SEOやLLMOに関する重要ニュースを厳選してお届けする本シリーズ。
今回は「AIモードの日本語対応」「Google検索のランキングシグナル公開」「AI検索と従来検索の共存」など注目の話題をピックアップ。
いま押さえておきたい最新トレンドを、わかりやすく解説します。
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目次
GoogleのAI モード日本語対応へ
2025年9月より、GoogleのAIモードが日本語で利用できるようになりました。
ほかにも、インドネシア語、韓国語、ヒンディー語、ポルトガル語への追加対応も発表され、利用範囲が大きく広がっています。
AIモードとは、チャット形式で検索できる機能です。
ユーザーの質問に対して、従来のようにリンクの一覧を表示するのではなく、AIが要約した内容を回答します。
<AIモードのイメージ:ナイルについて質問した際の回答結果画面>
現時点では、AIモードが表示されるかどうかはランダムです。
2025年8月の英語版AIモードが日本公開されたときは、多くの人が利用できない状況でした。
しかし、現在はX(旧Twitter)で「AIモードを使えた」という投稿が増えてきており、利用できる人の数は増えているものと思われます。
参考:Google 検索における「AI モード」を日本語で提供開始
<編集部の一言>
AIモードが日本語に対応したことで、利用するユーザーも徐々に増えていくのではないでしょうか。
こうした中で気になるのは「ゼロクリック検索(※)」の増加です。
※ゼロクリック検索...ユーザーが検索結果上の直接的な回答を見て満足し、外部サイトへのリンクをクリックせずに終了する検索のこと。
アメリカのSEOツール会社・SEMRUSHが実施した調査によると、AIモードのゼロクリック率は93%にものぼるとされています。
<「AIによる概要なし」「AIによる概要あり」「AIモード」におけるゼロクリック率>
参考:SEMRUSH
現状、AIモードを利用するユーザーはごく少数に限られているため、今すぐ何か対応をしなければ…と焦る必要はないかと思います。
しかし、AIモードの利用率のデータなどは、今後のWeb戦略を考える上で重要になると考えられますので、今のうちから動向を注視し、必要に応じて対応できるよう準備しておきましょう。
Google検索のランキングシグナルが一部明らかに
Googleの検索順位を決めるシグナルの一部が、独占禁止法をめぐる裁判(※)によって明らかになりました。
※独占禁止法をめぐる裁判...アメリカ司法省がGoogleの市場独占をめぐって提訴した裁判。今回のランキングシグナルの情報は証拠資料として公開されたもの。
今回公開された資料では、以前から噂されてきた「ユーザー行動がSEOに影響する」という見方を裏付ける情報に加え、それ以外の要素についても検索結果に関与していることを示す内容が確認されました。
その中でも、特に重要といえるポイントを下記にまとめます。
ユーザー行動データは活用されている
Googleは「クリックなどのユーザー行動データは直接のランキング要因ではない」と説明してきました。
しかし、公開された資料には、検索ログやユーザーの行動データに基づいて学習する「RankEmbed BERT」というモデルの存在が記載されています。
これはAIと人間の評価を組み合わせて検索結果の品質を高めるために使われており、ランキングに影響を与える仕組みといえます。
品質スコアを決める要素はページ自体から派生するものが多い
公開された資料には「品質スコアの大半はページそのものから派生する」と記載されています。
Google検索の初期には、PageRank(被リンク評価)が品質スコアに大きな影響を与える要素とされていました。
しかし今回の資料によって、リンクだけでなく、ページ自体の内容や有用性といった点も重視されていることが明らかになっています。
人気度シグナルが重要
ここでは、「人気度」というシグナルがランキングにおいて重要であるとされています。
人気度とは、Chromeのサイト訪問データ、被リンクの構造や多さを反映したスコアであるとされていますが、具体的な仕組みやランキングを判断する上での重み付けまでは判明していません。
これまでGoogleは「Chromeデータはランキングに利用していない」と説明してきましたが、今回の資料はそれとは異なる内容を示している点が注目されています。
クロール頻度とインデックス決定への影響要因
クロールの優先度や頻度は、「ユーザーデータ」「品質スコア」「人気度」「スパムスコア」といった指標によって左右されることが示されました。
つまり、単に技術的なインデックス最適化を行うだけでは不十分であり、ユーザーにとって「利用価値が高い」と判断されることが、クロールの優先につながるということがわかります。
今回公開された資料は、次の参考リンクより読むことができます。興味のある方はご覧ください。
<編集部の一言>
2024年に漏洩したGoogle内部文書に続き、今回公開された資料からも、ユーザー行動がランキングに影響を及ぼしている可能性は高いと考えられます。
そのため、検索ユーザーのニーズを満たすコンテンツを用意することはもちろん、流入したユーザーがさらに気になる情報へ導く設計にするなど、ユーザーにとって有益で使いやすいサイトを目指すことが重要になるのではないかと思います。
AI検索は従来の検索のシェアを奪うものではない
SEO会社のSparktoroがアメリカで実施した調査によると、AIツールの利用は広がりつつある一方で、従来の検索の利用数が大きく減少しているわけではないことがわかりました。
従来の検索エンジンとAIツールの利用頻度を比べると、この2年半でAIツールの利用は約8%から38%へと大きく拡大。
それにもかかわらず、アメリカ人の95%以上は今もGoogleなどの検索エンジンを定期的に利用しており、その割合はほとんど変わっていません。
<従来の検索とAIツールの利用頻度の推移>
参考:SparkToro
また、従来型の検索エンジンにおける検索回数が減少していない点も重要です。
2024年8月の検索回数と比べて、その後の月間検索回数が多くなっていることが今回の調査で示されています。
<2024年4月の検索回数を100%としたときの、従来型検索エンジンにおける検索割合の推移>
参考:SparkToro
「AI検索が従来の検索を崩壊させる」という見方もありますが、これらの調査から、実際にはAI検索の普及が従来の検索行動を置き換えているわけではなく、両者が併用されている実態が明らかになっています。
<編集部の一言>
従来の検索エンジンは今も多く利用されており、SEOの重要性は変わらなさそうです。
一方で、AI検索も広がっているのは確かであるため、今後はSEOとAI検索対策(LLMO)を両輪で進めることが求められます。
実際、ナイルのお客様の中にも、「おすすめのSEO会社をAIにたずねたら、ナイルを提案されたので問い合わせた」という事例があり、AIに推薦されることの大切さを実感しているところです。
まずは、自社がどの程度AIに引用され、どれくらいの流入やCV(コンバージョン)につながっているかを把握することから始めてみると良いでしょう。
ナイルではLLMOに関する無料相談を受け付けていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
ECサイトのカテゴリーページに必要なコンテンツ量とは?
イギリスのSEO会社・Digitaloftは、Google UKで上位表示されているページを対象に、ECサイトのカテゴリーページにどの程度テキスト量があるか、その傾向を探る調査を行いました。
調査では「ジム用レギンス」「イヤリング」「子供用自転車」など、商用キーワードを300件抽出し、それぞれ検索結果で1位に表示された商品一覧ページを分析しています。
対象は個別の商品ページやブログ記事ではなく、あくまで複数商品が並ぶ一覧型のページです。
その調査の結果、上位表示ページの平均テキスト量は約310語(※)にとどまることがわかりました。
※本調査では海外調査のため、英単語ベースの数。一概には言えないが、日本語の文字数に直すと1語=2文字くらいで計算すると良い。
全体の約66%は400語未満、さらに44%は200語未満で、ブランド力のあるサイトはテキスト量が0というケースもあります。
<上位表示されたECカテゴリーページのテキスト量の分布>
このことから、ECサイトのカテゴリーページは短い文章でも十分にランキングが可能であることが判明しました。
ここで重要なのは、テキストの量ではなく、ページの役割に見合った情報を提供できているかどうか。
カテゴリーページ内に冗長な説明文を加えるよりも、商品の特徴を短くまとめた導入文や、購入を迷うユーザーに役立つFAQを設置し、CVにフォーカスしたほうが良さそうです。
参考:How much content do top-ranking eCommerce category pages really have? [2025 study].
<編集部の一言>
SEO担当者として「コンテンツ量が多いほうが上位表示につながる」と考え、カテゴリーページに無理やり文章を加えたくなることもあると思います。
しかし、大事なのはユーザー目線です。
ユーザーが欲しい商品を探しやすく、商品の詳細ページへスムーズに進めるように(進みたくなるように)なっているかという観点で、自サイトを見ると改善点が見つかるかもしれません。
JavaScriptを使ったペイウォールの実装方法に関する注意点
Googleは検索セントラルの公式ドキュメントを更新し、JavaScriptを使ったペイウォールの実装方法に関する注意点を追加しました。
ペイウォールとは、有料会員や購読者のみが記事全文を閲覧できるよう制限する仕組みのことで、ニュース記事などに使われたりします。
ペイウォールをJavaScriptで実装する方法は大きく分けて2つあります。
<ペイウォールをJavaScriptで実装する方法>
- HTMLコード内に会員限定コンテンツの全文が書いてある状態で、ログインしないとユーザーには非表示となる方法
- そもそもログインしないと会員限定コンテンツ部分のHTMLコードが送られてこない方法
Googleは、①の方法だと、Googleが会員限定の有料コンテンツなのか判別できないそうで、②の方法で実装してほしいというのが今回の更新です。
①の方法で実装している場合、JavaScriptが無効な環境では記事全文が見えてしまったり、開発者ツールを使えば非表示部分も見えてしまったりするなどの課題があるといいます。
そのため、ペイウォールを実装しているサイトの担当者は、②の方法で実装できているかエンジニアに確認してみましょう。
<編集部の一言>
最近、Perplexityが有料コンテンツを勝手に学習・引用しているとして訴えられたケースが報じられています。
Googleはこうした事例を受け、GeminiなどのAIが正しく学習・引用できるよう、ペイウォールの実装方法をより明確にしておきたい狙いもありそうです。
ペイウォールを利用しているWebサイトの担当者は、実装方法が問題ないか、改めて確認しておきましょう。
ユーザー視点はSEOにおいて重要
今回紹介したトピックから、ユーザー視点でサイトを改善することの重要性を改めて感じます。
GoogleのランキングシステムやECサイトのカテゴリーページにおけるテキスト量の調査を見ても、「ユーザーにとって役立つ設計」になっているサイトが、検索エンジンにも評価されるのではないでしょうか。
アルゴリズムを狙ったテクニックに終始するのではなく、「ユーザーにとって本当に役立つか」という本質に今一度立ち返ってSEOを行うことが重要です。
「サイト戦略にユーザー視点をどう落とし込めばいいかわからない」「専門家に相談したい」という方は、ぜひナイルの無料相談をご活用ください。
なお、本シリーズは定期的に配信する予定です。 次回の記事もこちらのページにて、更新情報が公開されるので、ぜひお気に入り登録をお願いします。
→SEOコラムTOPページ:https://www.seohacks.net/column/
SEO対策の悩みをプロに相談してみませんか?
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