞれ「数字のグループ(ベクトル)」に変換し、その類似度をもとに関連情報を見つける技術です。
この「数字のグループ」は、文章の意味を数値化した「住所」のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。
例えば、「世界で一番高い山は?」と検索した場合、その質問の「住所」に近い場所に「エベレスト」に関する記事の「住所」が存在し、それが関連情報として表示されます。
シングルベクトル検索は、1つの文章を1つのベクトル(住所)に変換して処理します。
シンプルな仕組みですが、文章内の細かい意味やニュアンスまでは捉えにくいという弱点があります。
一方のマルチベクトル検索は、1つの文章を複数のベクトルに分割し、それぞれの意味を細かく捉える方式です。
例えるなら、「大まかな住所」だけでなく、「部屋番号」や「建物の特徴」まで考慮して検索を行うようなもの。この方法によって、より高精度な検索結果が期待できます。
マルチベクトル検索は精度が高い一方で、大量の計算が必要なため、処理速度が遅いのがデメリットでした。しかし、今回のMUVERAはそのデメリットを解消しており、精度を維持しつつ、処理速度を飛躍的に向上させています。
出典:MUVERA: Making multi-vector retrieval as fast as single-vector search
<編集部の一言>
難しい解説をしましたが、要するに、よりユーザーの検索意図を理解した回答ができる検索技術が進化しているという大枠を押さえてもらえればと思います。
MUVERAが検索アルゴリズムに採用された場合、表面的な検索意図しか捉えられていないページは順位が下がることが想定されます。
特に、機械的にタイトルや見出しに対策キーワードを入れているだけのページは一層評価されなくなるでしょう。
ユーザーの検索意図を踏まえたコンテンツを制作をすることは、今後さらに重要になります。
ChatGPTがBingではなくGoogleを参照しはじめている?
フランスのSEOコンサルタントであるアレクシ・リルコ氏は、ChatGPTが使用している外部検索エンジンは、BingではなくGoogleである可能性が高いことを指摘しています。
同氏の調査によると、OpenAI製の検索エンジンであるSearchGPTが取得する外部検索結果の90%が Google検索上位10ページと一致し、Bing との一致率は30%にとどまっています。
また、SearchGPTが使用するスニペットに関しても、BingではなくGoogleと一致するケースも。
そのほか、ChatGPTが引用したURLの中に、Google Merchant Centerのトラッキングパラメータである「 ?srsltid」が含まれることも確認されています。
<SearchGPTとGoogle検索結果の比較>参考:「SEO, Data & Growth | Alexis Rylkoより引用」
現在までに、OpenAIやGoogleからの公式発表はありませんが、同氏はこれらの調査結果がSearchGPTがGoogleを使用している証拠になるとしています。
出典:Etude : SearchGPT abandonne (discrètement) Bing et passe chez Google
もし、SearchGPTがGoogleの検索エンジンを使用しているのであれば、Googleで評価されているページはChatGPTにおいても引用される確率が高くなるかもしれません。
公式発表ではないため、今後の動向に注目しましょう。
Googleや生成AIのトレンドを押さえると、施策にも活きる
今回は、検索技術やAIの進化によって変化するSEO環境の最前線を紹介しました。
少し先の未来を見据えた情報をキャッチアップすることで、今打っておいたほうがいい施策のヒントも見えてくるはずです。
なお、本シリーズは定期的に配信する予定ですので、最新動向のキャッチアップに役立ててください。
下記のページでは日々、SEOに役立つ情報を発信しています。ぜひ、お気に入り登録をお願いします。
SEO対策の悩みをプロに相談してみませんか?
SEOやWebマーケティングの悩みがありましたら、お気軽にナイルの無料相談をご利用ください!資料では、ナイルのSEO支援実績(事例)、コンサルティングの方針や進め方、費用の目安といった情報をご紹介しています。あわせてご覧ください。